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おにぎりレク
▼運営企画推進室の河原です。先日、欠勤者の代役としてとあるユニットのサポートに入りました。慣れない業務にあたふたして、うっかりご飯を炊きすぎてしまいました。
▼余ったごはんは入居者さんには提供できません。さてどうしたものかと考えていると、リビングでくつろぐ入居者のFさんと目が合いました。「あの、一緒におにぎりを作って頂けませんか?」「事務所の皆がお腹を空かせていて…」咄嗟の言葉に、Fさんはにっこりと頷いて下さり、即席おにぎりレクが始まりました。
▼リビングにいた4人のご婦人方と一緒に、ラップを広げて、お塩をふって、しゃもじでご飯をのせて…
▼几帳面なKさんは黙々と...
完成した11個のおにぎりを、二人の入居者さんと一緒に事務所に届けに行きました。
その帰り道、気づけばMさんが涙ぐんでいます。「私がこんな風にここの方たちのお役に立てて、亡くなった姉も喜んでいることでしょう」
英国のトム・キッドウッド教授が提唱した〈パーソン・センタード・ケア〉では、5つの心理的ニーズ(くつろぎ・アイデンティティ(自分が自分であること)・愛着・携わること・共にあること)が満たされているとき、認知症の人はよい状態でいられると定義しています。今回の即席おにぎりレクでは、そのうちのひとつである〈携わること〉の役割を果たすことができたかもしれません。
認知症は「人でなくなる」ことではありません。
わたしたちとらいふ武蔵野は、当事者たちにとっての〈社会心理〉(その人を取り囲む人間関係・物理的環境)として、入居者さんたちが「人でいられる」ケアをすること=その人の人間性を尊重すること=ひとりの人として周囲に受け容れられ、尊重されること=パーソン・センタード・ケアの実践をすることが重要であると信じています。
まわりの人が自分のことを認め、愛情をもって接してくれている環境であれば、人は安心して自分を肯定し、自信をもって生活していくことができるはずだからです。
たとえその人と言葉で話すことが難しかったとしても、その人の顔の表情やしぐさ、視線、体の揺れ、姿勢、吐息などから、思いを推し量ることはできます。その人の思いなくして、その人の心が満たされるケアはありません。
ご飯を炊きすぎてしまったことによる即席のレクでしたが、ケア提供者側が思わぬかたちでお腹をいっぱいにさせていただくことができた時間となりました。
※おにぎりを美味しくいただいた後に、実は余ったごはんは経理・衛生上の理由から職員は食べてはいけなかったことが判明。
申し訳ありませんでした・・・!