【研究公開】オルタナティブプロセスの階調を最適化する画像処理システムを研究開発しました📸
大変ながらくお待たせしました…!!
最新(2023/06/08現在)の研究成果のお披露目です!
Title: “Give Life Back to Alternative Process: Exploring Handmade Photographic Printing Experiments towards Digital Nature Ecosystem”
Author: Chinatsu Ozawa, Kenta Yamamoto, Kazuya Izumi, Yoichi Ochiai
こちらのプロジェクトは,SIGGRAPH 2023のLabsプログラムに採択され,今年(2023年)の8月にアメリカ,ロサンゼルスにて研究成果を直接発表する機会をいただけました!!!わーい!!!!
Digital Nature Group(筑波大学落合陽一研究室)に所属して1年が経過しました!本当に濃くて濃くて…な初年度を終えまして,体感的には3年くらい研究室にいたんじゃないかと思うくらいです.
私の研究テーマは「デジタルネイチャー時代のクラフトマンシップと民藝」,特に「アナログな写真技術に計算機を取り入れることで新しい写真体験をどのように創出できるか」という問いを掲げて研究に励んでいます.
初年度は, オルタナティブプロセス
という古典的な写真印画法を重点的に研究しました.
最初に公開したプロジェクト “Computational Alternative Photographic Process toward Sustainable Printing”
最初に公開したプロジェクトは,オルタナティブプロセスの中でも
サイアノタイプ
に注目しました.
サイアノタイプは現代の写真家さんでも使用されている方が多いですね!最近では,菅田将暉さんの「ラストシーン」MVに用いられていたり,櫻坂46の「As you know?」のジャケ写にも用いられた手法として話題になりました.
サイアノタイプは基本の印刷色は感光剤の沈殿反応で生じるプルシアンブルーの「青色単色」ですが、クエン酸といった家庭でも使うような化学薬品や,布を染めるために用いることがある茜という天然染料を用いることで,黄色や赤色に「調色(トーニング)」ができます.この手法で,「青・赤・黄」の3色を重ねることで,カラー印刷が可能であるという新しい手法が最近明らかにされています.
しかしこの手法は公開されたばかりで,一般にはあまり知られておらず,加えて印刷にかかる時間が長く,色調の調整が非常に困難です.そこで,私たちは計算機を活用し,効率的かつ環境に優しい多色印刷法を開発するためのフレームワークを構築しました.
最新の研究プロジェクト “Give Life Back to Alternative Process: Exploring Handmade Photographic Printing Experiments towards Digital Nature Ecosystem”
さらに,この最適化技術を応用して,サイアノタイプの他にソルトプリントやプラチナプリントといった単色印刷に対し,コンピュータ処理による階調調整を行うことで,美的な表現の幅を広げることができることを示しました.
かっこいい動画は研究でも大変お世話になっているやまけんさんが撮ってくれました!!前回に引き続き最高にエモい画をありがとうございます🙏
詳細は論文の正式公開をお楽しみに!!笑
これから目指すところ
今後は,大判カメラなどのクラシックな写真・映像機器に計算機を組み込むことで,新しい体験や表現を生み出す可能性に焦点を当てた研究を引き続きDNGで進める予定です.
このちょっとニッチな分野で情報学の研究をしている私ですが,将来はサイエンスコミュニケーターとして,科学,特に情報学の分野に関して,初めての人でもこの分野の面白さを誰かに語りたくなっちゃうくらいにわくわくできるコミュニケーションを提供したい!と目指しています.
よく話題に上がるようなメジャーの分野から私のようなニッチな分野でも見てみたらすごく面白い!というようなところまで,常にサイエンスのアンテナを張って,それをよりみなさんに新しい視点や刺激を与えられるような方法を用いながらコミュニケーションがとれるように,研究活動と,その成果の発信を通じて力を培っていきたいと思います!!
これからも精一杯研究に励みますので,みなさまのご支援・ご協力をよろしくお願いいたします.
普段はTwitterでどうでもいいことから趣味のこと,研究のこと全部まとめて呟いています!是非フォローお願いします(もっと研究と写真とデザイン界隈のお友達ほしいです