からっぽ〜003〜ショートストーリー
からっぽが道を歩いていく。人の形をしたその体は透明で誰も見ることはできなかった。
からっぽの目の前を女の子が歩いてきた。女の子はとぼとぼと歩いては涙をこぼしている。からっぽはそれに目もくれずに歩いている。
女の子は道の隅に置かれた長椅子に腰を下ろして、下を向いて更にたくさんの涙をこぼしていた。それでも、からっぽは振り返りもせずに歩いていった。
からっぽが道を歩いていく。すると赤い木の実が成っている大きな木の下で、二匹の小さなイノシシが空を見上げていた。二匹は交互に