建築家の住宅論を読む<3> ~黒沢隆『個室群住居』~
戦後の日本の住宅事情を振り返ってみると、庭付き一戸建てが「住宅すごろくの"上がり"」だった時代、核家族ファミリーが3LDKのマンションに憧れた時代、バブルによる値上がりで住宅が高嶺の花となった時代、コロナ禍を契機に職住の概念があいまいになった現在など、時代の変遷につれて、住宅を取り巻く環境は大きく変化し、そのたびに人々の住宅観も大きく変わってきました。
そんななか、家族や社会とのかかわりで住宅をその根本に立ち返って、さまざまに思考してきたのが建築家でした。その捉え方は、往々