8月10日 最近よく見かけるNintendo Switch後継機の噂話 ウソ? ホント?
ここ数日、ゲームメディア界隈で「Nintendo Switch2開発中か?」という記事をかなりたくさん見かけるようになった。
とりあえずまとめてみましょう
ってな感じで、ゲームメディアの情報を追いかけているとだいたいこんなところ。取りあげているところは多いけど、どこの記事を読んでも情報の出所が一緒なので、だいたい同じことが書かれている。
それと、数年前の話だけど、台湾のSwitchのカートリッジを製造・供給しているメーカーが新しい大容量カートリッジを発表したときに、「主な取引先は任天堂だ」と発言していた。ということは、Switch2で採用になるのでしょう。
では次にスペック関連のリーク情報を見てみましょう。
情報をピックアップするとだいたい以上のような感じ。任天堂は生産性の高さと購入時のお値段を重視するので、スペック面は残念ながらSteam Deckよりも下。Steam Deckは64GBモデルが5万9800円、512GBモデルが9万9800円……とかなりお高め。Switch2はおそらく3万円台を維持すると思われるので、そこまでスペックは高くないと予測される。
ポイントとなるのは、「AI超高解像度技術【DLSS2.0】」という技術の採用。これ、知っている人は知っていると思うけど、最近FANZAのラインナップなんか見ていると、昔SD画質で販売していたビデオを、4Kアップスケールして再販売されている。どうしてそんなことができるのかというと、AIによるアップスケールをやっているから。SD画質よりももっと荒い画質でも4Kまで引き上げることができちゃうらしい。
最近、真偽不明な噂話として広まっているのは、「Switch2で『ファイナルファンタジー7-リメイク』と『Matrix Awakens』が動作した」という話。この噂、SNSでも結構広まって、この話だけ聞いた人たちが早合点して、「そんなわけないだろ! Switchの大きさでPS5クラスの性能が出せるわけないだろ! 値段いくらになるんだろ!」、ゲームメディアでは「スイッチ2はPS5に匹敵する性能!」……と言っている人がたくさんいたが……落ち着け。Switch2のスペックはPS4程度だ。性能はPS4程度だけど、グラフィックだけはDLSS2.0でアップスケールして『ファイナルファンタジー7-リメイク』を動かせた……という話だ。
だから例えば『戦国無双』のように、一つの画面にキャラクターが1000体くらいわーっと出てくるようなゲームは処理しきれない。中身はPS4程度だから。思いだしてみなよ、『ファイナルファンタジー7-リメイク』はPS4でも出たでしょ。PS4で出せるゲームであれば、Switch2でいける……という話。
現実的な話として、一つの画面に1000体くらいのキャラクターが一度に出てくる……みたいなゲームってほとんどないんだよ(探せばあるだろうけど)。1000体のゾンビが一度に出てきて、一人一人が個別に自立した意思を持って動いている……そんなゲームはほぼない。それだけCPUに負荷かけまくる「処理が複雑なゲーム」ってPS5やXbox Series Xのゲームにもほとんどないんだ。PS5のほとんどのゲームは、グラフィック以外で「絶対にPS5でなければならない」というゲームってあまりないんだ。グラフィックの質を落とせばPS4で出せるゲームばかり。だからスペック的にはPS4程度で充分。グラフィックのみAI技術でアップスケールをかける。これが任天堂の合理的判断じゃないかと。
性能そこそこでAIでグラフィックをアップスケールする……というのはこれからのゲームの有り様かな……という気がする。というのももはやゲームのアピールポイントって「ゲームそのもの」じゃなくて、「グラフィックだけ」になっちゃってるから。
【追記9月28日】
こんな話から各所からポロポロ出てくる……ということは、Switch2の話は本当なんでしょう。2024年後半発売と言われているが、そんなものが1年前の今時点で出てくるのは、すでに仕様も確定していて、生産も始めている……ということなのでしょう。発売1年前の時点で作り始める理由は、発売時に充分な台数を用意するため。ソニーがPS5を発売した直後、ウクライナーロシア間で戦争が始まってその影響で部品が集まらず、一番売れるホットシーズンに台数を用意できなかった……という苦労があった。それを横で見ていたから、早いうちに作り始めて、台数を用意しておきましょう、ということなのでしょう。
(将来的に「台湾有事」が起きる可能性がある。Switchの部品の多くは台湾で製造されているので、もしも台湾有事が起きたら、Switchの製造は大幅に滞ってしまう。そういう可能性があるからこそ、早めに作っているのだろう)
こういう嘘か本当かわからないリーク情報を見ていて……スペックの話しか出てこないことに「あれ?」という感じがしている。私はSwitch2の新機能予測として「進化した3D視」を挙げていたけれども……これはハズレかもしれない。「3D視」の最終ゴールはニンテンドー3DSではなく、こちらの技術も日進月歩、最近の3D視技術は非常に高いレベルに進化している。この技術を任天堂が知らないはずはない。
しかし、もしも「3D視」というわかりやすい機能があったら、とっくにリークされているはず。それがない、ということは……。
今のところ、Switch2は単純にスペックを上げただけのマシン……ということになっているが、だとしたら非常に残念。スペックを上げたところで、せいぜいPS4と同程度。スペック勝負したらライバル機のほうが圧倒的に魅力。任天堂は「スペックを上げるだけ」の直進方向の進化だけではなく、「遊びの横幅をいかに広げるか?」を提唱し続けるメーカー(失敗もあるけど)。まだ何かしらの隠れた新機能・新技術があることに期待したい。
ところで、私は最近『フィットボクシング』というゲームを楽しんでいる。ご存じの方も多いかと思うが、綺麗なお姉さんにボクシングでしごかれる……という愉快な体験ができる作品である。
ただこのゲーム、しばらくやっていると気付くのだけど、パンチを真上に打っても真後ろに打っても判定が出るようになっている。いろいろ検証したけれども、「ジョイコンが動いたこと」「止まったこと」しか検知していない。なんだったら10センチ動かしただけでもジャスト判定が出る。
どうしてこうなっているかというと、ジョイコンの機能問題。ジョイコンはモニターに対し、どちらを向いているか……ということまで検知していない。さらに「どちらの方向に動かしたか」ということも検知していない。
まあ、このシンプルな仕様のおかげで、「いつも同じ方向にパンチを打たなくても良い」し、それに車椅子の人でも寝たきりの人でも楽しめるようになっている。誰でも楽しめるように作られているのは、ある程度ふわっとしているおかげでもある。
こちらはジョイコンを握って適当に動くだけで、ダンスゲームが楽しめる……という作品。こちらのゲームも手に持っているジョイコンしか検知していない。
まあ、これくらいに緩いほうがいいのかもしれない。あんまりにもガチガチに動きのキメまでやれ、と言われたら上級者すぎて誰も遊べなくなってしまう。
いったいどういう技術なのか不明だけど、少し前に出てきたAppleのvision proの映像の中には「部屋の中の障害物を検知している」という場面が出てきた。部屋の中の空間を検知し、それを踏まえたうえで立体映像を出しているから、空間上に出てきたオブジェクトに対し、距離感がわかりづらい……ということが起きない。
『フィットボクシング』なんかをやっていて、ふとこういう技術があれば、人間の全身の動きもきちんと検知できるよな……と気付いた。XboXに「Kinect」という仕組みがかつてあったけど、それの進化版みたいなものがあれば、「全身を使ったゲーム」に再び可能性が出てくる。
現状の仕組みでなにに引っ掛かっているのかというと、「誤判定」が出ることがわりとあること。例えば『フィットボクシング』でアッパーのあとのフックは、体勢を大きく動かす。この体勢の動きで「動いた判定」が出てしまうことがわりとある。まだパンチ打ってないのに、その前に「パンチを打った」ということにされてしまう。全身の動きを検知できていれば、この判定ミスは減らせるはず。
(それ以前に、ジョイコンの検知機能があまり優秀でない……というのが問題)
とか思ったけれども、そういうものがSwitch2の新機能になるかどうかはわからない。
というか、まだ正式発表されてないから、今はこういう予想話を楽しんでできる。予想話は無責任になんでも言っていいのだ。それ自体がエンタメなのだから。
現行のNintendo Switchはいよいよピークアウトして、ライフサイクルの後半期に入った(といっても、日本国内ではいまだに週販5万台を超えているけど)。次世代機が出てくるというなら、そろそろでしょう。
ただゲーム業界には「大ヒットしたゲーム機の後は必ずコケる」というジンクスがある。任天堂機であれば、ゲームボーイの後のゲームボーイアドバンス。Wiiの後のWiiU。ファミコンとスーパーファミコンも比較すると、スーパーファミコンのほうが売り上げは落ちていた。ソニーもPS2の後のPS3で苦戦した。
大ヒットゲーム機には「余熱」というものがあって、余熱が強いと、新型機が発売した後も旧世代機に作り手もユーザーも残り続ける……という現象が起きる(WiiUは余熱ゼロだったから、Switchへの移行がスムーズだった)。Nintendo Switchは大ヒットしたから2024年に入った段階でも余熱をたっぷり残すだろう。その段階での新型機の販売は相当に苦労するはず。現状、スペックがちょっと高くなる……という話しかでてないが、本当にそれだけのマシンだったら、現行機のユーザーが積極的に買い換えに進むとは思えない。新型機にはスペック以外の、「それを買わねば体験できない魅力」が絶対に必要だ。
さて、新型機販売はうまくいくのか……。新社長の手腕に注目だ。
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