わらの鎧を脱げない|「石の話」【ガムトーク第3回】
ボードゲーム・カードゲームの『ガムトーク』から、今回の話は「石の話」となった。
このゲームには360個のトークテーマが記載されているが、これはクソ話題のうちの一つだ。石や地質の専門家の話なら面白いだろうし、少し視野を広げて宝石に詳しい人の話も興味深く聞けるかもしれない。しかし、素人の石の話や宝石の話なんてクソつまらないに決まっている。せいぜい川辺でやる水切りか、好きな宝石の話くらいだろう。前回の記事で「素人が妄想だけで語る宇宙の話ほどつまらない話はない」と言ったがその類だ。
かく言う私は、石につゆほども興味がない。それなのでこの記事は面白くはならないだろう。
せめて石の鎧を身に着けたい
石には一つだけ思い出がある。私が妻と付き合い始めて最初に渡したプレゼントが、パワーストーンだか何だかのネックレスだった。初めての恋人に何をあげて良いのかも分からない。でも、特別なものをあげたい。花なんてキザだし、漫画かドラマでしか見たことがない気がする。指輪は何だか初めてにしては重たい。その結果、ネックレスになった。
カッコつけるのが苦手な私は、いつも王道から少し外れたところに行き着く。ファッションを気にするのが軟派だと思えば、服を買わずに眼鏡やスニーカーにこだわる。そういう小物であればカッコつけている感じは出ないし、それでいてこだわりのある面白い人であるという自負が持てる。思い返せば私の人生はいつもそんな感じな気がする。
気恥ずかしさを隠すために王道を外し、斜に構えた自分に価値を見出し、他人を見下す。周りから見ればただのダサい奴だし、もっと言えばそれは強者になりきれない自分を守るための鎧に過ぎない。そんなことに気付くのに私は三十余年を要してしまい、今もその鎧を脱ぎ切れないでいる。石はおろか、わらでできた鎧だというのに。
と、「石の話」に少し戻せたので今回はここまで。