そのときにしか書けないこと
どんなものにでも「鮮度がある」とよく思う。旬とか、タイミングなんて言い換えられるかもしれない。ちょうどいい時期。そこを逃してしまったら台無しになったり、感動を得られなくなってしまうような。
例えば、同じ映画を観るにしても、ずっと楽しみにしていた作品を、公開初日に映画館で観るのと、公開から何年も経ち、レビューやなんやらで散々情報を仕入れてから観るのでは、全然違うんじゃないかと思う。
これはnote記事も同じで、自分がちょうど思っていたことを書いた記事に出会うと、「そうそう!これなんだよ~」と迷わずにスキを押してしまう。でもタイミングが違ったり、考え方が変わっていたりすれば、きっとスルーしてしまうのだろうな、とも思うのだ。
記事を書く方としても、そのとき感じたことを忘れないうちに書きたいと思っている。自分のことを、自分の言葉で書く。文章にだって鮮度がある。シャッターチャンスと言った方が、わかりやすいかもしれない。
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最近、ずっと足が痛んでいる。足の付け根、いわゆる、股関節の部分だ。痛みが酷すぎて、何もすることができない。立っていても、座っていても、横になっても痛い。終わりのない苦痛。
いくつか病院を回って、レントゲンやらMRIまで撮ってもらったけれど、大きな異常は見当たらなくて。いっそのこと異常が見当たってくれた方が、原因がわかって安心もできたのだけど、そうはいかなかった。
普段なら歩いて15分の病院まで、1時間かけて行く。こんなにも遠かったのかと驚く。公園のベンチや、ちょっと腰を掛けられる場所がありがたい。いつもは目もくれていなかったというのに。
自販機で水を買う。ひと口飲む。水だと思ったら桃のフレーバーだった。ふと故郷を思い出す。通学路、給食、実家の庭、飼っていた犬。懐かしい。そのくらい心が弱っているのだな、と独り言ちた。
一週間ほど経って、幸いにも痛みは少しずつ治まってきた。ただこれが、回復したからなのか、痛みに慣れてしまったのかは、判別できそうにない。それでも、しばらくはこの痛みを抱えていくしかないのだ。
後から記事にしたいと思っても、難しいような気がしたから。