6.新築で買った家が2年でボロボロ
マンションから一軒家に引っ越した時、僕だけがワケあって3ヶ月後に入居することになっていた。鬼子には数十万円を渡して、新居に必要なものを買うようにお願いしてあった。
3ヶ月後、僕がやっと新居に入居できるようになって一番最初に目に飛び込んできたのは、大量の段ボールの山だった。買った物かと思ったら違くて、引っ越しの段ボールがそのままなのである。なぜ?引っ越してから3ヶ月経ってるんだよ?今まで何してたんだ?謎はそれだけではなかった。家の中がびっくりする位に汚れていたのだ。そして早速、シャワーヘッドを置くところが壊れていた。なぜなんだよ。何が起きたのか。
鬼子に聞いても「自然と壊れた」と言うし、子供たちに聞いても知らないと言うだけだから、それ以上は追求しなかった。家の中がびっくりする位に汚れていた理由は、ただ単に掃除をしていないだけだった。
マンションに住んでいた時も、真っ白なフローリングの床が真っ黒になった時がある。んな、大袈裟な!って突っ込まないで。本当にあった怖い話。仕事が忙しかったのを理由にした僕も悪いが、まだ幼い子供がいる部屋としては悪環境である。この真っ黒い床は、僕がボンスターでせっせと磨いた。取れた"垢"みたいなものを泥団子のように集めたら、握りこぶし大になった。知人に話しても信じてもらえなかったが、本当の話だ。
ちなみに、鬼子が子供を連れ去って出て行った後、家の中を改めてじっくり見ていたら、あっちこっちがぶっ壊れていた。シャワーヘッド置き場だけでなく、4つあった調味料入れは見事に4つとも全壊(フタが壊れていたり、取っ手の部分が割れていたり)、障子も破れと穴だらけ、と、どう見ても新築の家には見えない有様だった。
僕自身も見て見ぬふりをしていたのか、見ないようとしていたのか、たぶん、諦めが一番強かったんだが…。
改めて「あぁ、うちはこんなにボロボロだったのか」、と気づいたのである。