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9月10日 キノコの菌糸とロボットを合体させたら? 発想を飛躍させて、もしも菌糸をベースにしたニューロチップなるものがあったら?
おもしろテクノロジーの紹介。
キノコの真菌を使って、ロボットを動かそう……という試みだ。
これはロボットとなにかしらの有機物を合体させる「バイオハイブリッドロボティクス」と呼ばれるものだ。過去にクラゲやラットの細胞を合体させた試みはあったそうだが、今回はキノコ。
![](https://assets.st-note.com/img/1731108707-rELlZb1kzsXeKOpfhqJVSFyT.jpg?width=1200)
キノコを用いた理由は、培養が容易で、仕組みも簡単だから。3Dプリンターで作った通路の中に菌糸を誘導させ、電極と合体させればそれで完成する。菌糸体は菌糸の中で電気のやりとりができるので、動画のように光を当てれば、ロボットが駆動する。
もしもこれが実用化すれば、今までのような処理不能の廃棄物を減らせるし、紫外線を浴びさせれば駆動するので、従来のエネルギー(電源)が必要なくなる。
ただし問題なのが、元がキノコだから、栄養がないと普通に死んじゃうこと。寿命が短い。有用なのは「エコ」という部分だけ。もしも普通の家電のように、菌糸が10年以上生き続けてくれるなら実用化の夢は一気に近付くのだが、そういうわけにはいかない。
夢のテクノロジーのような気がするけど、今のところ「おもしろテクノロジー」でしかない。
このお話しを紹介したのは、次のお話しを前座。私が連想したのは、こちら。
![](https://assets.st-note.com/img/1731108887-ShxatWsM6rERIP3LAGvQfFBq.jpg?width=1200)
こちらの画像は、漫画『攻殻機動隊』の2ページ目に描かれている画像の一部。
説明を見てみよう。
これは1998年、播磨研究学園都市で創られた成長型ニューロチップを5万倍に拡大したもの。過剰成長で細胞が死にかけて、各所で神経繊維の断裂が見られる。ポリスチレンに乳糖(ガラクトース)をのせた誘導体などで構成される端子にまで繊維が成長し、端子を印刷してある薄膜を歪ませている。同月、マイクロマシンによる補助電脳を使う医療に、メディアを核とする巨大資本がネットを始め、電脳技術はマイクロマシンをベースにしたものに移っていく。2028年、ニューロチップはAIやロボットに多く使用されている。
これは「成長型ニューロチップ」で、生物のように自分で成長し、自力で複雑化していく。電子パーツであるのに、あたかも生き物の細胞のようになっている……という状態を絵で表したもの。成長して複雑に絡み合う一方、白くなったところは死んでいる部分。自己増殖をしながら、不要になった部分は死んで、勝手に進化しちゃっている。
人間のような人格を持ったAIを実現させるためには、複雑なニューロチップが必要であるが、従来のニューロチップでは限界がある。そこでこのような成長型ニューロチップがあって、自ら増殖し、成長していったらどうなるか……。
漫画『攻殻機動隊』の中ではこれが後に「人形使い」という名前のAIとなり、日本へ亡命することで、自我をもった生命体であることを主張しようとする。
という成長型ニューロチップなどは現実には存在しない。もしも電子部品が、生き物のように成長したら……という空想で作られたもの。
今回、キノコの菌糸とロボットを合体させるおもしろテクノロジーを見て、連想したのがこの成長型ニューロチップ。件のバイオハイブリッドロボティクスは菌糸を単に電源代わりに使う……というだけのものだったけど、ちょっと発想を飛躍させて、菌糸そのものを電子チップと融合しちゃったら? 菌糸ニューロチップが独自に成長し、人間には設計できない複雑で深みのある仕組みを独力で作ったとしたら?
そんなものは存在しない……というのはわかってるよ。でももしもあったら……という想像の話。
キノコというものは、菌糸の中でも地表に現れたごく一部に過ぎない。土中には「ウッドワイドウェブ」といって菌糸が広範囲に張り巡らされ、あたかも天然のインターネットのように情報のやりとりをしている。森の中で異変が生じたら、ウッドワイドウェブを通じて、森全体に危機が共有される。雨や雷といった自然現象も感知していて、雨が降ると森全体でキノコがニョキニョキ生えてくるのも、ウッドワイドウェブで情報のやりとりをしているからだという。
ただしいくら巨大でも、所詮は菌糸でしかないので、原始的な反応しか示さない。土中で広大で複雑に連なっているけど、キノコが知能を持って喋り始めるわけはない。
そこで電子チップと菌糸を合体させたら……という空想をしてみたらどうだろうか。人類に変わる新しい知能生命体は、キノコだった……。キノコが寄生した樹木が『ロード・オブ・ザ・リング』のエントのように動いて話し始めるとか。
数十年後の未来、どこかの科学者が電子チップとキノコを合体させて、森に放流。以降は、電子チップは工場で作るものではなく、森のなか「キノコ」のような形でニョキニョキ生えてくるので、それを収獲して、ロボットに組み込んで使うようになっていた……。
しかしやがて人類文明は滅び、電子チップキノコを量産する森は、やがて自我を獲得し……。人類はキノコ人間にかつての英智を教わりながら、滅亡を免れるのだった……。
現実ではあり得ないとわかっているけど、SFのネタとしては結構面白いのではないか? もしも知能を持ったキノコが現れたとして、その生命体は人類とどのように関わってくるだろうか?
そういう空想で物語を作ってみるのも、面白いかも知れない。
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