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雑記* 立ち位置
詩を書いているとき、ふと私の立ち位置はどこだろうと考える時がある。
自ら書いておきながら、私は詩に対して生みの親というよりも傍観者であるという感覚が否めないでいる。
俯瞰というほど高い位置ではなく、内省というほど深い場所でもない、出来事のド真ん中ではなく、少し離れた物陰から見つめているような。または物事と視線のすき間から覗き込んでいる人間のような人間以外の何者かであるような奇妙な感覚で成り行きを見守っているのです。
ふと感じた思いや気づきを詩という作品にできるまで、私の立ち位置はブレまくる。
眼と耳と鼻と口と肌と記憶から入ってきたもののすべてを、そのまま言葉にしていいものかどうか、迷いながら、怯えながら、傷つけないように、傷つかないように。
言葉を探して暗ヤミの森の奥や海馬の深みにはまって迷子になるときもある。無事に戻ってきても、疲れ果てて眠ってしまって大切な何かを忘れてしまうこともある。
そうこうしているうちに、時が流れ季節が変わって、詩に書こうと思っていた物事や出来事が変わってしまうこともよくあって、ひと様にお見せするには恥ずかしいと思うほどタイミングを逃した古臭いものになってしまうこともしばしば。
詩を書くという作業は私にとって、クラゲのように波まかせで半透明な立ち位置なのです。