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読書感想2024#9 「母という病」

基本情報


  • タイトル:「母という病」

  • 著者:岡田 尊司

  • ジャンル:心理学・人間関係

  • 出版年:2014年

概要というか軽い感想


母子関係が人生に与える影響を多面的に考察した本。これを買ったのは数年前なので忘れちゃったけど、多分母との関係に思うところがあって手にしたんだと思います。ネグレクトや虐待だけではなく、現代では増えているという過保護や過干渉が子どもに及ぼす心理的影響を精神科医でもある著者が実例とともに紹介。母という病を治すにはまず自覚することであるという。​

印象に残った箇所の抜粋とひとこと


非行をする子どもの心理について

(睡眠薬とアルコールを飲んで)意識がぼんやりして朦朧とするとき、やっと安らぎを覚えた。それは、母親の胸に抱かれて(中略)眠りにつく感覚に似ていた。

この本

これは薬物依存の子どもが語った言葉。愛されなかった子どもが母を求める苦しみの中で手にした薬物のひとときの安らぎや快楽を他の人間が罰する権利なんてないと思った。

まとめ(感想)


この本は、私にとって非常に大きな気づきを与えてくれました。母親との関係が良好だと言える人は、果たしてどれほどいるのでしょうか。中には虐待やネグレクトを経験し、心に深い傷や負の遺産を抱えながら生きている人もいるでしょう。その影響が子どもに悪い結果をもたらすのは比較的わかりやすいかもしれません。

一方で、現代で特に増えていると言われる「過保護」や「過干渉」も、子どもに依存体質をもたらしたり、主体性を奪ったりするなど、大きな影響を及ぼします。これらは虐待ほど顕著ではないものの、やはり子どもにとっては深刻な苦労や葛藤を伴うものです。私自身も、まさにこのタイプに当てはまります。

振り返れば、私は自分の意見を尊重された経験がほとんどありませんでした。母からよく言われていたのは、「お母さんの言うことを聞いていれば間違いない」という言葉。結果として、私は自分の意見を持つことや主張することが苦手な人間になりました。「人の期待に応えることが正義」という価値観が私の中に深く根付いてしまったのです。そして大人になるにつれて、「母は私を過保護に育てているけれど、本当の私を見ていない。むしろ、自分の人形として扱っているのではないか」と感じるようになりました。

そのせいか、母に心を開かなくなり、自分の内面を打ち明けることも少なくなっていきました。そのように育った私は学校や社会に出ても自己主張が苦手で、組織では指示されないと動けないタイプでした。アイデアが浮かんでも、いざ行動に移すには誰かの指示を待ってしまう。また、恋愛では依存体質で、パートナーの意向を優先し、自分に不利な選択でも相手の望む方を選んでいました。

この本を読んで、そんな性質の原因が母との関係性にあると気づかされました。そのことで、自分を責める必要はないと理解できました。そしてこれからは、この性質と向き合いながら、自分軸で物事を考えられるよう努力していきたいと思います。

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