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「切り絵で世界旅」オルセー美術館(パリ/フランス)印象派美術の宝庫は、作品以外にも見どころ豊富


カフェ・カンパーナにある大時計

 ヨーロッパを旅行すると必ず入るのが美術館だが、展示作品の半分はキリスト教関連である場合が多く、見て回っている途中で辟易することも多かった。その点、オルセー美術館は、ミレーの「落穂ひろい」、モネの「サン・ラザール駅」、ルソーの「蛇使いの女」、ゴッホの「オーヴェールの教会」など、有名で馴染み深い印象派の作品がずらり。その上、鑑賞しやすくて休憩スペースも多く、素晴らし美術館である。

 ご存知のようにオルセー美術館は、1900年のパリ万国博覧会のために建設されたオルセー駅を改造して、1986年に美術館としてオープンした。美術館の中央ホールは、地下ホームのトレイン・シェッド(かまぼこ状の大屋根)による吹き抜け構造をそのまま活用していたり、併設ホテルの祝宴の間や、現在レストランになっている食堂など、建設当時の豪華な装飾を見学できるのも大きな魅力だ。一時は取り壊しの話があった駅を美術館に改装してしまったフランス人の着想とセンスは、さすがと思わざるを得ない。

 切り絵にしたのは、オルセー美術館の5階、大時計の裏にあるおしゃれな「カフェ・カンパーナ」の大時計部分。このカフェは、有名なブラジル人デザイナー、カンパーナ兄弟によるアール・ヌーヴォー風のおしゃれなインテリアが特徴で、時計の向こう側には、セーヌ川対岸にあるルーブル美術館を見ることができる。なんと贅沢なことか。


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