eスポーツ大会での遅刻は許される?放屁は?殺傷型アケコンは?~大会でのルールと盤外戦術について考える~
10/6(日)に行われた『スト6』の公式大会、ワールドウォリアー。私はプロゲーマーのオニキ選手の本大会に関するツイートが凄く気になってしまった。
要約すると、【オニキ選手の対戦相手が遅刻→それが要因の一つとなり敗退】という内容。詳細は下記の一連のツイートを見てほしい。
先に断っておくと、本記事ではオニキ選手への批判、対戦相手への批判、メーカーや大会主催者の批判を行うつもりは毛頭ない。先にいくらか出てきそうな意見を洗い出しておく。
オニキ選手が負けたのは他にも要因があるかもしれない
大会は長期戦なので、それに耐えられる体力や集中力を持つべき
対戦相手の遅刻がとにかく悪い
オニキ選手のツイートのみから判断するのは良くない
運営に全責任がある
どれも完全に否定することができないものだが、全肯定もできない。要は賛否両論で結論が出ないので、この辺りについては深く触れないことにする。
また、本記事は真面目に問題提起するのが目的ではなく、考え得るギリ合法かもしれない行為を挙げていくだけである。愚にもつかない馬鹿馬鹿しい記事だということを了承した上で読んでいただきたい。
遅刻はNGだが、遅刻の基準とは?
まず、今回の大会ルールとして用いられる「CAPCOM PRO TOUR 2024 公式規定」を確認したい。下記に一部抜粋してみた。が、長い。読まなくても良い。要約するから。
要約すると【遅刻はNG。違反かどうかは事実情報からカプコンが判断。罰則は大会からの除外など】という感じ。
流石に全文を読むと長いので、私は「遅」、「時間」、「時刻」のキーワードでページ内検索してそれらしいところのみを読んだ。本来こんなことを書くなら全文を読むのが良いとは思うが、この記事はすべて趣味で書いているものなのでそこまではやらない。だってつまらないもの。他に関連する箇所があればコメントで教えてほしい。他力本願。
オニキ選手のツイートをそのまま信じるなら、対戦相手は25分遅れてきたことになる。いつ始まるか分からない不安、待たされるイライラ等のストレスはパフォーマンスに少なからず影響はあるだろう。しかし、特別な処罰はなく、そのまま試合が行われたようだ。
私はオンライン大会に1回しか参加したことがないので誤っているかもしれないが、基本的には配信に関わる一部のブロックや上位の試合以外は対戦相手が確定次第行われるはずだ。そのため、今回はルールに記載されている"指定された対戦時間"が明確でなく、遅刻と見なされなかったのかもしれない(単にオニキ選手が報告等の対応をしなかった可能性もある)。
遅刻というのは基準の時刻があるからこそ起きるものだ。そもそもの基準がなければ遅刻なんてない。哲学。いや、屁理屈。
タイムラグは避けられない
オンライン大会では便利な反面、様々な問題もつきまとう。その一つがこの"対戦の待ち合わせ"だろう。対戦の組み合わせが確定して、相手に連絡したり対戦部屋へ入室したりするまでには必ず二人の間でタイムラグが発生してしまう。オフラインでは相手がいる/いないが物理的に見えるが、オフラインではそもそも相手がいるのかどうかが見えない。先に待っている側の不安は大きいだろう。
もちろん、選手は大会中は進行を妨げないよう細心の注意を払うべきだ。しかし、それでも急な来客があったとか、トイレで大便をひり出しているとか、赤ん坊が泣き出したとか、家畜がキャトルミューティレーションされているとか、本人には抗えないことが起こるかもしれない。
真面目な話、私の実家は乳牛を飼っていたので、万が一その環境で牛が逃げ出すようなことがあればゲームどころではなく捕縛を優先するだろう。最悪周りの人や家にまで被害が及ぶ可能性だってあるのだから当たり前だ。
さておき、オフライン大会ではそういった万が一はほとんど起こらない。急な来客もなければ、家畜のことはもう現場にいる人に任せるしかない。大便を我慢できなければ自主的に棄権するしかないし、そもそも便意のコントロールくらいしてこそのeスポーツだろう。
また、オフライン大会であれば大会スタッフが呼び出しを行い何分か以内に来なければ失格となるだろうが、オフライン大会では待たされている側の選手が自己申告しなければならない。実際のところ、選手がそれを行うだろうか。行うとしても、それは勇気がいる行動だろう。何分経ったら報告するべきか、実力以外の部分で勝っても良いのか、運営への負担にならないか等、考慮してしまうことは色々ある(選手がそこまで気にするべきかどうかは別問題。多くの人は報告する前は気にしてしまい不安になるだろうから)。
現状のルールでは、オンライン大会での遅刻は少なからず相手への精神的ダメージへと繋がり、盤外戦術として成り立ってしまうと考えられはしないだろうか(念のため書いておくが、今回のオニキ選手に関する件は盤外戦術だと私は考えていない)。
どこまで盤外戦術ができてしまうのか
オフライン大会でも様々な盤外戦術が考えられる。
過去にウメハラ選手が配信内で盤外戦術について語ったことがある。そこでは実際にあった過度な応援のことや、もしも試合中に嘔吐してしまった場合の処遇等について話されている。
応援や嘔吐のほかにも色々考えられる。
失禁
オーバーリアクションによる殴打
大声での鼓膜破壊
どこまでが本人の意思によるものなのか判断が難しい行為はたくさんある。私は故意かどうかに関係なく失格で良いと思うが、以前オリンピックの競歩競技で大便をしながら歩き続けた選手もいたし、主催者側も一概には判断しづらいのかもしれない。
臭いや服装による盤外戦術
そのほかにも故意かどうか難しいものとしては、体臭、口臭、放屁などの臭い系は罰則を与えるかどうかの判断が難しい。暑い大会会場に長時間いれば体臭も出るかもしれない。主催側も注意しづらいデリケートな問題だ。
しかし、わざとニンニクを大量に食べて咳き込んだりしても許されるのだろうか。流石にどうしても急な大便が我慢できなければ棄権するかもしれないが、オナラでも棄権する人はいる?我慢した末に放屁してしまたら罰則はあるのだろうか。
また、服装についてのルールもあまり定められていないように見えた。コスプレをして参加する人もいるし、割と緩いように見える。全身に悪魔のようにタトゥーを入れていてもこのご時世なら参加可能になりそうだが、耳なし芳一スタイルだったらどうだろう。水着や変態仮面スタイルは?赤いレオタードでおまるにまたがるというのも目立って良いかも。いや、良くない。
臭いと服装の併せ技で、ドリアンやくさやをファッションに取り入れたらどうだろう。いや、ファッションではなく下着として着こんだり、服に臭いを事前に染み込ませたりしたらもう物理的な検査すら意味がなくなる。そこに抜け感を出すためにガスマスクのようなものをしたら最高じゃあないか。否、最低だ。
ここまでに列挙したことは、スポーツマンシップどころか一般常識や良識で考えればどれも選手が気を付けたり行わないようにしたりするべきことだろう。しかし、カプコンカップの優勝賞金1億円超を目当てにそれらを踏みにじれる人間がいないとは言い切れない。いや、いないよね。いないでくれ。
コントローラーも悪用できそうだが……
ルールには「コントローラー利用規定」として、細かいルールが記載されている。しかし、その多くは操作系統にまつわることだ。
その見た目に関してはあまり規則が設けられておらず、大きさや形状についてはかなり自由だ。バスターソード型、ギター型のコントローラーを使用する人もいるし、特大の手元隠しを使用したトッププレイヤーもいる。
また、対戦相手にボタン音をわざと聞かせるためのフェイクボタンを用意する人もいると聞く。これはまさに盤外戦術だといえるが、そもそもボタン音を聞いて相手の行動を判断するのも盤外戦術であるため、あまり取り沙汰にされることがない。
何にせよ、多くのコントローラーは旧作の6ボタンスタイルの操作方法では対戦中に未使用ボタンが出てきてしまうし、そもそもキーコンフィグでボタンを未使用に設定することができる。そのため、未使用ボタンと区別がつかないフェイクボタンを禁止するのは難しいと思われる。
しかし、こうなってくると様々な盤外戦術が思い浮かんでしまう。
コントローラーがLEDで光っても良いなら、相手方向に強烈な光を放っても良いのか
コントローラーが内部のモーターで振動しても良いなら、モーターでシンバルモンキーが動いても良いのか
音を出すフェイクボタンが許されるなら、ドラムそのものをコントローラーにして音が出ても良いのか
レバーレスコントローラーの天面にボタンチェック用のディスプレイがあるなら、大型ディスプレイを取り付けてホラーやグロテスクな映像を流し続けても良いのか
レバーの形状はボール型、ナス型などがあるが、レバーから刃が伸びていて相手を切り刻んでも良いのか(これは傷害罪なので絶対ダメ)
バカでかい手元隠しが良いなら、車の運転席にコントローラーを埋め込んでも出場できるのか(主催側というより会場側からNG)
かなり極端で馬鹿馬鹿しい例を挙げてみたが、現実的な問題としてすべてのコントローラーのチェックするのは難しい。マクロ機能やそのほかの細かい仕様を調べるのは相当な手間だし、考え得る突飛な不正やヤバい仕様について大会主催者がいちいち合否の判定を出すのもまた馬鹿馬鹿しい。
ちなみに、プロ野球でも不正改造バットを使用していた例もあるのですべての道具をチェックしている訳ではなく、これはeスポーツだけにいえる問題ではない。
問題提起するな!常識にとらわれろ!
馬鹿馬鹿しい例をたくさん考えみるとよく分かるが、eスポーツもスポーツもプレイヤーたちの良識によって成り立っているところは大きい。すべてを検査するのは時間的にも人的にもコストがかかりすぎて現実的とはいえず、個々人に任せるしかないからだ。
そんな中、先日の東アジアのオンライン大会ではチーターが出場していたと聞く。これもまた運営側が事前にチェックするのが難しい問題だ。さらにいえばオンライン大会での他人による代行プレイはほぼバレないし、今までなかったと言い切ることもできないだろう。
完全に不正をなくそうと思ったら、以前のようなオフラインでアーケード筐体で行うしかない。それはそれで最高だ。が、時代と噛み合っていない。
さておき、本記事に記載したような馬鹿馬鹿しい行為は絶対に行わないでほしい。以前プロゲーマーが問題提起として特殊な仕様のコントローラーを使用したことがあるが、そんなことは一部のプロやメーカー、大会主催者たちに任せておけば良い。間違っても実践したり、問い合わせたりして迷惑をかけないように!
選手はゲームプレイでは常識にとらわれない自由な発想で様々な戦術・戦法を生み出したり楽しんだりするべきだが、それ以外のところでは常識に従って規律と良識を守るべきだ。「ルールに書いていないからOKだと思った」は99.9%非常識だから。