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7月11日 インディーズゲーム『グリーク アズールの記憶』をクリアしたという話。

 先日、『グリーク アズールの記憶』というゲームをクリアした。
 本作はメキシコ発のインディーズチームNavegante Entertainmentが制作した。発表は2021年8月17日。Switch、PS5、XboxOne、PCなどで遊べる。

 キャラクターがちょっと可愛いでしょ。それで始めたの。
 タイトルになっている『アズール』というのが物語世界観の名前。主人公達は人類ではなく「クーリン」と呼ばれる種族で、長らく土地に住み着いている「ウーラグ」と呼ばれる怪物達と抗争の日々を送っていた。
 クーリンとウーラグの抗争は、クーリン有利で歴史が紡がれていった。しかし、ある時からウーラグの反撃は激しさを増していき、クーリン文明を破壊し、揺るがしていく。
 とうとうクーリンはウーラグとの戦いに敗北したことを認め、土地から立ち去る計画を立てようとしていた。そんな最中、主人公「グリーク」はお姉さん「アダラ」お兄さん「レイデル」と森の中ではぐれてしまう。グリークは一度は森の中で脱出計画を立てている一同と合流するが、姉と兄を見付けるために自ら森の中へと入っていく……。
 というここまでが本作が始まるまでのストーリー。グリークがアダラとレイデルと合流し、森で脱出計画を立てているグループに手助けをして、最終的に飛空挺で脱出するまでが本作のストーリー。あらすじを読んでいてわかると思うが、ゲーム自体は非常に短い。数時間でクリアできてしまう。

 ゲーム自体はオーソドックスな2D横スクロール型。ただしステージクリア型ではなく、何度も同じ場所を巡って、ギミックを解いて次のエリアへ進んで行くタイプのゲームだ。アクションはそこまで重視されていない。

 が、一度に操作しなければならないキャラクターが2人、3人となると急に難しくなる。ゲーム自体はさほど難しくない。しかし気を遣わなければならないキャラクターが2人、3人に増えていくと、あっという間に混乱してしまう。簡単な操作でも何度もミスしてしまう。人間は一度に2人以上のキャラクターを意識しながら操作できないんだ……ということを思い知る。むしろ難易度低めに抑えてくれていて良かった……。
 初期設定では「待機中のキャラクター」もモンスターに攻撃されてダメージを喰らっちゃう設定だけど、さすがにこれはキツいので、設定で「待機中はダメージを喰らわない」設定に変更した。これだけで難易度は劇的に下がってしまうが、別に高難易度は求めていない。それに、画面に映っていないキャラクターを常に意識しなければならない……というと急に思考が鈍ってしまう。人間の脳はシングルスレッドなので、一度に複数のことを気に掛けて考えることはできないのだ。

 待機中のキャラクターはダメージを喰らわない……という設定にするとこんなずるい戦法も使える。ボス戦の時、待機中のキャラクターをステージの中央に置いて、自分は逃げ回って時々攻撃する。大抵のボスはこれで勝てる。
 ちなみにボス戦は、ちゃんとやるとかなりキツい。ボスの行動パターン自体は単純だが、キャラクターの機動力がさほど高くないので攻撃がかわしづらく、さらにライフが5しかないのであっという間に削られてしまう。無敵状態の待機キャラクターを中央に置く……という戦略なしでのボス戦は、やってみるととんでもなく高難易度。私はこの戦法なしでクリアできる自信がない……というくらいの高難易度。

 ライフはたったの5。雑なゲームプレイをやっていると、あっという間にゲームオーバーになる。

 引っ掛かるのが3人目の仲間である、お兄さんのレイデル。レイデルの機動性が極端に低い。レイデルはフックショットを飛ばして移動することができるのだけど、このフックショットの判定がかなり厳しい。狙ったところになかなか引っ掛からない。
 しかもレイデルは水に落ちると溺れてやり直しになってしまう。後半、水の上をフックショットで引っ掛けて進まなければならないシチュエーションがあるのだが……作中、最大の難所になってしまう。
 これは「仕様」で難易度が上がってしまっている……という状態なので、あまり良い状態ではない。ゲーム的な仕組みで難易度が上がっている状態には納得できるけど、仕様(例えばやたら判定が厳しいとか)で難易度が上がってしまっているという状態はなかなか楽しいとは感じづらい。このフックショットの仕組みはちょっと残念に感じるところだ。

 短いゲームだが、世界観はかなりガッチリ作り込まれている。この世界ならではの歴史や原理なども考えられている。ゲーム自体は小さいが、そこから溢れるくらいのディテールは作られている。

 2Dアクションゲームだが、背景の作り込みが見事。奥の方までガッツリ作り込まれている。パターン絵で作っていない。絵がちゃんと描ける人が世界観を作っていることがわかる。
 アニメーションも非常に細かい。モンスター1匹1匹も妥協なくアニメーションが作られている。

 主人公の主目的は森ではぐれてしまった姉と兄を見付けること。サブ目標は飛空挺完成まで手伝うこと。飛空挺を完成させないと、ウーラグだらけになってしまった森から脱出することができない……。全員で脱出するためには飛空挺完成が不可欠……ということを察し、手伝うことになる。

 短いゲームだけど、短いぶん、そこに詰め込めるだけ詰め込んだ……という感じのゲーム。キャラクター、世界観、アニメーション、サウンド……いろんなものが高品質に敷き詰められている。自分たちができる制作力の範囲内で、全力を注いだ結果だろう。その一点突破で、並のゲーム会社よりも高品質なものは作り上げている。小さな作品だが、作り手の想いをたっぷり感じることができる1本。ある意味でインディーズらしいゲームだ。

 ラストダンジョンは3人で協力してギミックを解く……という内容。ここが難所。最初クリアできないんじゃないか……とすら思ってしまった。俯瞰して考えてみるとそこまで複雑ではないのだけど、3人のキャラクターをバラバラに移動させながら……というだけで頭がしんどくなる。
 3人のキャラクターを動かす……という趣旨のゲームだから、どこか頭の体操的な感覚のあるゲームにもなっている。


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