見出し画像

スペイン語試験「DELE」体験話-DELE A1合格に最も大切だったと思ったもの

 約10年以上前、スペイン語の試験『DELE』の一番低いレベルのA1の試験を受けました。その時の試験の様子と私が行った対策方法を書たいと思います。これからDELEを初めて受ける人の参考になれば幸いです。

DELEとは

 DELEとは、Diplomas de Español como Lengua Extranjeraの頭文字をとって名付けられており、スペインの公的機関であるインスティトゥト・セルバンテスが実施しているスペイン語能力を測る公式の試験。入門レベルのA1からビジネスでも通用する最上級レベルのC2まで、6段階のレベルが設定されている。試験項目は、読解、聞き取り、文章表現(ライティング)、口頭試験の4項目がある。英語の試験IELTSとほぼ同じ要領と言うとイメージしやすいかもしれない。

 私が試験を受けた時は、筆記試験は上智大学、口頭試験はインスティトゥート・セルバンテス東京で行われた。

筆記試験

 筆記試験の会場である上智大学に着き、試験が開始されるのを待った。試験というものに挑むのは久しぶりだ。
 勉強方法は、市販のスペイン語の本やDELEの試験対策用のテキスト。プラスで言語交換サイトで知り合ったネイティブの人達との会話練習(チャットのみ)を毎日行った。ただ、どれも独学なので、自分の勉強の仕方や内容が正しいかどうか分からないので、今回の試験は雲をつかむような気持で挑んだ。

 試験が始まると、スペイン語で説明が始まった。DELEの試験は全てスペイン語で行われる。
 おー、この感じよ。初めてイギリスの語学学校に行って、全ての説明が英語だった時を思い出し、身体がゾクゾクする。体内から放出されるアドレナリンに少し酔いながら説明を聞く。
「読解、聞き取り試験は鉛筆で記入してください。文章表現の試験はボールペンで書いてください」
 試験官が繰り返す。しかし、理解していない受験者いると思ったのか、何度か説明を繰り返す試験官。
「マークシートは鉛筆、文章表現はボールペンで」と、今度はボールペンと鉛筆を持って説明する。それでもまだ理解していない受験者がいたのだろう。
最後は単語をゆっくりと発するだけになった。
「マークシート、鉛筆!」鉛筆を持った手を高くあげる。
「表現試験、ボールペン!」ボールペンを持った手を高くあげる。
 今ここに集まっている人達は、A1レベル、入門試験を受けに来ている人達だ。つまり、スペイン語のレベルはそう高くはない。いきなり馴染みのない長文で説明されると思考停止する人もいるのではなかろうか。
 これから受ける人は心配しなくてもいい。仮にここで理解していなくても、各試験ごとにも説明をしてくれ、試験官も会場を見回って正しい筆記用具を使っているか受験者全員をチェックするので問題はない。

 試験内容は思いのほか簡単だった。文章表現の試験は、「外国に住んでいる外国人に対して手紙を書く」というものだった。私は当時付き合っていた現地に住んでいるまだ会ったことのないスペイン人の彼がいた。ちょうど日本に来ることになっていたので、「日本に来たらさ~」といった会話を日常的に行っていた。そのため普段の会話のやりとりをまんま書けば良かったので楽だった。さらに、「日本に来たら~」という表現で必要なA1ではまだ必要のない接続法なども使う必要があったので、得点が高かったのではないかと試験結果を見て思った。

 試験が終わり会場を出て歩いていると、他の受験生が感想を言い合っているのが聞こえた。
「試験どうだった?」
「試験の前に、説明が何言ってるか全然分らなかったよ!」
「だよな。説明がまず分からないんだよ!」
 (分かる分かる)と私は心の中で同意しながら次の口頭試験の会場に向かった。

口頭試験

 口頭試験では、待機室で名前を呼ばれると準備室というところに通され、これから行われる試験の説明をされる。勿論全てスペイン語だ。
 これも「試験室に入ったらカードを読んで~」など、事前にDELE対策をしていれば分かる内容を話されるのだが、いきなりここでベラベラ話されたらパニックになっていたかもしれない。

 私の番が呼ばれて小部屋に入ると、試験官が一人と試験の様子をチェックする人が部屋の隅に座っていた。
 まずは挨拶をされ、日常会話が始まる。面接官も日本の試験や面接とは違い、和やかな雰囲気で話しかけてくれるので、今までの緊張が和らいだ。そしてこの日常会話も、もう試験に入っているのか分からないくらい長く話しているので、少し戸惑った。
 その後はトークテーマが書かれているカードの内容にしたがって、試験官が質問をしてくるのでそれに答えるだけだ。ここでDELEの試験で私がいつも意図的にやっていることがある。それは、なるべく多く話すこと。なぜならば私は外国語のリスニングが大の苦手なのだ。その苦手さを誤魔化すために、沢山話していかにも話せますよ、という印象を試験官に与えるのだ。
 錯乱作戦が功を奏してか、DELE A1の試験は一発で合格した。

余談

 ある時用事があり、セルバンテスに行った。
 受付に一生懸命DELEのことを聞いている日本人がいた。彼は試験を受けたいと言っていて、どこで申し込めるかなどの質問をしていた。しかし受付の人は日本語が話せないのか、話そうとしないのか、「どのレベル?A1?」などとスペイン語で答えていた。しかし彼にはそのスペイン語が理解できないらしく、A1すらなんのことやら分かっていない。
 埒があかなさそうだったので、近くにいた私が助言した。奥のところで申しこめますよ。と伝えた。
 彼は今度は私に質問してきた「エーイチ(A1)の試験って難しいですか?」
 A1の試験なので、難しいかと聞かれればDELEの中では一番簡単だ。しかし試験までは2,3か月しか時間がない。今このABCも分からない状態で、説明まで全部スペイン語の試験に対応できるかと言ったら、ある程度勉強しなければ厳しいだろうと思ったので答えに困って、「ここでスペイン語のクラスもありますよ」と答えておいた。
 彼が試験を受けたのだろうか。そして合格しただろうか。

<DELEA1合格のためにやったこと>

・DELEの模擬問題集で勉強
・文法などは他のテキストで勉強
・毎日ネイティブとチャット(音声通話に抵抗がない人は音声通話もやった方がいいと思う)
・DELEのテキストのライティング問題を書いて、やさしいネイティブの人にチェックしてもらう。
・口頭試験のシミュレーション
・上記の内容を1日数時間3か月ほど続ける。

<DELEA1合格の秘訣>

★とにかくDELEの模擬問題集(下記リンクを貼ってある本)をやりこむ!
★DELEの模擬問題集をやってみて正解できていれば、試験にはほぼ合格するでしょう。
★DELEの試験に挑む人は、DELEの対策をすることをおすすめします。
☆口頭試験の手順なども、この本に書いてあります。
ライティングテーマや口頭試験のテーマも、ほぼ同じようなものが本番に出ました(過去4回A1~B1を受験した経験上)。


#DELE #スペイン語検定 #スペイン語 #語学 #インスティトゥト・セルバンテス東京

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?