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[読書記録]いくつもの週末(江國香織) / 江國さんの日

時々、江國香織さんのエッセイがとてもとても読みたくなります。これは今日は江國香織さんの日だし、江國香織さんしかない、と思うような感じで手に取ります。
どうして江國香織さんなのかというと、なんとなくほのかに不安だったり寂しかったりする時、「それでいいし私もそうだよ」、と言ってくれているような気持ちになるからかもしれません。
今日は江國香織さんだ、と思う日は、さらさらと深く潜って行くような、そこで静かにいられるような気持ちが一番私にとって大切な日です。
そんな人たちが江國香織さんのエッセイを手に取るんじゃないかな、と思うと、(私たち、見えない何かで繋がっているからね)、という思いが胸に生まれて、少しあたたくなります。

この本は多分昔持っていたやつでした。何かで手放してしまったけれど、またこうやってめぐり合うものだな、と思いました。

新婚時代の江國さん。「一人の孤独」と「二人の孤独」。
残念ながら今はもう殆ど「二人の孤独」についてその概念すら忘れてしまいそうですが、二人でいても夕焼けが窓から見える時間のそれぞれのことや、遠くまで来たな(心理的に)、とほんのり寂しく感じた気持ちを思い出しました。

デブラ・スパークの短編『母の友達』には、
「この家も、この家庭も、そして丹念に見つくろわれたこの花模様のシーツでさえ、選ばれてここにある。選ぶことは気まぐれで恐ろしいことでしかない」
 という一節もある。

「いくつもの週末」江國香織より

江國さんも、けんかしたり嫌な気持ちになったり、二人でいるのにさみしくなったりしながら、でもささやかなものたちにその都度すくわれて、楽しく暮らしているんだな、とちょっと笑ったりしてしまいます。

決して悲観的なエッセイではなく、愛に満ちた日常がこれでもか、と書かれているわけですが、夢見るお年頃を過ぎても、こういうのを読むのも今となってはたまにはいいな、と思うし、やっぱり選ばれた江國さんのワーズに心が安定していくのを感じます。

たくさんの本に救われて、私もなんとか今日も楽しくやっています!


ありがとうございます!