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[No.95] 【機密文書の公開あり】自民党の巨大な裏金作りの謎:ODA資金とワイロ問題


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 前回の[No.94]に、伝記や評伝との関わり合いとして、モンテーニュの『随想録』に関して書くと予告したが、大兄の公開メール[136]には、岡本秀樹のリベート問題が書いてあった。そこで急遽に予定変更し、伝記に関しての見解は後で論じることにして、今回は岡本のリベートを中心に、ODA資金のピンハネ問題に触れ、自民党の裏金作りの謎を明らかにする。


 発展途上国のビジネスでは、取引に際してのワイロが普通で、現在はコンサルタント料と呼び、商取引上の経費に見せかけるが、実態は昔の「袖の下」であり、自民党議員の主要資金源になってきた。それが経済援助外交で、ODA(公的開発援助)と呼ぶ計画を使い、自民党政府のトップたちが、援助資金の中抜きに参加し、リベートを着服したのであり、この秘密はアンタッチャブル領域だ。

 普通は極秘で門外不出だが、間に入る者が未熟なら、極秘情報でも流出するのであり、三菱商事側は機密厳守しても、訓練不足の空手教師の頭では、その辺の情報管理がデタラメになる。そこで資金に窮した岡本が、公益財団理事長で公認会計士の大兄に、借金の相談をするに際して、秘密計画の内容を打ち明け、三菱商事に連れて行ったので、担当の事業部長が愕然としたのだった。

 この話を電話で聞いた私は、大兄に証拠資料の提供を頼み、送付された資料をチェックし、本に公開して告発する上で、何をすべきかを検討する時に、原資料の存在が決め手になる。それは考古学的な調査で、発掘した遺物の存在形態や、年代推定の科学的検証法に、何を使用したかが大切であり、地質調査で訓練をした私には、犯行現場での鑑識に似た手続きでお手の物だ。

 アフリカで資源開発をやり、商社マンの仕事をこなし、詐欺師の天国の米国では、石油ビジネスをやったお蔭で、十件以上の訴訟を体験して、悪党を征伐した経験のために、私は高い授業料を払っていた。だから、経済援助の名目で形を整え、ODAで税金をばら撒くシステムを使っても、政治家が裏金を作る時に、ワイロを貰う者が仲間に加わると、「土手の一穴」で水漏れが分かる。その一例が次のコピーで、三菱商事の秘密文書に重機部の平木部長のサインと共に、ワイロ支払い確認契約として、岡本秀樹に宛てた文書が、1983年1月28日付けで出ており、それが証拠として決め手になる。(大兄が詳細を解説済み)

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 事業計画は「ベネスエフ・セメント工場」で、建設費用は459億円であり、日本政府負担(円借款375億円)とエジプト政府負担(75億円)だし、受注会社は本契約の三菱商事とメイカーの神戸製鋼の名がある。また、岡本のコミッションは1%の約3億7500万円で、受取時点は1986年12月までになっている。

 これだけの基礎資料があれば、有能なジャーナリストなら、背後関係について調べて、犯罪の人脈図を作り上げ、スキャンダルを暴露できるし、立派な調査報道が完成するはずだ。私が知る限りにおいて、商工族の渡部恒三代議士が、外務省の三宅和助と共に、中東やアフリカ利権の周辺で動き、その名を耳にしていたし、拓殖大や国士館大のOBも、手先として現地で動いていた。

 その中の現地要員として、岡本秀樹がいたと思うが、その仲間に小池百合子がおり、カイロに陣取っていたなら、人脈図を組み上げる時に、朝堂院大覚が決め手になるだろう。しかも、小池百合子の兄の勇が、ODA担当窓口役として、カイロに常住していたし、その後はアフリカ利権にも関わり、組織の理事をやったから、小池一家は家族総出だったのだ。

 しかも、百合子は枕稼業の他に、エジプトの情報機関と結び、日本では出世街道を歩み、国会議員や都知事までやり、日本人の税金をばら撒き、コンプラドールとして活動した。その点に関しての情報は、山根さんの関係筋の方が、私よりも詳しいはずだから、次回に教えて貰うことにして、私としては利権と絡む形で、政治にまつわる裏金を論じてみたい。

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 政治には機密費が伴い、その捻出に悪知恵をしぼり、色んな裏金作りが行われ、戦前は武器の横流しを始め、アヘンなどの麻薬の密売が、軍部や闇商人の手によって、極秘裏だが大規模に行われた。その代表が満州人脈によるアヘン取引で、関東軍の東条英機と組み、満州国の超官僚の岸信介が、宏済善堂の里見甫と共に、日中戦争をアヘン戦争にと変貌させていた。

 それが外務省の極秘電報で、その戦後版が経済援助として、M資金による経済復興に続き、ODAの海外援助となり、自民党の裏金作りを通じ、55年体制を維持し自民党の長期政権を支えていた。これが日本の政治史の闇で、その謎の解明を試みた私は、何冊かの近現代史の本を書き、歴史の証言を残してきたが、その骨格を形成したのは、証拠としての機密文書だった。

 『インテリジェンス戦争の新時代』では、外務省の極秘電報のコピーが、42頁から49頁まで掲載され、『日本に巣食う疫病神たちの正体』にも、数兆円のM資金の関係者名が、大蔵省の公文書に書いてある。しかも、印鑑証明付きであるから、ガセネタでないのは明白で、こうした証拠を伴う以上は、歴史の資料として役に立ち、犯罪行為は立証されるのである。

 ただ、問題は検察当局の姿勢で、現在の日本の腰抜け検察は、政府と癒着し権力犯罪に対し、メスを入れる正義感がなく、証拠が揃っても告発せずに、巨悪はしたい放題であり、高鼾の状態が罷り通る。オリンピック利権で汚れた森喜朗は、起訴さえもされていないし、学歴詐称や選挙違反の小池百合子も、元特捜検事が告発したのに、検察当局は調査を先送りして、サボタージュを続けている。

 国内レベルでの議論では、パーティー券を使った裏金作りや、小池百合子の学歴詐称で、枝葉の事件に大騒ぎをしているが、「木を見て森を見ない」近視眼であり、問題はそんなチンケな事柄ではない。なにしろ、第二次安倍政権の八年間で、安倍首相は62兆円をODA絡みで、税金を派手にばら撒き、その一部をワイロの形で中抜きし、オフショアの銀行口座に貯め込んでいる。

 その手口は戦時賠償の名で、有償無償の援助政策として、自民党が利用した手口であり、その典型がインドネシアを舞台に、岸信介が巧妙に作り上げた、商工省(MITI=通産省)を活用した裏ガネ作りだ。石油問題が分かる新聞記者は日本に皆無で、50年前から調査し判断して、その問題を幾ら指摘しても、私の著書を更に掘り下げて、追及することがなかったから、百鬼夜行で魑魅魍魎の天国だ。

 ジャーナリストとして私は、キャリアの前半の時期に、石油公団の乱脈に対して、血税の無駄使いとして鉄誅を加え、その一つが『Tale of Domegate』だが、これは私の修行になった。田中角栄や中曽根康弘が、石油の利権に食いついて、日本のエネルギー政策に、大きな打撃を与えたけれど、その犯罪を告発しないまま、現在の亡国日本を招いてしまった。


 日本のジャーナリストで、世界を舞台に活躍するのは、現象の現場報告を主体にし、簡単に物量の比較で済む、戦争のように分かりやすい、精緻な構造分析が無用な素人向けのものだけだ。複雑な構造と機構を解明し、緻密な理論構成が必要な、理知的な問題に挑むより、右脳が得意な感情と結ぶ、興奮を伴う事件物を好み、日本のジャーナリズムは、答えのない問いには挑まない。

 その一例が国家予算であり、一般会計を国家予算と呼び、これを日本では国会で審議し、国家運営の基礎を置くが、実は別に特別会計があって、財政投融資と名付けられ、一種の裏金の機能を果たす。2023年度の一般会計は、約114.4兆円の規模で、過去最高額を更新しているが、税収は約72.1兆円と予測され、これも歴史的な高水準で、特別会計は年々変動しても、相対的に大きな規模を維持する。

 しかも、特別会計は独立採算制で、公団や政府の事業団などが利用し、天下り役人の財布であり、その歳入は特定の税収や財政投融資を始め、政府資金や特別公債などで、資金管理や収支損益は不明瞭だ。また、一般会計は百兆円余りだが、特別会計は二倍程度もあり、国会での審議の対象ではなく、財政投融資の名の下に、各官庁の役人の采配で、勝手に使われる裏資金でもある。

 ODAは特別会計から出て、日本最大の裏帳簿であり、そこに触れるのはタブーで、それを問題視した石井紘基議員は、右翼を自称する男に刺され、自宅の前で暗殺されている。彼が暗殺された2002年度は、一般会計の規模は81兆円で、特別会計は200兆円だが、財務省は特別会計は、数字を公開しないから、族議員と官僚族にとって、「打ち出の小槌」に等しい宝箱だ。

 日本のジャーナリストに、これから問われる課題は、安倍がばら撒いたODAが、どんな形で中抜きされて、62兆円の血税が消え、安倍家の資産に化けたかで、その徹底追及が不可決である。満州の亡霊は生きており、それがゾンビ化した議員で、統一教会に汚染された自民党が、解体されない限り明るい未来は訪れないし、それが日本の再生の唯一の道になる。

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