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【No.100】世界レベルのインテリジェンスとその価値/日本被団協のノーベル平和賞/“国賊“の意味論

前回【No.99】は偽造や極秘文書を扱い、その件について論じたので、今回もその方面に関連して、30年くらい前に体験した謎や極秘情報にまつわる、思い出話に触れて見よう。冷戦構造が幕を下ろしてソ連が解体しロシアになり、米国の世界戦略家が変化し主軸が軍事から経済に大転換して、戦略が大変化した影響により、米国の主敵が日本になった。

米国は戦略を大転換して経済大国日本の攻略に、経済面での制覇を狙ったので、アメリカ版の「千人計画」と呼ぶ巧妙な浸透計画を用意し、日本を攻略する作戦を展開した。包括的インテリジェンス(Comprehensive Intelligence)と名付けた、新しい経営方式を活用して、米国に本拠地を持つ組織は日本に支部を作るために、1991年秋の東京で創立会議を開催した。

 主催は米国商業会議所で後援は駐日米国大使館だし、日本側の準備委員長が『CIA流戦略情報読本』を翻訳した、商社の部長で私の読者だったから、およその狙いは見当がついた。だが、インテリジュンスを論じる上で、日本側のパネリストとして誰が適当かの人選に、アドバイスが欲しいと相談を受けたが、世界レベルで通用する人は当時の日本には見当たらなかった。


情報を論じる学者はいてもインテリジェンスとは程遠く、日本の公安レベルの情報感覚では、とても釣り合わなくて、テ―マがComprehensive Intelligenceと聞き、皆が腰が引けて辞退していた。最後の頼みの綱だった『情報化社会』などの著者で、東京情報大学の林雄二郎学長は都合がつかず、開催する日本側に適任者が欠け、パネリストの人選に困っており、助けて欲しいとの連絡が届いた。

開催ギリギリの段階で用意する時間もなかったが、ちょうどその時期の私は『インテリジェンス戦争の時代』を纏め、間みなく出版の予定だから、急いで東京を訪れることに決めた。しかも、私は国際石油企業で働き、資源衛星の写真を使って世界各地の地質を分析する任務で、インテリジェンス活動をする、そんな仕事を担当しており、プロとしての訓練も受けていた。


会社は私の訓練のために、エロス・データセンターで、衛星写真の解析修行や、技術習得のWprkshopに派遣してプロとして育てたから、その方面での情報分析では、私には誇れる実績の蓄積があった。だから、急な講演依頼の電話だったが、興味深いプロの集団相手だから、講演する人のリストを聞くと、ルンド大学の情報工学部長やロッキードの副社長を始め、各国の情報機関の幹部などで、この際知り合っておこうと思い、おっとり刀で飛行機に飛び乗った。

ルンド大学
ウプサラ大学

スウェーデンのルンド大はウプサラ大学と並んで、歴史を誇る総合大学であり、黒海を挟みソ連に向き合い対ソ諜報の拠点の役割を演じ、情報工学部の存在はインテリジェンス教育で有名だった。また。米国の商業会議所と米国大使館が、情報工作のため組織したので、手伝っていたアメリカ人に在日のCIA関係者が目立ち、彼らが民間のカバーであっても、私は直ぐに正体が分った。

しかも、日本の技術者は生真面目で何万円もする参加費を払い、千人近くの人が参加していたし、気軽に個人情報を提供し蜜ツボに引き寄せられる姿は、外資への転職ブームの時にしても寂しかった。私は情報の意味論を喋りながら、同時通訳で自分の講演を聞いた時に、SemanticsをSyntaxと訳したので、大いに呆れてしまったが、日本では意味論が全く軽視されていて、これが致命的だと痛感した。

ANAホテルでの会議について、私は記事を書かなかったが、どこかで触れていたと思って、出席者の名前と肩書を探し、どこに書いたかを見つけるために、数年ぶりに『日本に巣食う疫病神の正体』を読み直した。すると、「まえがき」に安倍のゾンビ政治が、彼を「国賊」と呼ぶ上で如何に値するかを論じており、それが正鵠であることを発見し大いに感激したから、その問題を改めて検討したい。



石破内閣の誕生で村上誠一郎が総務相に就任し、安倍を国葬にした時に、彼が国賊と指摘した時の話がメディアで蒸し返され、まるで村上議員の指摘が不適切だったと叩かれている。だが、狂っていたのは安倍晋三であり、彼は首相としての責任を弁えずに、長期政権を維持するために反日邪教の広告塔を演じ、国益を損なう売国行為に終始していた。

<・・・安倍内閣の経済政策は、日銀総裁の黒田東彦をはじめ麻生太郎財務相や竹中平蔵などゴロツキに似た顔ぶれで、国民の幸せな生活を実現することなく、まったくの役立たずであった。だから、アベノミクスと名付け欺瞞に満ちた空念仏を唱え、国民を騙し続けただけであり、こんな狼藉が支配した後は、大掃除するだけでも無駄なエネルギーの浪費になった。

愚劣な安倍政権が残した荒廃した暴政の痕跡は、日本の至るところで目立ち、閉塞感に支配されたために、善良な国民は思考力を喪失して、洗脳されている状態にある。だから、議会が機能しない中ですべてを閣議で決定し、議事録も作らず噓と隠蔽に改竄を加え、民主政治と称する政治が実は暴政であると指摘しても、嘲笑される始末始末だった。

戦前回帰を推し進めて、大衆の感情に訴えるとメディア支配で情報操作し、株価の上昇で好況を装い愚民政策で洗脳すれば、管理体制が持つ脅威に不感症になって盲従する。それが安倍体制によるゾンビ政体の時代だが、個人が自らの頭で考えず自分自身であるのをやめ、集団行動に依存するならば、それは現代における畜群である。

日本人を畜群化したのがアベノミクスの魔力で、その張本人が消えた以上はその汚れを清掃して、次に消毒をすることで病源を完全に根絶することだ。それはオカルトにはまった狂信的な人間を洗脳から救うのに似て、簡単なことではないが、徹底してそれをしないとゾンビが再び蘇生し襲って来る。・・・>

『日本に巣食う疫病神の正体』まえがき

「まえがき」に書いたのがこの文章だが、これは何歩も離れた岡に立ち、「岡目八目」の足場を手に入れ一段と高い視座から遠望し、流れの行き着く先を読み、大局観でものごとを理解する「離見の見」を得ることである。目を見るためには目の外に出て、目を含む顔や身体を観察し、人間がそこにいる環境全体の中で位置づけることであり、それはものごとの抽象化でもある。

経済学を社会科学の中に位置づけ、それが「経世済民」だと知れば、良い暮らしと幸せな人生がその眼目だと分かるし、「成長一辺倒」という経済思想がいかにおかしいかを理解できる。そして、ゾンビ政体という異常な環境の中で、閉塞感に慣れ親しんでしまい、自分の頭で考えるのを止めて、愚民工作に洗脳されてしまえば、売国奴が国賊に見えなくなってしまう。

それが三十年以上も続いたゾンビ政治の成果であり、小泉から安倍に続いた時代が日本人に及ぼした病理現象だが、上に立つ者がサイコパスなら、それに導かれた時代は狂ってしまう。しかも、政権与党の自民党議員の半分以上が、反日邪教に強く影響されていて、地上に神の国を作ると称し、国民の幸福を忘れ去り平然と売国行為に明け暮れている。

それは半世紀以上も続く安倍家三代にわたる疾患で、岸信介から安倍晋太郎を経て安倍晋三に至る業病だが、途中に養子に出た岸に取っては、本家筋に当たる佐藤栄作が核武装の亡者として控えている。しかも、岸信介や佐藤栄作の兄弟や岸の孫である安倍晋三は、自民党の総裁を歴任し日本の首相になっており、朝鮮の対岸の山口を根城にして、韓国の利権に結びついて来た。

そして、Warmongerの家系として兵器や核武装を商売道具に使い、軍国主義と深く結びつくことで、稼業として政治利権を築き上げ、日本の社会を崩壊させてしまった。しかも、佐藤栄作に至っては虚偽でノーベル平和賞を入手し、偽れる盛装に輝いていたが、半世紀後にその化けの皮が剝がれ、ニセ者と本物が入れ替わって核兵器なき世界の実現の努力が実り、日本被団協がノーベル平和賞を受賞した。


新聞記事は次の通り報道したが、実に嬉しい知らせであり、日本人が諸手を挙げて喜び、世界に向けて胸を張って、その歓喜を伝えたい実に素晴らしい吉報である。


被爆者の熱心な活動が評価され、ノーベル平和賞を受賞して感動に満ちた瞬間を味わったが、卑劣な日本政府の裏切りは、核兵器禁止条約が国連でせっかく成立したのに、その調印に参加しないでいる。しかも、選挙地盤である広島で岸田はG-7の会議を開き、各国の首脳が参加したのに、原爆記念館の展示場に首脳を招く努力はせず、被爆国の首相として核禁止のアッピールさえしなかった。


また、被団協の受賞の朗報を佐藤章記者は、彼のU-Tube番組を使い感動的なリポートをし、彼の無言の嗚咽に多くの視聴者が感動したが、それはコメントの記事を読めば、共感がひしひし伝わって来る。


そこで秘話を一つ紹介して長年埋もれた話を公開すれば、【No.88】に登場した早川聖さんはカナダで隠棲した外交官だが、ある日の晩餐の雑談の時に、終戦工作の話題でこんなことを喋った。

<・・・終戦工作の時の話だが、外務省に加瀬俊一は二人いて、一人はミズリー号で降伏文書に調印し、その後に駐米大使になり佐藤や中曽根の顧問だった、戦時中は親ナチ派に属した加瀬俊一です。もう一人は終戦時にスイス公使で、ポツダム宣言に関係し、戦後は駐独大使をやった親英派の加瀬俊一であり、二人は私の先輩でした。・・・>


親ナチ派の加瀬俊一には、息子の加瀬英明がいて、英語が得意だから「ブリタニカ百科事典」の編集長をやり、その関係でCIAと関係し、統一教会や日本会議に近かった。そんな人脈の関係もあり、佐藤の顧問だった加瀬俊一は、ノーベル賞を貰うために、佐藤栄作に関し嘘八百のレポートをでっちあげ、平和賞の受賞工作を手伝い、世界を相手にして嘘で騙したのだという。

政治の世界は騙し合いで暗号解読はその極致だが、インテリジェンスの面ではエリザベス一世時代からの伝統で、英国が最も優れており、ドイツが手本の日本だから、勝ち目がないと彼は嘆息した。この話が切っかけになり、インテリジェンスの価値に目覚めた私は、ヨーロッパの歴史を学び直し問題意識を磨いたお陰で、情報理論の世界に近づき何冊かの著書を纏めた。

そうしているうちに、秘密の謎解きに親しみ、中核には秘密結社があり、そこに迫るための知識としては、意識を司る脳の働きを知ることが大切だと分かったので、精神科医の藤井博士に弟子入りした。そして、十年ほど対談を続け、その間に脳医学と共に精神病理についての知見を増やし、『間脳幻想』を仕上げたら社会病理の診断ができ、ゾンビ政治の正体までが手に取るように見えて来た。

そうなると面白いもので、それまでは謎に包まれ分からないままだった、世界の構造が見えるようになり、その記録を纏めていたら幾冊かの著書が誕生し、独自の仮説を作ることまでが出来た。Deconstractiunに従い既存の枠組みや体系を解体し、新たに構築する作業にはカリフォルニアは最適で、地の利を生かし得たから、人生の後半は実に面白くなった。

多様性に富む点において魅力に満ちた場所を拠点に、世界中を飛び歩くことで、セレンディピティに満ちた第二の人生を謳歌でき、エネルギースポットを訪れ、地球が秘めている神秘を探り当てた。その具体例に相当したのが、『宇宙巡礼』や『生命知の殿堂』で、読むだけで興奮するし、神秘の世界の面白さに陶酔させられてしまい、生きている喜びを満喫できた。


そこには出会いにおける悲喜こもごもがあって、儚くも侘しい人生模様が走馬灯のように巡り、賑わう市場経済でさえ「槿花一朝の栄」を示し、栄華必衰の理だと教えてくれる。その一例が同時多発テロで、NYの世界貿易ビルが崩壊した事件に触れた後に、それを語り合ったためか、対談相手の大本さんは、奇妙な形で人生の終わりを迎えている。


大本さんは日系アメリカ人で、ロスのガーデナ市で会計事務所を経営しており、早稲田大の理工学部時代は原理研究会の幹部として、かなり派手に活躍していたという。だが、米国に戻り大学院でBAをやり、米国政府の秘密計画を調べ、空飛ぶ円盤やエリア51などに関与し陰謀論の世界を知ったら、カルト的な世界がバカに見え、統一教会とは縁を切ったのだそうだ。

電子工学をやった時代は宇宙原理に興味を持ち、原理研究会に参加して聖書を読み、ユダヤの歴史を学び秘密結社について調べたが、勝共連合のペテンが分り米国に戻り絶縁したそうだ。だが、彼は秘密を探るのが好きで、陰謀の発掘が趣味だから探偵趣味を楽しんでおり、カリフォルニアには奇人が多く、そうした人脈を開拓していて、私に色んな人を紹介してくれた。

そんな中に日系の二世で戦前に諜報関係で働き、『スパイ野坂参造追跡』を書いたジェームス小田老人がおり、彼の新年会に連れて行って、興味深い話を聞く機会を提供してくれた。また、大本さんの仲間や後輩にオーム真理教の幹部がいて、カルトに理工系の青年が多いのは真理追求に釣られるからだし、統一教会を理解するには、太平天国の乱を学ぶことだと教えてくれた。


このオタク族に属す人は珍しい体験を持っており、雑談すると学ぶことが多く、ロスに行き良く対話したが、NYの同時多発(9・11)事件の後で、次のような議論をしている。これは陰謀論に属しているが、こうした話を出きる相手は余り多くないと思うし、内容的にも興味深いものが多いので、以下に二回に分けて掲載して、その内容を参考に供したい。


続きの話も興味深くて、彼の知識には関心するが、こしした人がメンバーなら、お題目を有難がっている創価学会よりは手ごわく、カルト教団でも決して油断はできない。もっとも、これだけの知識を持つので、統一教会のペテン振りに愛想をつかしたのだと思うが、彼のレベルは『ムー』を超え、神秘学探究者の水準だから、その知的な好奇心には感心してしまう。

しかも、彼は結婚して妻がいたが、いつも食事をする時には愛人のアリゾナを連れてくるし、彼女は奇妙な体験の持ち主で、ボヘミアン・グローブの森で、奇天烈な役を演じた不思議な女だった。だから、彼女を東京に連れて来てUFO研究の集会に参加し、竹本良の仲間たちの前で講演をしたりして、得体の知れない存在だったが、ロスにはこうした人が数多くいる。

こんな経歴を持つせいか、今から七年ほど前だがロスの知人から電話があり、大本さんが死んだと言われ、それも不審な死に方であり、Desert Hot Springsのホテルで死体として発見されていた。それも、ホテルの温泉プールに早朝に浮かんでいたのであり、他殺か自殺かも不明だし、なぜそこにいたかも分からず、迷宮入りのままであるという。

また、Deep Stateという言葉は彼から教わったものだし、こんな形の不審死だと薄気味悪くて仕方ないが、これも人生の巡り合わせであり、世の中には不思議なことが多い。安倍晋三の射殺事件は売国行為への天誅で、そう思わない日本人も多くいて、安倍を英雄視するのは異常だとする私に,国賊視は異端だと非難する人に対して、私はパトリオットとして反論したい。

パトリアとは祖国を意味し、碩学の将基面貴巳博士は『愛国の教科書』の中で、愛国心や愛国者を論じ、その意味論を整理して次のような形で論じている。

<・・・キケロによると「祖国」には二種類あります。一つは「自然の祖国」です。これは簡単に言えば、生まれ故郷のことです。自分の両親への愛情や生まれ育った場所への愛情と密接な関係があり、実際に御馴染みのある比較的比較的狭い土地や地域を指します。もうひとつは「市民的な祖国」、つまり、自分が市民権を有する国を意味します。これは法的な共同体で抽象的な存在です。「自然的な祖国」が土地、自然環境、そこに住む人々を具体的に指すのとは対照的です。キケロの場合、共和政ローマが彼にとって「市民的な祖国」でした。・・・>

『愛国の教科書』

こうした歴史的考察に基づき、オタゴ大学の将基面教授は以下のように論じている。

<キケロにとっての「祖国」とは、故郷の美しい山河や郷里の人々ではなく、共和主義とは市民の自治を通じて、市民にとっての共通善(特に自由や平等、そして、そうした価値の実現を保証する政治制度)を守ることを重視する思想です。

このような伝統から、ヨーロッパの国々では、愛国心とは共和政的な政治的な価値や、制度を防衛することにこだわる思想、政治的思想だと理解されてきました。逆に言うと、愛国心が敵と見なすのは、市民にとっての共通善を脅かす暴政です。暴政とは、ヨーロッパ政治思想史の伝統では、暴力をむやみやたらに行使する暴虐非道な政治を意味しません。暴政とは、一部の人々が私益を目的として権力を乱用し、共通善を脅かすことで腐敗する事態を意味します。・・・>

『愛国の教科書』


これは小泉や安倍一族のように、国会議員を稼業として世襲し、利権化して暴政を奮い続けてそれを自由民主と名乗り、腐敗した支配体制を維持する、特権家族のための体制への否定であり、断固とした破産宣告でもある。こうした世界に通用しないゾンビ型の政治支配に任せ、そんな時代遅れの腐ったレジームの維持が、愛国だとする妄想から離脱することが重要だ。

将基面博士は『愛国の構造』で、次のように指摘する。

<政治的美徳を持つ「祖国の市民」は、公私の領域を問わず、私益を優先する「腐敗」に反対し、「祖国」と同胞である市民たちに、献身する人々である。>

『愛国の構造』

だから、浅ましい洗脳から自らを解放して、真の自由を手にする努力がキモであり、暴政に明け暮れ国益を損ない売国行為に明け暮れた、売国者を国賊と認識することが必要である。


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