英語圏でこっくりさんを呼んだら
英語を話せない人間が英語圏の幽霊と話したらどうなるのか。
それが気になって最近は勉強どころではない。
現在、フィリピンのバギオという場所に留学に来ているのだが、授業中に「学校に幽霊が出る」という噂からいろいろ話が広がり、そんな話になった。
その中でも興味深かったのが海外版こっくりさんだ。
どうやら、ここフィリピンでも同様の遊びはあるらしい。
遊び方はほとんど日本と同じで、コインと文字盤、ローソクを用意して、全員で指をコインに置いて質問をするだけ。
こっくりさんのイメージは狐と神社だったので、日本だけの遊びだと思っていたが、アルファベット盤でも降霊可能という事実は衝撃的だった。
ただ、日本語以外の言語で幽霊と会話するとなると、さまざまな疑問が湧いた。
言語面、文化背景、その他あらゆる面において英語で幽霊を呼ぶとなると、こちら側の準備・あちら側の状態を考えざるを得られない。主に言語面で…。
ということで、海外版こっくりさんで起こりうるハプニングを考察してみた。
オカルトに興味がある方はぜひ私の疑問に一緒に考えてほしい。
気になること①
文法破壊が起きたらどうなるのか
私たちは英語を鋭意学習中であっても、非ネイティブであることに変わりはない。わからないことなんて無限にあるし、想像の遥か向こうにある言語表現を留学生は日々学んでいる。
そんな私たちが日々先生にぶちかましているような文法崩壊した質問を幽霊にした時、なんと返ってくるのだろう。
「Excuse me?」「Sorry?」という低姿勢なのか、「Huh?」みたいなこなれたリアクションなのか。
「?」だけでもかなりシュールで笑える。
それとも見下した笑い声でも聞こえたりするのだろうか。
もちろんフィリピン人の幽霊が英語で対応してくれるかは定かではないが、おそらくは英語で返ってくるだろう。(実際、フィリピン人の9割が英語を話せる)
言語能力が発達していないこどもの霊であった場合は残念ながら会話が成り立たないかもしれないが、喋れないならそもそも出てくるないう話である。
もちろん、何かしらの死に方・何かしらの理由でフィリピンを彷徨っている他国の幽霊が出てくる可能性はある。
しかしここは日本人、韓国人、台湾人、ベトナム人、アラビア人の5か国展開のグローバル組織でやらせていただいているので(ただの生徒)、万が一幽霊が英語を話せない場合は、対応圏内の言語で救えるという強みがある。これは他国から生徒が集まるアカデミーならではの利点だ。
日本人が降霊してしまったときは私が誠意を持って全員に通訳しなければならなが、それはそれで独特の緊張感が走るだろう。
ただ、他国籍幽霊が出現した際に一つ恐ろしいのが、幽霊に見初められてそこのネイティブ生徒がとり憑かれることである。海外の幽霊あるあるだが、気に入った人間の身体に入り込み、しばらく出てきてくれないことは多い。
そうなったら身体も重くなるだろうし、幽霊に意識を支配されたら授業料が無駄になるし、せっかく覚えた単語も復習できないし、いや普通にめちゃくちゃ怖いし、勉強どころではない。(お前が英語話せるなら別だが)
そう考えると、英語を話せる幽霊を希望して呼ぶことが海外版こっくりさんのキホンとなりそうだ。
やはり共通語というものはある程度の制御ができてすごく便利なものなんだなあと思う。(いらん気づき)
気になること②
参加者に自己催眠はかかるのか
こっくりさんの10円玉が動く定説として、精神科医の見解では「潜在意識(無自覚)にある観念運動(催眠術の一種)」が原因と考えられている。
簡単に言えば、霊に憑依されたと無意識下で自己催眠をかけていることらしい。
例:「動く」信じる→10円玉が反応する→「霊の仕業」と強く思う→「憑依された」と思い込む(意識不明)→「憑依されている、次は私だ」と暗示する(複数人が意識不明)
しかしこれはネイティブの感覚だからこそ10円玉を動かせる話である。
英語に精通していない自分たちが自己催眠にかかったとて、アホみたいなスペルミスを犯す可能性がある中、誰が先陣を切って文字盤を支配できるのだろう。
例えば、I have been のbeまで来たら「been」は想像できるかもしれないが、単純な完了形である「belived」の可能性だって拭えない。
未熟な私たちに自己暗示がかかることは正直ないんじゃないかと思う。
ということは、海外版こっくりさんはできるだけ人間の無意識行動(変数)を減らして、自己催眠の可能性0で幽霊と繋がれることができるということになる。
これって言語を利用して潜在意識を消せるっていう仮説にもなり得ないか?
え、、、
私もしかしてすごい発見した、、、?精神科学に一石投じた、、!?
(だまろう)
もちろん、英語力が高い生徒は催眠がかかって英文を予測できてしまう場合はある。
それを考慮して、ここはぜひともレベルを分散させてメンバーを組みたいところだ。
また、英語の文法というのは本当に厄介なもので、突如見たことのない構造だったり、省略系の英語が出てくることもしばしばである。
そのたびに疑問が湧いては質問攻めしてしまいそうだ。
Nor I did みたいな倒置法でいきなり言われたり、through をthroだけでとどめてきたらどうすればいいのか。
センター試験対策問題集、お茶の水大学過去問にみたいな高度の言い回しでマウントを取られりするのか。
こっくりさん中にスマホ検索はしてもいいのか。「Google it」と先にけん制される前に、少しばかりは英語学習者としてプライドを持ちたいのですが、これは傲慢でしょうか。
誰であれ、コミュニケーションを取る際は言葉選びに性格が出る。
確実に伝わらない英語を使ってきた時は、ただの思いやりのない幽霊ということで性格がわかるのもまあ面白いかもしれない。
気になること③
フリック入力は受け入れ可能か
そもそものこっくりさんのシステムの話になるが、50音順の文字盤ってふつうにデカいし邪魔じゃないか?
なんせじわじわ鬼長いスペルが来た時はかなり待つ必要がある。実際、英文の文字数は日本文より多い。
命を懸けている以上、できるだけ長い英文もクイックに答えさせて早めに切り上げたいのが本音である。
(Yes / Noの選択肢を置いておけばいいじゃないかと言われそうだが、そんなアキネーターみたいなことを奴らにやっても甚だ面白くないし、せっかくお金を払って英語圏内にいるのだから長文読解を試みたい。)
もう少し合理的でスムーズなやり取りにしたいと考えていた時に、私のクラスメイトの大学生Rくんが、フリック入力活用の提案をしてくれた。
フリック入力…!
雰囲気も欠片もないが、コンパクトタスク処理の鬼である。
iphoneが流行る前に死んでしまった幽霊には少しハードルが高いかもしれないが、いつも建物内にいるのであれば少しくらい生徒のスマホを覗いた経験はあるだろう。
10円玉を液晶反応させる特殊加工を施せば、そのままipadを使ってリアルタイムに画面を確認できる。文字面を見ないと勘違いを連発する留学生にとっては、いちいち文字を記録する必要もないので大変有効的である。
たまにdelateとか押したら可愛いかもしれない。
ギャルみたいな速度で打ってくれてもときめく。
結論…?
①~③すべてを考慮すると、
呼ぶべき幽霊のrequirementは英語話者・フリック入力対応可能がベストだという結論に至った。
一回考えるとワクワクして止まらなくなった。
言語ひとつでここまで楽しめる領域が広がるのは、とてもコスパが良い。
こんなに考えておいてなんだが、
私は生粋のビビりなので肝心のこっくりさんを試してみんなにレビューすることはできない。
本当に申し訳ない。本当にごめん。怖い。
キャッキャ笑いながらここまで考えたが、海外の幽霊のイカれ具合はレベルが違うので、私が遊び半分で試した時は大量のトッポギを口に詰められ、マインズビューパークの家畜糞処理場に捨てられることになるだろう。
やりたい人はできるだけエクソシストがいる場所で(どんな場所やねん)、郊外ではなく都市内で、そして自己責任で行うようお願いします。
そして、もし試すような馬鹿な人がいたら必ず体験談をnoteに書いてください。無事を祈ります。
閲覧ありがとうございました。