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公休日(祝日)からみた韓国の宗教文化
韓国の宗教文化を見るにあたり、まずは公休日に注目してみましょう。韓国には11日間の法定公休日があり、その多くに宗教や伝統文化が色濃く反映されています。
韓国の祝日には、新正(1月1日)やソルラル連休(旧正月)、チュソク連休(秋夕、陰暦8月14日~16日)があります。これらの期間には、家族や親戚が集まり、先祖祭祀を行うのが一般的です。これは韓国のみならず、東アジア全体に見られる共通の宗教文化といえるでしょう。
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また、仏教の釈迦の誕生日「仏様が来られた日」(陰暦4月8日)や、キリスト教におけるイエス・キリストの誕生を祝う「生誕節」(12月25日)も法定公休日として定められています。さらに、「開天節」(10月3日)は、韓国建国神話に登場する壇君が古朝鮮を建国したとされる日を記念する祝日です。このように、韓国の公休日には東洋と西洋の宗教文化が取り込まれている点が特徴的です。
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韓国の宗教人口:統計で見る信仰分布
次に、韓国の宗教人口の分布について確認してみましょう。2015年の韓国統計庁による調査によると、プロテスタントが19.7%で最も多く、次いで仏教が15.5%、カトリックが7.9%となっています。一方で、無宗教と回答した人は全体の56.1%と、過半数を占めています。
これを日本と比較してみると興味深い点が浮かび上がります。日本では文化庁の「宗教統計調査」(令和4年)によれば、信者数の内訳は神道系が51.5%、仏教系が43.4%、キリスト教系が0.8%、その他が4.3%となっています。韓国の無宗教層を除き、宗教人口だけを基に割合を計算すると、プロテスタントが44.9%、カトリックが18%で、キリスト教全体が62.9%を占める計算になります。仏教の割合は35.3%です。
ソウルの夜景に十字架のネオンサインが多く見られるのは、こうしたキリスト教の高い存在感を示す象徴的な風景です。日本の0.8%と比較しても、韓国のキリスト教徒の多さが際立っていると言えます。日本における神社のように、韓国ではキリスト教の教会が地域社会の中で根付いているのです。
韓国における新宗教と公休日の意義
韓国には、日本由来の新宗教も18団体存在しており、その信者数は総人口の約4%、およそ190万人に達するとされています。その中でも特に多いのが韓国SGI(創価学会)で、148万人にのぼるとされています。
韓国の祝日が連休で設定され、家族や親戚が集まり先祖祭祀を行うことからも、先祖を敬う文化が深く根付いていることがわかります。また、キリスト教が社会に強い影響を与えている点も、韓国の宗教文化の大きな特徴のひとつです。
韓国の三大宗教と社会的影響
韓国には国教は存在せず、政教分離が原則となっています。しかし、プロテスタント、仏教、カトリックの「三大宗教」は特権的な地位を享受していると言えます。たとえば、釈迦やキリストの誕生日が公休日に指定されていることや、元大統領などの国葬が三大宗教の儀式に則って執り行われることが挙げられます。
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また、韓国の軍隊には「従軍聖職者」(軍宗)が活動しており、これも長い間、三大宗教に属する聖職者だけが認められていました。こうした歴史や現状から、韓国社会における三大宗教の存在感は非常に大きいと言えるでしょう。