1月9日 エアライドの個人的な思い出
桜井政博のゲームを作るには:カービィのエアライド 【企画コンセプト】
わー懐かしい。『カービィのエアライド』は間違いなくゲームキューブ時代一番遊んだゲーム(そもそもゲームキューブは発売タイトルが極端に少なかった……というのもあるけど)。私はそれこそ連日ずっと『カービィのエアライド』ばかりやっていて、今でもシティトライアルのステージ構成は正確に記憶している……というくらい。ゲームキューブ時代一番の秀作だったと言っても過言にならない。
Switchで復活して欲しいタイトルだけど……でもこのゲーム、「桜井イズム」がかなり濃く出ちゃっているゲームで、カービィシリーズのタイトルは現在HAL研のスタッフに委ねられていて、桜井さんの手から離れてしまっている。桜井さんが関わらないと成立の難しいタイトル。もしも復活しても「別モノ」になってしまうであろう。
それでも「もしもSwitch版」があったと妄想したら……。
普通に考えられるのは「シティトライアル」のオンライン対応。
でも普通にオンライン対応したら、実は「思ったほど楽しくない」という感じになるんじゃないかな。というのも生身の人間を相手にするわけだから、いい感じにマッチングすれば楽しいゲーム体験になるけど、経験的にいってそれだけ良マッチングに恵まれることってあんまりない。いっそ、CPUを相手にしたほうが気楽に楽しめるんじゃないか。
それでも、そういう対人戦を楽しめる……という人は一定数いるだろう。それはどういう人かというと、「自分は勝ち続けられる」というタイプ。自分が勝てるなら対人戦は無限に楽しい。でもほとんど大半のユーザーはそうではない……ということは頭に入れたほうが良い。
すると「ゲームの目標」自体を変えたほうが良い。
提唱するのは「協力型」「アシスト型」のゲーム。
「協力型」は『Splatoon』のサーモンランのように、チームが協力して一つのミッションに立ち向かっていくようなゲーム。「アシスト型」というのは、「誰かを攻撃して撃破」することを憲章されるゲームではなく、一緒にやっているプレイヤーをアシストした人ほど憲章されるゲーム。
私はこのアシスト型のゲームを強く押し進めたいと考えている。現状だと他プレイヤーを圧倒した人ほど褒められるゲームが大多数となっている。でもそれは「勝ち続けられる」人だけが楽しいゲームだし、それにそういう人とははっきりいって友達になりたくない。ついでにカービィというキャラクターにも合わない。
具体的には自分が獲得したアイテムを、自分だけのものとするのではなく、他プレイヤーにシェアする。自分を強化するよりも、シェアしたほうが最終的なスコアが大きくなるようにする。
もう一つは、一緒にやっているプレイヤーの窮地を救うこと。これはなにをもって「窮地を救ったこと」とするのか、判定は難しいけど。
アシスト型の利点はまず第一に「友情破壊ゲーム」から「友情を繋げるゲーム」に変わる。アシストすればするほど憲章されるのだから、上手いプレイヤーほど下手なプレイヤーを積極的に関わって助けようという動きをし始めるはず。「自分が勝つこと」をテーマにしたゲームは下手なプレイヤーを排除しようと動いてしまうが、アシスト型にすれば逆に「引き込んで助けよう」という動き方に変わるはず。
シティトライアルは大舞台でアイテムを蒐集した後、特設ステージへと移行するのだけど、こちらを全て「自分が勝つため」のものではなく、「他人と協力」するタイプのもの、あるいは「他人を助けるためのもの」に変える。
……という話をしても、みんな「理想」の話だけど。そういうふうに考えているゲームクリエイターがこの世にどれだけいるんだって話。そもそも、アシスト型ゲームなんてものがこの世になく、それが面白いかどうかもわからない。
もしも本当に『カービィのエアライド』のSwitch版が実現したとしても、たぶん骨肉の対戦バトルものになるんじゃないかな……。それが普通の発想だからね。そうすると私、エアライドを楽しめないかも知れない……。私は勝ち続けることができないから。