接近
新陳代謝をやめた皮膚が足元で雄弁に
語る男の訪問を受けた。
その艶めいた靴はアプローチの
一枚だけ浮いたタイルを的確に鳴らして
近づいてきたようだ。
彼は短躯で見るからに頑健そうで、重そうなカバンを右手に持ち重心を水平に保ったまま近づいてきた。
2メートルほどの距離なった時に気づいた彼の笑顔は、その時作ったのか、それとも最初から笑顔だったのかわからない。僕の感覚が何かに上書きされていたのかもしれない。
名刺には(虹の外側に色を足すお仕事です、)
とあった。
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