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『学生』 超ショートショート


Aの部屋にて

A「もうダメだ、大学ではいつも一人、就活もなかなかうまくいかない。自分の将来も考えるだけで吐き気がするよ、はぁ」

テレビつけると夏休み明けの憂鬱の特集を、やっている。

テレビ「学校へは行かなくても良いんです。君の居場所はたくさんあるんだから。嫌だったら無理に行かなくていいんだよ。それでも全然生きていけるし君はまだ若いんだから大丈夫よ、大丈夫」

おばさんコメンテーターの優しい言葉にAは涙ぐんだ。

A「そうか…行かなくてもいいよね。もう単位なんてどうでもいい。もう行かない。ツライだけだ。」

?「おーい」

とどこからともなく声が聞こえてくる。

?「絶対に学校へいけーー」

A「ひっ!誰だ!?」

?「私は神だー」

A「神様?!」

天井から声が響いてくる

神「上から黙って見ておったがな、あまりにも情けなくてこうして声をかけてしまった」

A「なんの用だよ!神様が!」

神「学校へは行けーー!」

A「嫌だ!だって良いことが一つもないんだ!」

神「バカ野郎。それで行かなかったらどうなるんだ」

A「僕の心が救われるんだ!」

神「馬鹿タレい!救うどころかずっと安全地帯にいるわぁー!」

A「うるさい!俺が俺の心に危機を感じてるんだ」

神「いいかよく聞け。お前は確かに若い!けど現実から簡単に逃げていいほど若くはない!」

A「そんなことなんで言われなくちゃならないんだ!まだ21だぞ!全然可能性だらけだろうが!」

神「あぁー悪いけど…お前に何かやり抜くチカラがあるとは思えない!説得力がない!その証拠に今日お前が成し遂げたことを教えてやろうか!昼頃に起きてボーッとして気づいたら相棒見ててその後は新しいAVをブラウジングした。それだけー!」

A「うるせぇ!俺は本気だしたら何か出来るんだよ!」

神「何かって何だよ!このバカ!」

A「あぁ?それはなぁ……うぅうぅ」

神「いいから学校行け!それでみんなと同じように動け!底なしに自分を甘やかしやがって!」

A「あーー!そうやって神様のくせに俺を苦しめるのか!」

神「苦しめるだと!」

A「さっきテレビで言ってたぞ!苦しむなら逃げてもいいんだとさ!」

神「あんなもの大人の戯言だ!バカ野郎!だいたい学校に行くのに苦しんでる子に逃げるという1番孤独な道を歩ますのおかしいだろうが!」

A「何が孤独だよ!逃げていじめや学校での孤独から救われた子もいるんだぞ!オリンピック選手だって学校に行くのをやめてスキーに専念してから人生が変わったとかそんな話を聞いたことがあるぞ!!」

神「お前スキーやってねぇだろ!そういう逃げ場を誰しもが持ってるという前提がおかしいだろうが!逃げろ逃げろという前にまずはその子供にちゃんと誰かに相談するという勇気の前進の1歩を勧めるのが大人の役割だろうがよ!漠然に行かなくて良い行かなくて良いと言いやがって。これを要約してやろうか『逃げろ!あとは知らないけどね』ということだろうが!不安がる子供に何孤独を選ばせてんだ!アホ!だからたいていああいうのはまだどうにかなる小中学生に大体向けられてんだよ!このクソ大学生!お前はちゃんとしろ!逃げる逃げ幅も逃げ見込みもお前には残されてないんだよ。お願いだから今は頑張れよ…!人生なんて失敗の積み重ねにすぎないそんなにクヨクヨばかりするなよ!まだ若いんだから!」

A「いや!逃げ場なんてどこにでもあるよ!どこにでもあるさ!選択肢はいくらでもある!大学生だって同じだろ!俺はみんなとは違うんだよ!」

神「でも大学へはちゃんと行けよ…逃げるな若さを持って逃げるな。あぁそうだ小中学生のやつも実際は逃げてるんじゃない別の道を選択するだけだ。でも今のお前は逃げてるにすぎない。意外とたくさん居るんだよお前みたいなやつ。でもまだ全然間に合うよ。」

A「……わかった、行くよ」

神「そうか…!行ってくれるのか」

するとその声はだんだんと遠ざかっていった。

A「やっぱし行かねー」


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きんぴら
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