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苦手な場所

 絶望的な気持ちになることって時々あると思うんですけど、わたしは実家の台所です。うちのお母さんは、いわゆる「片づけられない人」です。家の中全体、ダイニングテーブルとか、ソファとか、棚とか、とにかくものが乗っかってます。特に台所!5年くらい前に実家を建て直したので、とってもきれいで、普通にしてれば広々とした使い勝手のいいキッチンのはずなのに…。シンクの横の作業スペースに、ふきん、ザル、ザルの中にはビニール袋、はいだプラスチックのラベル…もう覚えてません。コーヒーメーカーもあるけど、コーヒーメーカーの上にいつも何かが乗っかっているのもイヤです。分類されていないものが乗っかっています。バナナの皮とか。
 シンクの向かいにある食器棚の前には不織布のボックスがいくつもならび、中にレトルト食品や調味料のストックなど何かしらがびっしり詰まっていて、その上にもまたモヤのようにビニール袋が…どこに何があるのか全くわかりません。広々してるはずなのに、足の踏み場もないと感じてしまうくらいのものが散乱しています。
 普段はお母さんの手伝いなんか全くしないので、このお母さんの城に足を踏み入れることがないんですが、今日はやや体調不良のお母さんに代わってジップロックを台所で探したんですよ。ものが散乱している台所をしばらくうろついて、絶望的な気持ちになってめまいがして完全に諦めました。かろうじて認識できたラップで手を打とうとしたら、お母さんが「ここにあるじゃん。」と手品みたいにさっと不織布ボックスからジップロックを出しました。す、すごい!
 けれど、苛立ちとあきれの方が勝ってしまいます。お母さんも薄々気づいているようで、わたしが実家に全く泊まらないのを責めなくなりました。長時間いるとわたしがイライラして、お互いいいことないですもん。いつまでもソファに広げられた洗濯物、通販の雑誌、ダイニングテーブルの上を占領する割り箸、プラスチックスプーン、郵便物、テレビ台の上に所狭しと置かれた枯れた花!あれ、ドライフラワーて呼ぶらしい。もうピカピカのガラスの花瓶が泣いてるよ。
 わたしはすごくきれい好きというわけではないけれど、もう実家のどの場所も気になって気になって…。そして、そこで生活できてるお父さんと弟すごいな。そして、あのダイニングテーブルの上にさらに新聞と外したマスク置けるあの人たちとは、18年間も一緒に住んでいたとは思えないくらい生活文化を共有できません。
 はー、直接はっきり言えないから、ここではなしちゃったー。スッキリしたー。

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