とんぽんきょう

日常の生活の中で、私の周りで起こったくだらないことをエッセイとして投稿する大学生です。…

とんぽんきょう

日常の生活の中で、私の周りで起こったくだらないことをエッセイとして投稿する大学生です。 いつかはこれらが出版できるようにと思っています。 ぜひ、お読みいただければと思います!また何かしら反応していただけると嬉しいです。

最近の記事

【不安な短編小説】青りんご

〈昨夜未明、○○町で火事が発生した模様であります。近所の住人からの通報はなく、消防隊が火事の存在を探知したときには既に時間がたってしまっていた模様であります。風にも煽られながらあまりにも火の勢いが強くなってしまったため、消防隊が到着したときには近づくこともままならなかったということであります。しかし遠い場所からの地道な消火活動の結果、発見から数十分後にようやく本格的に消火活動を開始で来た模様であります。結果、炎は一時間後に消し止められましたが、火元となった家は全焼。無残にも家

    • 水たまりのジェントルメンのその後の話

       大きな水たまりを前に人がいて、困っていたらジェントルメンがさっそうと現れ。自らのコートとかジャケットを脱いで水たまりをそれで覆う。さぁどうぞとその人にそこを歩かせ問題解決。これは典型的なジェントルメンの行動の例であると思う。実際には一回も見たことはないけれど、ジェントルメンと言えば、大半の人がこの行動を連想すると思う。しかし、同時に大半の人はここで場面が終わる。もちろん私も。水たまりの上を渡らせ、 「あぁ、あなたジェントルメンね、どうもありがとう。」 「いやいや当然のことを

      • 【エッセイ】神職。ここに神職。

         神社で働いている人のことを何と呼べばいいのだろうか。神職の人と言えば間違いではないのかな。神主さんていうと一つの神社に色んな神主さんがいてしまうことになるから。とにかく、神社には意外にも働いている人が沢山いる。私たちが神社に参拝に行くときなんかは、特に規模の大きな神社を除けば大体は、ドゥーイットユアセルフである。特に何かしてもらおうとしない限り、神社側の人と関わることはない。だけれど、御朱印をもらおうと思えば、ずっと御朱印の受付に座っている人もいるし、お守りを売っている人も

        • 【エッセイ】大人の余裕

           1人で外食。これは高校一年生の私にとっては大人がすることであった。今考えれば何らたいしたことはないのだけれど、友達とも、家族とも、一緒に行かずに1人で店を決めて、1人で注文をして、1人で店を出る。もちろんお会計をして。それも1人。これはちょっとした大冒険であった。行くのはイタリアンレストラン?コースを出すお店?高級寿司屋?外食というとそういうファンシーな店ばかり思い浮かんだが、高校生が行くのはだいたい決まっている。ラーメン屋一択。それも通学路沿いにある店。それでも緊張してい

        【不安な短編小説】青りんご

          【エッセイ】喫茶店の試練

           空気のこもった部屋から窓の外を眺めると、真っ青な空。木々は風に吹かれてそよそよと優美にその枝葉を揺らしている。アスファルトは薄い日に照らされていて心地よさそうだ。まるで楽園を見せられているかのよう。これといって外に出る用もなかったが、その楽園に我慢できなくなって散歩に出る事にした。  外に一歩踏み出した瞬間から、待っていましたと言わんばかりの涼しいそよ風が吹き抜けた。私は大きく息を吸い、部屋から望んでいた楽園に期待を膨らませて歩み出した。そしてすぐに私は春に騙されたことに

          【エッセイ】喫茶店の試練

          【エッセイ】入店のスペシャリスト

           新しい店に入るというのはいつもドキドキするもので、飲食店ならなおさらだ。ドアの取っ手をつかんだ瞬間、頭の中に次々と浮かんでは消えていく心配事はもはやこの店は美味しいか美味しくないかではない。中が常連ばかりで自分だけ部外者みたいな感じだったらどうしよう、とか、お店の人は優しいか、とか。席は空いているかというのもある。これもなかなか鬼門で、待つこと自体に抵抗感は全くないのだけれど、ガラガラと扉を開けて、1人、と弱弱しく人差し指を立てた瞬間、外で待ってて、と言われたとき、そして店

          【エッセイ】入店のスペシャリスト

          【エッセイ】何をくぐった?

           春から初夏にかけて木々は青さを取り戻し、遠くに望む山も迷彩服のように若いのとベテランの木々がまだら模様をつくり始める。それはもちろん、山に限らず街路樹であったり、公園の木でも、どこでも、みずみずしい緑色をまとい始める。そしてそこの下をくぐるのは、ワクワクして仕方がない。別に街路樹にお小遣いを貰えるわけではない。お小遣いをもらえるならもっとワクワクするかもしれないが、いやいや、もうちょっとささやかな、自然の若さを肌で感じるという、この季節にしかない特別な体験。季節は一周した、

          【エッセイ】何をくぐった?