10月13日 近況報告:あの漫画のその後と、現在制作中の作品について
私は2022年3月から8月までかけて、452ページの漫画のネームを書き上げた。いまこの作品の売り込みをやっている。
10月13日時点で、マガジンと電撃に送付したが、どちらもかすりもせず。マガジン編集部は送付したがその後連絡が来ず。2週間が過ぎてこちらから連絡を入れるが、「採用する気はない」と。つまり「受付拒否」。最低な対応をされた。もう二度とあそこには原稿を送らない。
電撃もやはりかなり遅れて講評が返ってきたが、内容が誤字脱字だらけ。しかも、「あ、こいつ、そもそもストーリー理解できなかったな」とわかるようなものだった(というか、ちょっと知能指数に問題ありそうな文章だった……そんなやつに下読みさせていいのか、電撃?)。要するに、テキトーに扱われたわけだ。
私が半年がかりで描いた漫画『天子姉妹の祝福 第1章』は452ページもある。そもそもそんな大ボリュームの漫画を受け付けてくれているところは少ない。さらに次の出版社に送ったのだが、その出版社では発表が2ヶ月後……12月になるという。
ネーム受付可でページ数無制限のところはそう多くないから、あとどれだけ送れるところがあるか……。
地方出身者はどこまでも不利だ。東京出身者なら、1日で出版社を回れるかも知れないが、地方出身者は出版社に送って、数週間から数ヶ月待たなければならない。ダメだったら次……でまた数週間待たされる。とにかくチャンスがない。
その間、かなり精神的にキツい。今回の作品は、完成まで6ヶ月もかかった。その作品がどこからも採用されず、「ゴミ」になるかも知れない。これがあまりにも不安で、本当に夜眠れなくなる。6ヶ月かけた成果物が、日の目をみることもない。お金になることもない。……この不安が理解できる人は、漫画を描いた経験のある人だけだろう。もしも本当に「ゴミ」ということになったら、あの6ヶ月はなんだったんだ……ということになる。何の意味のないものに、私は6ヶ月もかけたのか……と。夜、これで「うわぁぁぁ!」となって眠れなくなる。
もうちょっと地方出身者にも平等のチャンスを与えてくれないものだろうか……。
どこかに送って、待つしかできない。この待っている時は本当に最悪な気分になる。最悪の気分がずっと続いて、落選とわかるとさらに落ち込む。しばらく何も手に付かなくなる。「なんで? どこが悪かった?」……誰も答えを与えてくれない。実際、講評を聞いても、「ん? それが理由??」という感じになる。『ラーニャ』の講評は納得感ゼロ。理由らしい理由はどこにもないのに「落選」という扱いだった。「本当にちゃんと読みましたか?」と聞きたくなる。
編集者は所詮は編集者。描き手の苦労なんて何も知らない。編集者はどんなクソ仕事をしても、毎月給料をもらえる立場だ(それこそ、そもそも漫画を読むだけの読解力がなくても仕事をやっていられる)。漫画家がどんな苦労や苦悩を抱えているかなんて、考える機会もない。平気で「はいボツ~!」とかやれる存在だ。実際、マガジンと電撃の編集者は何の感情を持たず、それをやった。
しかもすぐに気付いたが、編集者には「プライド」があるらしく、自分の頭で理解できなかった作品を、「読者にはわからない」とちょっと回りくどい言い方をする。電撃の編集者だけど、講評見た段階ですぐにわかったけど、明らかにストーリー理解できていない。でも「自分が理解できなかった」ではなく「読者は理解できない」という言い方をしたんだ。
(途中から「コマ割りが複雑すぎて読み方がわからない」……と書いていたけど、あれは嘘だよね。わからないわけがない。確かにトリッキーだが、セオリー通り吹き出しを追って右から左に視線を移せば読めるはず。どの場面を言っているのかというと間違いなく、207~220ページまでの「解説シーン」の話。あそこを読み切る知力がないのはどうかと……)
編集者やっている人に言いたいけど、わからなかったら「すみません、わかりませんでした」って言えばいいよ。そこでヘンなプライド出さず、わかっているフリをするほうがみっともない。「わかりませんでした」と言えば私も、「ああそうですか」で済ませるから。
なんで私はあんな連中に生殺与奪の権を委ねているのだろうか。でもあんな連中でも、承認を得ないと漫画の仕事も得られないというのが現実。もうすでに私は編集者という人間が大嫌い。
あとやっぱりストーリー難しすぎたか……。
最近の私は、何をやっているのか……というと裏名義でエロ小説を書いている。こちらの作品は、もともと2022年3月までに制作が終わっているはずだったが、完了させられなかった作品。
「2022年3月に入ったら『天子姉妹の祝福』の制作に入るから、それまでに完了させる」 (これは『天子姉妹の祝福』の脚本がこの時点でかなり進んでいたため)
というプランの元、書いていた作品だったが、このエロ小説、なんと原稿用紙1000枚越えの大作になってしまった。全部で1300枚。私は色んな小説を書いているけれど、ここまでの大作、最近は書いてなかったぞ……というくらいの大ボリューム。それで完了させられなかった。
今ようやくエロ小説の制作を再開させているだが、何をやっているかというと、第2章の挿絵制作。私は「絵描き引退」したはずなのに、裏名義のほうでまだ絵を描いている。私は絵仕事は本分ではないので、他の人に委ねたいと思っているはずなのに……しかし委ねられる人がいないので、仕方なく自分で描き続けている。絵描きにお願いするためのお金がないんだわ……。
なんでエロ小説を書いているのか……というと私の裏のライフワークだ。エロを描くというのは、自分自身と向き合える。書いている過程で、自分でも考えもしなかった発見に行き着くことがある。創作とは何か、人は何を求めているのか。
そこから『天子姉妹の祝福』の構想も生まれた。性とアイデンティティがどのように一つの人格に結びついているのか、それを描いたのが『天子姉妹の祝福』だが、この発想に至ったのはエロ小説の執筆が切っ掛けだった。天子サキと唐手いぶきが夢の中でセックスするシーンは、そういう意味がある。セックスによって、自分がどういう人間か、その本質に向き合う物語だ(ただ、今のところこのテーマに気付いた編集者は1人もいないのだが……)。
エロ小説を書いている裏名義について、公表すべきだ……とは考えている。今の時代、隠していると暴かれ、なぜか謝罪するような事態になる。
(裏でエロ作品描いていたなんて、許せない! ……と考える人もきっといるだろうから。私だってエロは好きだし、エロだけの作品を書きたいとは普通に思う。だがそれが許せないという人達はいる)
それを理解しながら、なぜそうしないのか……というと恥ずかしいから。だってエロ小説の本質は「告白」だから。内容を読めば、その人間がどんな性癖を抱いているかわかるし、どんな歪み方をしているかわかるし、その人の本質まで透けて見えてしまう。普通の創作よりも、さらに本質が透けて見えるような作品になっているから、あまりにも恥ずかしくて、公表ができない。
(裏名義の方では性癖ダダ漏れだし、海外の無修正エロ画像一杯リツイートしているしで……。公表しようにもできない理由が一杯あるんだ)
読んでいる方はそこまで深く読み込んでいないし、たいていの読み手は作品の中に自分の願望を投影するだけだ。書き手がどういう心理なのか……とかそういうところまで見る人はいない……というのはわかっている。
私は書き手だからそういう裏の心理も見えてしまう。だからちょっとつらい。他の人の作品を見ても作者の内面を読んでしまうし、自分の作品から自分でも気付かなかった本質を見出してしまう。だから「こりゃ恥ずかしくて人に言えない」ってなってしまう。
(他の人の作品を見ると、内面がわかることはよくある。それで「うわぁ……」ってなることもよくある。もちろん、そういうことは公には言わないけど。本人は隠せているつもりのものだから、それをわざわざ大きな声で言う必要はない)
樋口真嗣監督の言葉だが、「映画監督はいかに観客に気づかれずパンツを脱ぐか」というが、エロコンテンツの怖さは、もう最初から誰もパンツを履いてないこと。全部さらけだしていることに、作っているほうが耐えられるかどうか。
エロをメインにしている作家さんは、どうして平気なんだろう。ほとんど全裸でスーパーへ買い物へいくようなものなのだが……。
余談だが、いま向き合っている困難は、おまむこの描写だ。ちむこはだいたいどんな人でも似たような形をしているのだが、おまむこは人によって形が様々。ポーズによって表情も変わる。ちむこ、おまむこの写真資料を一杯集めて、「ふーむ」と唸っている日々である。
それにしても、こんなにじっくりちむこ・おまむこと向き合うなんて、日常的に暮らしている人にあるのだろうか……。
でもやはりいずれどんな作品を描いているのか、公表すべきだろう。でも今はまだ恥ずかしいから、もうしばし期間がほしい。いま感じている恥ずかしい感情を乗り越えれば……。
こうしてエロ作品を描きながらふと思うのは、私はもっと性と向き合いたいんだろう。もっとこっちの世界に深入りしたいが……いやいや、この制作が終わったら、戻ってこないと。
……エロビデオとか作ってみたいけどさ……。
このエロ小説の制作は、早ければ10月中に完了する。そのくらいの頃に、DLsiteに作品が登場するはずだ(FANZA同人では諸事情があって公開しない。DLsite専売となる)。では次に何をするか……はもう予定を立てていて、マニュアル本を買って準備を進めているのだけど……。こっちはまた延期になりそうだ。
というのも、また次の漫画の構想が出てきた。しかもこの漫画は、可能な限り早く描かなければならない。「鮮度」が重要な作品だ。鮮度、つまり最近おきているある事件にまつわるお話で、みんなの意識が風化しないうちに書かねばならないし、それに同じことを考えた人は絶対に100人以上いるはずだから、できるだけ早く提唱しなければならない。(もしかしたらpixivあたりで、アレにまつわるお話を書いている人はもういるはず……)
この作品の構想は、実はもう何年も前にアイデアだけ出していて、「まあそのうちに……」と放置していた作品だったが、「いま書かなきゃダメだろ!」という状況になったので、早く書こう……ということになった。「きっと10年後くらいの話だろう」と思っていたのが、まさか今年いきなり来るとは思わなかった。
追記:エロ小説、制作延長のため10月中に完成せず。
ここまでが私の近況だ。要するに、漫画『天子姉妹の祝福』の制作が完了した8月末から何も動いていない。来月の今頃には、なにかしらの成果物を出せれば……とは思っているけど。どうなるのやら……。