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諏訪原天祐
2024年5月13日 20:13
「それじゃあ、俺たちの新たな門出に乾杯!」 益田はそう言うと、グラスを持った右手を高々と掲げた。かちゃんかちゃんとガラスのぶつかる音が狭い部室内に響く。これまで四年間を共に過ごしてきたこの仲間たちとも今日を境に会うことが無くなってしまうのかと思うとどこか寂しく感じてしまう。そんな思いを振り切るようにぼくはコップの中のビールを一息に飲み干した。目の前では鍋がグツグツと煮えたぎっている。「それに
2024年5月3日 21:52
わたしがまだいたいけな美少女小学生だったころ、近所に「太陽の塔」があった。 といっても、大阪の万博記念公園に鎮座する、なんだか様子のおかしなおっちゃんが作ったほうのそれではない。けれども、わたしたちの町の「太陽の塔」も、本家のそれと同じか、いや突拍子のなさならそれ以上か、まあとにかく非常に奇天烈な物体だった。 わたしの実家からすぐのところにある小さな児童公園のちょうど真ん中にそれはあった。高