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2018年夏アニメ感想 バナナフィッシュ
『Free!』といえば内海紘子監督、というイメージがあったが、その『Free!』が放送されている同時期に内海紘子監督『バナナフィッシュ』が放送……。企画立案のタイミングとかで被ることはまああるが、なんだか不思議な感じがする。
『バナナフィッシュ』の原作をまったく知らない状態で作品と接しているが、ものすごく面白い。アメリカのスラム、ストリートギャングを主人公にして、物語のベースにドラッグが出てくる。かなりユニークな設定だし、描写の一つ一つにも説得力がこもっている。普通にアメリカのドラマを見ているようなスピーディで緊張感のある展開。アクションも迫力充分。テーマの掘り下げ方もいい。
男性キャラクターのいい感じのセクシーさもいい。主人公アッシュのなんとも言えない色気。その色気に群がってくる業の深い男達……これが物語の起点になっていて、主人公の美貌が意味のある設定になっている。
『Free!』はみんなフェロモン出し過ぎだが、『バナナフィッシュ』はアッシュや奥村英二の他は普通にオッサン。オッサンはオッサンとして描かれている。このバランス感覚がいい。
ただ……見ているとなんか違和感というか……。原作を読んでいないからの印象だけど、何か変だな、という気がする。落書きだらけの路地裏や、ストリートギャングが持っている世界観が、どうにも現代風に見えない。しかしスマートフォンとかが出てくる。作品の風景と時代感覚が合わないような気がする。
私の意見ではなく、とある人が動画で語っているのを聞いたのだが――『バナナフィッシュ』の舞台は本来1980年代。その当時より少し前に起きていたベトナム戦争、そこで起きていたドラッグ問題や、帰還兵の戦争後遺症の問題が背景ににあってそこから生み出された物語なのに、それを現代に移してきたからおかしなことになっている。アッシュの兄はイラク戦争の帰還兵ということなっているが、イラク戦争はドラッグ問題は起きていない――と、いう話を聞いて腑に落ちた。ああ、違和感の正体はそれだ。全部受け売りだけど。
違和感の正体がわかってしまえば、「まあそういう世界観なんだな」と受け入れることができた。 しかし……だったら世界観は1980年代のままで良かったんじゃないか、という気はするのだが。なんでまた現代に持ってきてしまったんだろう。1980年代の物語……と思って見ても、若いユーザーは入り込んでみてくれると思うが。
少々の違和感はあるが、しかし作品が持っているストーリーの魅力、奥深さは変わらない。毎回毎回、次はどうなるんだろう、と展開で強く引っ張ってくれるし、人物達のドラマも引き込まれる。2クールとちょっと長めの構成で作られている作品。後半戦にも期待だ。
名優に。
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