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[読書記録]今宵も喫茶ドードーのキッチンで。(標野凪) / 時間軸

お話が多角的でいいな、と思いました。
私は、思想などの偏りが過激なモノが苦手で、どこかに属しているようなハッキリとした物言いで、何かを批判しすぎていたり、自分の思想以外のモノを寄せ付けない、耳を貸さない雰囲気を察すると、ざざざ、と引いてしまいます。「ちょっといやだな」と思うと頭が遠ざかってしまうのです。
外の世界への「モノの言い方」には、こだわりがあるのかもしれません。私は、「一方聞いて沙汰するな」というNHK大河ドラマ「篤姫」の、篤姫様の言葉が大好きです。

情報がとても多い私たちの世界。そういうものに疲れてしまうことは往々にしてあるな、と常々思っています。


春梅雨夏秋冬…、それぞれの季節に一話ずつ、ドードーの自然の中で繰り広がる世界は、その他の世の中とは軸が違うのだと思うほどほどゆったりしたものです。それに店主の「そろり」さんは、なんとなく全てをお見通しで、頼りなく思えるのに確信を突くような意見を言ってくれる、なんだか頼れる存在。

「他人の基準に振り回されて自分を見失ってはもったいないです。自分がいいと思えばいい。そのためには自分の研ぎ澄まされた芯を持つことが大切なんです」

「今宵も喫茶ドードーのキッチンで。」標野凪より

そんなおひとり様専用のカフェドードーが、うちの近くにあったらいいのに、なんてこの本を読んだ人ならみんな思うのかもしれません。

そろりさんは、いやなことがあれば「時には弓を引け」と言ってくれたり、最後には自分のことを例えに出して大切なことに向き合う時間をくれます。

ちょっとおとぼけだけど、きっといろいろなことを深く考えているそろりさん。
またそろりさんに会いたくなったら、続編を読もうと思います。

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とり子
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