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改訂翻訳の際には旧版原文も必要
お久しぶりです。PMの雨宮です。継続して翻訳業務を請けている案件では、改訂翻訳を依頼されることがあります。多くはシリーズ化された製品などのアップデートに伴うものですが、定型文が大部分を占める報告書の一部改訂を依頼されることもあります。今回は、改訂翻訳の際にお客様にご用意いただきたいファイルと、旧版原文ファイルの必要性についてお話ししたいと思います。
改訂翻訳をするのはなぜ?
すべて新規翻訳ではなく改訂翻訳をするのは以下のような要因が考えられます。
変更のない部分はいままでと同じ文章をできるだけ使いたい
定型で揃えたい
数字などの変更だけなので一から翻訳する必要がない
コストを抑えたい
シリーズ化された製品のアップデートであれば、変更のない部分は旧版と同じにしておきたい場合も多いですし、統一性もとれます。製品番号や数値のみ変更したい場合もあります。また、報告書のような定型文書であれば、変更や追加部分のみを翻訳すればいいわけです。
改訂翻訳の際に必要なファイル
通常の翻訳と同様にスタイルガイドや用語集はもちろんですが、改訂翻訳では
旧版訳文(全文)
旧版原文(全文)
新規原文(全文)
この3つをご用意いただくと、見積もりや翻訳の作業がスムーズに進みます。全文が必要なのは、用語の統一や文体などを合わせるためです。ではなぜ、旧版原文が必要なのかをお話していきたいと思います。
旧版原文と新規原文を比較できる
ファイルの形式にもよりますが、旧版原文があれば、ほとんどの場合は機械的に新規原文との差分をとることができます。
旧版から削除された部分
旧版に追加された部分
旧版の一部に変更があった部分
これらの部分がわかれば、新たに翻訳しなくてはならない部分の見当がつくので、時間的にも労力的にも無駄を省くことができます。
旧版原文と旧版訳文を比較できる
ここがなかなか想像しにくい部分かと思いますが、実は、旧版原文と旧版訳文を見比べることが必要になる場合もあります。これは、翻訳後にお客様(=エンドクライアント)による編集作業が加えられるタイプのプロジェクトで特に重要になります。お客様の編集によって、例えば、日本では実装されていない機能の説明が削除されたり、逆に日本に特化したセールストークが追加されたりして、最終的な日本語版と原文が1対1の対応でなくなることがあります。そんな場合も、旧版原文と旧版訳文を見比べれば、旧版の段階で編集された箇所がすぐにわかり、改訂翻訳の際にどのように扱えばよいかを確認できます。
旧版訳文しか提供されないと
旧版訳文しか提供されないときには、旧版訳文と新規原文を比較して、新たに翻訳する部分を探さなくてはなりません。異なる言語のものを比較するので、時間も労力もかかります。また、旧版訳文にお客様が大きな編集を加えていた場合は、旧版訳文と新規原文のどこがどう対応しているのか追跡することすら困難になる場合もあります(場合によっては、お客様による編集の時点で、ある段落が別のセクションに移動されていたなんてことも!)。そうなると、本当は既訳があるのに新規翻訳せざるを得ず、結果的に翻訳コストが高くついてしまう場合が出てきます。また、前回何らかの理由で削除(編集)された部分を、また一から訳して、再びお客様に削除(編集)の手間をかけさせてしまう事態も考えられます。いずれにしても、あまり良いことがありません。
このような労力や効率の面だけでなく、全体のバランスや統一性がとれた高品質の成果物を制作する意味でも、旧版原文は改訂翻訳に必要なものです。
というわけで、改訂翻訳の際にはぜひ、
旧版原文
旧版訳文
両方をセットでご提供ください。