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「切り絵で世界旅」フラメンコ(バルセロナ/スペイン)気迫のこもった素早い動きは、人間業じゃない!

 さほど興味があったわけではないが、せっかくスペインに来たのだからフラメンコも観ておこうと考えて、バルセロナにあるタブラオ(フラメンコのライブハウス兼レストラン)「コルドベス」へ。そこでの体験でフラメンコに対する認識がガラリと変わった。

 フラメンコとは、スペインのアンダルシア地方で 14世紀頃から発達したロマ起源の民族舞踊の総称。つまりロマの踊りとアンダルシア地方の哀愁を帯びた民謡が融合し、それが芸術的に洗練されたものだ。踊り(バイレ)・歌(カンテ)・ギター(トケ)の3要素からなり、踊り手は伝統的な形式を守りながらも、自由に即興的に踊るのが特徴だ。カスタネット、指を鳴らしたり、手拍子(パルマ)をとったり、足を踏み鳴らすなどの技法も用いられる。


 さて、タブラオで見たフラメンコである。まず出だしの哀愁のある歌声に魅了された。踊りの方も少しずつ熱が帯びてくる。2人目の踊り手はかなりの美人だ。彼女が踊り出すと、明らかに1人目とは気迫が違う、魂の込め方が違う、動きがダイナミックでときには目にも止まらないほどだ。圧倒される。

 次に男性が現れて踊り出した。脚でタップを踏みならすだけで凄みが伝わってくる。掌で素早く膝を叩く。それを連続でやる。その素早さたるや、人間業ではない。踊り全体が、何か他の生き物でも憑いているのではないかと疑うほどの異様な雰囲気なのだ。日本人がいくらフラメンコを上手に踊っても、こうした境地になれるかどうか。それに何よりも強靱な筋力が必要だ。

 また、フラメンコといえば、踊りとギターだと思っていたが、それ以上に歌(カンテ)も大きな魅力だ。歌い手は1人ではなく、4~5人いる。声量たっぷりに伸びやかに歌う者、かすれ気味に哀愁を漂わせて歌う者など、それぞれ声質と歌い方に特色があって面白い。実際に本場で体験しないとわからないことは多いものだ。


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