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素人による素人のための金融用語解説 - 証券化とは? (#熟成下書き)

いつも通り、早朝なのか深夜なのか自分でも分からない時間に目覚め、多少の奥歯に痛みを抱えつつ、また二度寝が出来るようになるまでの間一つ書きます。これは、もう5年近く前にタイトルだけ決めて下書き化していましたが、そこから全く着手していなかったもので、何故か今書く気になったので書きます。今回扱う話題は「証券化」です。

証券とは、それこそいわゆる有価証券であり、一番イメージしやすいのは株式と思います。但しこのスキームの中で扱う証券は流通市場で売買出来るような株式とは限らず、より広範な有価証券全般を指すものと言えます。

このスキームで一番有名だったケースは、恐らく17年くらい前に米国であったサブプライムローン問題に出てくるサブプライム証券です。これは、米国において通常の金融機関があまり貸し出ししないような信用力の低い層への住宅ローンへの貸し出し債権を、事業体が買い上げて、そのキャッシュフローを担保とした有価証券を発行し様々な投資家に販売した、というものとなります。ここで見られるように、ある債権などといったキャッシュフローを生み出すものを事業体として買い上げて、その事業体がそのキャッシュフローを還元することを前提に有価証券を発行する仕組みそのものが「証券化」と呼ばれます。

通常、何らかの債券の場合債権者と債務者はリンクしていることとなり、債務に対する債権がなければ資金の回収は出来ないこととなります。これを、事業体が買い上げて自身の資産とし、それを裏付けに証券を発行すると、その証券を購入した投資家は債権に対する債務が直接なかったとしても、事業体からの証券への配当などといった還元により債務からのキャッシュフローを得ることが可能となります。また、こうして証券化したものは債権と直接リンクしないため、流通市場含む各種の手段での転売が可能となり、その金融取引による場合によってはキャピタルゲインも期待出来るようになる、ということになります。

サブプライムローン問題の場合、主に低所得者を対象とした住宅ローンの貸し出し債権を纏めて証券化し、それが投資家の間で高い利回りとして流通しました。それ故、信用力の低い債権が投資家の間で間接的に売買され、その信用力の低い債務が債務不履行になった時に証券の裏付けとなるキャッシュフローが生じないこととなり、これが、投資家の間で流通したサブプライムローン証券全般の暴落となって、多数の投資家および金融機関が関連する損失を抱えることになった、という問題と言えます。

サブプライムローンを扱った関係上、証券化というスキームにデメリットが意識されるかも知れませんが、一方で通常債務債権の場合は満期等の期間があり、回収までに時間がかかることもあるため、これを証券化して売買することにより満期を待たずに換金が可能となり、債権の流動性が高くなるという性質もあります。こうしたことから、何らかの形で債務債権に限らずキャッシュフローを生む金融取引が、事業体により買い取られて証券化されるケースは今でもあると言えるかと思います。

例えば、これは私の個人的な見解に過ぎないかも知れませんが、収益不動産やホテル等の観光宿泊施設等の家賃収入や宿泊料といったものもキャッシュフローと言え、こうしたものを保有する事業体が、株式を発行して株式市場に上場し、株式を購入した投資家に対してそのキャッシュフローから主に配当による利益還元を行う仕組みも広義には証券化と言えるかも知れません。これこそ、正に日本の株式市場に流通するREITそのものかも知れません。

また、以前、大手の通信会社が通信に必要なネットワーク機器の販売を割賦販売で行い、その事実上の債権を証券化して有価証券として売買したことにより、通信加入者のネットワーク機器への支払いのキャッシュフローを担保として換金を行ったケースが過去に我が国でもあったかも知れません。

発行するものが有価証券である以上、その価格は取引の中で変動すると言え、また、担保となるキャッシュフローも必ずしも回収や還元を保証するものではないため、こうして証券化されて発行された有価証券は通常のそれらと同様にリスクのある金融商品とはなりますが、この仕組みにより担保とするものの流動性が向上するため、そこにメリットを見い出す場合は今でもこうしたスキームによる取引が行われているものと思います。

長くなりましたのでここまでとしますが、金融取引を活発化するための仕組みの一つとして、こうした証券化というスキームがあるため、それについて知る限りのことを書いてみました。以上となります。

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