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ミュージカル コメディ「ファースト・デート」感想

無茶苦茶面白かった…!!
恋とか愛じゃなくても人間関係の正解がわからない人見ると良いと思う!!

ミュージカル コメディ「ファースト・デート」初日、行ってきました。
終始楽しく、しかし決して軽薄でなく、人と人の間で関係性を築くために必要な事を丁寧に描き出していて、面白いのに誠実な作品でした!

当然芝居も曲も演出も最高!
是非とも見て欲しい逸品です。

ここからはネタバレもっりもりなのでお気をつけて~!

概要

あらすじ

公式サイトより

ニューヨーク、ウェスト・ヴィレッジのレストランバー。
緊張した面持ちの金融マン・アーロン(村井良大)のもとに、ケイシー(桜井玲香)がやって来る。二人は今日が初対面。ケイシーの姉・ローレン(保坂知寿)の夫とアーロンは同僚で、それが縁で二人は《ブラインド・デート(一度も会ったことのない状態でするデート)》をすることになったのだった。
ダメ男に引っかかるのではないかと、ケイシーの親友レジー(植原卓也)は気をもみ、姉のローレンは、アーロンは結婚を見据えた恋愛ができる相手だと発破をかける。
芸術家肌で恋愛にも奔放そうなケイシーを前に、アーロンの脳裏には結婚式当日に逃げられた元カノのアリソン(音くり寿)の姿が浮かんでしまうが、そんなアーロンに親友の肉食系男子ゲイブ(オレノグラフィティ)は、一歩踏み出すべきだと喝を入れる。
その場にいないはずの、親友、親、兄妹、元恋人の心の声に翻弄されながら、お互いを探り合い、ぎこちなく会話を始めるアーロンとケイシー。そんな二人を、ウェイター(長谷川初範)も見守っているが…。

https://www.tohostage.com/first_date/story.html

ブラインド・デートという、顔も知らない友達の友達とデートするケイシーとアーロン二人の様子を、彼らの脳内や心配する友人の姿も交えながら描き出す、楽しい作品です。

音楽や作品の雰囲気はこちらで見られます。

初演時?の曲はここで聴けるようです。

初演

2013年8月にブロードウェイで発表され、2014年に日本で初演。
日本初演は今見てもかなり熱いキャストが集まってました。

物語への感想

今だとマッチングアプリや婚活サイト、SNSでの出会いで、「顔も知らない人と初めてのデートをする」事のハードルが下がっているので、ブラインド・デートをしています、っていう状況・前提の説明がすごい楽になってそうだなと思いました。
本国でのブラインド・デートの認知度がどの程度かわからないんですけど、少なくとも日本では「なるほどね」とすんなり受け入れられるような気がします。

元々先進的な作品だったこともあり、インターネット黒歴史の扱い方等は結構そのまま今に通じるなあ~~~!となりました。
ブラインド・デートで会う前に相手のことをググるな! という。
帰りに自分の名前でググった人どれくらいいるんだろう? 私はググって無事死にました! 前よりマシになったけど。前は中国の百科事典に載ってました(??)
ただ日本のオタクは、基本的にHNを使って生きてるので、社会的姓名よりもインターネット真名が割れる方が死ぬ確率上がりますよね。
「ググる」という動詞がさらっと使われていた(し、聞いている側も特に引っかからず理解できていたと思う)けれど、これは原詩はなにで、初演はどう訳されていたのかな。当時も「ググる」で伝わっていたんだろうか。
ずっとインターネットやってるから逆にどの程度知られていたのかがわからない…。

なので、「時代が追いついた」作品だ言えるかも。
(とはいえ、「別に結婚しなくて良くない?」派も増えてるので、そっちから見るとまた違う感じにはなる)

ユダヤ系のアーロンが、ケイシーがばりばりのカトリックだったら…?!と悩むところは、他民族・他宗教国家らしいなと。
カトリックの人は割礼されたくないのか…それはそうか…? と聞いてました。
でもまあ、日本でも今ホットな話題でもあるのかな。
二世か、三世かって聞くタイミングないですよね…。結婚するなら改宗が条件、とかまあまああるみたいですけど。

BDV(ブラインド・デート・ヴァージン)のアーロンがやらかして深いところに突っ込み
BDB(ブラインド・デート・ビッチ)のケイシーが気軽にヤバいネタを突っ込み
ヤバめの初回デートネタが満載で、ずっとハラハラドキドキして見られて楽しかったです。
ヴァージンは言っていいのに、ビッチはダメなのは、ラインがわからないな…とぼんやり思っていました。ヴァージンって別にエロい意味じゃないからか…?(今察した)

障害児のネタはギリギリアウトでは…?!と不安になったんですけどどうだろう?! わかんないな!
早いうちに言ってくれた方がいいのは確かだけど、冗談として言うのは(自分の基準では)アウトかなあ。
ユダヤの話は自分とそこまで関わることがないので、さらっと受け入れてしまったけど、こっちは自分の子どもが障害をもって生まれてくるかも知れない…とか考えちゃうので、ちょっと心がざわざわしましたね。

そう言う意味でも、なんかデートコースに組み入れたり、仲良くなりたいけど悩んでるって人と一緒に見るといいかもな。
舞台が好き、ミュージカルが好き!って人だけじゃなくて、日常の中で触れられるといいな~と思える作品でした。映画化しないかな。

キャスト感想

いつも言ってるけど、推しは番手無視して一番最後に語るからね(長くなるので)

ケイシー/桜井玲香

可愛い~!! パンクな見た目がとってもキュートで、個性がバッチリ輝いてます。ちょっとはすっぱに見えるけど、実のところ繊細でクリエイティブな子なのが本当に素敵。

お歌もとても良くて、ケイシーの孤独感についての曲は、そのさみしさが迫ってくるように感じました。
悪でセクシーな男が好き!!っていうのが、はじめからクズなら裏切られても諦めがつく、まっとうな人に自分が認められないかもしれない、という恐怖から来てるのがなんか…。すごいエゴじゃないですか。人のこと下に見て安心してるのか、みたいなところもある。
でも同時に、それが自己肯定感の低さと、認められなさ=孤独感につながってるというのが、本当にリアルで切なかったですね。

意外と面倒見が良いのも…ちょっと古い言い方ですけど、だめんずうぉーかータイプですよね…。
幸せになってくれ。って思うと、レジーへの親近感が湧く。

どうでもいいのですが、前身を全然知らなかったので、上にある動画のタイトルや記事で「金髪ミニスカ」を強調して書いてあることに、謎の価値観のギャップを受けました。まあパッケージが変わったらビックリするよね。多分。

レジー/植原卓也

北斗の拳初演ぶりのたっくん~!!
相変わらず、手首を返すだけで滅茶かっこいいの何なんですかね? あのくるっ…てするのがかっこよすぎて…

本役のレジーはとにかく可愛い! 可愛い! ケイシーを心配して電話かけまくり、最後に現場に駆けつけてくる健気さ。

曲もリズム感が良くて最高! 出てくるだけで拍手したくなるのが、エンジェルもかくやって感じでしたね。
彼(だと思う。ウェイターさんとの歌を聴く限りは)にも幸せになって欲しい。可愛いスタイルが好きで男性が好きだけど、性自認は男性…多分。

兼役もどれも良かった…顔の良いクズとか…あとMr.Instagramも七色の髪が似合ってました。
スタイルが最高で身のこなしもかっこいいので、若干とんちきな服でも全然かっこいいんですよね…
終盤に「俺ならもう、お前の部屋で全裸だぜ!!」って叫んでたのが好き過ぎる。

アリソン/音 くり寿

好き…魔性の女……アーロンを結婚式当日に「無理!」と振った女…
お歌も伸びやかで可愛くて…たくさん聞きたかった…

本人ではなく、アーロンの脳内にいるアリソンという概念の役です。
アーロンの脳裏に彼女の影がちらつく度に、くり寿さんにスポットライトが当たり、豊かな髪をなびかせ、「私の出番ね…」と立ち上がるのが面白すぎて、それだけで笑ってました。

Google Girlも兼ねていたかな? GoogleのGがあしらわれた突飛な衣装も本当に可愛く着こなされていて素晴らしかったです。

アリソンって多分、本物はもっと可愛くないと思うんですよね。二重顎だったらしいですし。でも、アーロンの思い出の中にいるから、最高に可愛くて魅力的で忘れられない女の子になっている。
その「忘れられない最高の女の子」という概念を見事に愛らしく、憎らしく演じられていて素晴らしかったです。

ゲイブ/オレノグラフィティ

元気なおもろ担当。ライチぶりかと思ったらバクマン。で見てました。福田真太も元気で良かったな…。

ゲイブもアリソン同様、アーロンの脳内劇場メンバーです。
オレノゲイブの明るくて友人想いであふれ出る良い奴なところが、アーロンとの仲の良さを感じさせて、ほっこりしました。
アーロンのゲイブとケイシーのローレンって、それぞれの内なる男性性・女性性を象徴してる部分もあるのかなと。でも、オレノさんのキャラ性もあり、重すぎず、説教臭すぎず、一緒に生きて行けそうな感じになってて良かったです。
男性性を乗り越えて自己実現、ってだけじゃなくて、手を取っていくのも一つの在り方ですよね。サラダを食べてても好きな子にキスしていいんですよ。

兼役ではケイシーの元彼・薬中の男が良かった…たっくんとはまた違うセクシーさがありましたね。
左右の腕のタトゥー(マッキー極太)は毎日違うっぽい…? 初日は右が安全第一・左が台風一過でした。

ローレン/保坂知寿

ケイシーの姉で最高の男を捕まえて豪邸に住む良妻賢母(多分)
彼女もケイシーの脳内劇場出演者です。

ケイシーを心配してるんだけど、どこか型にはめようとしている部分も否めず、でもやっぱり優しくて素敵なお姉さんでした。
「すずめの戸締まり」でも思ったけど完全にわかりあえてるわけでなくても、言葉がすれ違うことがあっても、確かに愛があるっていうのも素敵な関係性ですよね…。

個人的に兼役のアーロンおばあちゃんとアーロンママが好きでしたね。
おばあちゃんはユダヤ人としてユダヤの嫁をとれ! と言ってくる。ママは亡くなってしまったけど、アーロンの事を大切に愛してる。
その様子と、優しい歌声がすごく好きでした。
アーロンが以前読んだ母の手紙をケイシーに語っているという形式なので、ママの歌に合わせてアーロンが口を動かしてるのもなんか好きでした。

ウェイター/長谷川初範

チャーミングなロマンスグレー!!
お歌を歌ってアーロンとケイシーをダンスに巻き込んでくるのも面白い。
でもマスターじゃないんですねこの人…? 店主だと思っていた…それ位存在感がありました。

アーロンに助言したり、軽妙に立ち回る姿がとても良かったです。
チェックの歌は格別!笑 あそこで気遣いの攻防が生まれるのは、どこでも同じなのだなと笑いました。

アーロン/村井良大

うーーーーー好き…!!!!!!

初手下世話な話で申し訳ないんですけど、カフェで話し込んでるカップルって面白いじゃないですか。聞いちゃうじゃないですか。
聞かない。
そうですか。そういうこともありますね。前提は覆さずに進みますよ。
で、当人達がものすごく真剣に話してると、気になっちゃうし、見守りたくなる。でも当然生きてる人間なので、表だってコンテンツとして消費していいわけじゃない。

今作の村井氏のアーロンは本当に自然体で、真面目で誠実でギャグセンがあやしい男性って感じで、面白いシーンもさらっと当然のようにやるし、深刻なシーンも真面目に悩んで苦しんでる。
だから、カフェにいるカップルの話を聞くときのように自然に、でも素敵な歌と演出で盛り上げられて、明るく笑い声を立てて見られるんですよ。
楽しく見られるだけでなく、普段の自分に照らし合わせて、こういうときどうなるかな? って考えられる。
日常の悲喜こもごもを、そのままのおもしろさのまま、ミュージカルとしてコンテンツに昇華してある。

それがね~~~すごいな~~~~って!!
普段から「普通の男」が上手い人だったと思うんですけど、またその一段上の表現になってるというか。
ハチャメチャ面白い。すごい。

シンプルにビジュアルだけで言うと、ダサ眼鏡可愛かったですね…スーツは何回見ても良い。
ぴくるすだいすき!フェイスも可愛くて心に永久保存しました。
YouTubeに刻み込まれた黒歴史バニー姿も、リアルにYouTubeに残して欲しいレベル。

本役で出ずっぱりなので兼役がないのは、ペダステの時にも切ない思いをしましたが、それを補ってあまりある、アーロンの生き生きとした躍動に惹かれました。

アリソンとのやりとりも良かったなあ。アリソンにメロメロなのも、ケイシーによるセラピーを受けて、アリソンという偶像をぶっ飛ばすパワーを得たところもいい。
ゲイブとの関係性も可愛かったですね~!!
アーロンというキャラクターの成長を100分の中に凝縮してあって、飽きずに見られました。

本当に楽しくて素敵な作品なので、お時間がある方は是非!見て!くれ!!!



推しのファーストコンサートもよろしく!!!

hallelujah!!!!!

コメントのテンションの高さも可愛い~~~~~~
皆様、有楽町で会いましょう…?!?!な??

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