Mio:ヘリクリサム

<ロックダウン生活から解放され、、>

さて前回の投稿から約一ヶ月が経ち、イタリアではついに全国の封鎖が解除され、長かった自宅生活から徐々に解放されつつあります。
そんな中、私が何よりも待ちわびていたのはパドヴァ大学植物園の開園です。
この植物園は私がイタリアにいる理由の大半をしめているので、少し解説を、、。

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中世の時代のパドヴァ植物園

<パドヴァ大学付属植物園の再オープン>

パドヴァ大学植物園は1545年に創設され、世界で一番古い植物園とされています。
その植物園の特徴はなんといってもその場所でしょう。
ふたつの教会に挟まれ、現在も右を見ればサントアントニオ教会、左を見ればサントジュスティーナ教会、ととても神聖な空気に包まれています。
そしてパドヴァ大学として設立される前は、サントジュスティーナ修道院の薬草園としてスタートしたので、おそらく地球上にある薬草を栽培していた施設としては最も古く歴史が有る場所だと思われます。
また、創設当初からの原形を留まっている様から1997年にユネスコ世界遺産にも登録されました。
あのゲーテがイタリアに旅行した際にパドヴァ植物園に立ち寄って、「啓示をうけた」とされるヤシの木も、今も威厳を保っていますし、その後ゲーテは独自の自然観を得て執筆した著書がいくつもあるとされています。
このように歴史的な価値や研究機関としての充実の観点から見ても、植物の一個人に与える影響を見ても、植物を学ぶものにとって最高の環境といっても過言ではありません。
(こちらでは日本の方向けの日本語ガイドも行っておりますので、こちらにこられる際には是非お声がけくださいね!)
*昨年帰国した際にはお話会もさせて頂きました→パドヴァ植物園お話会

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植物園併設の標本館の後ろにはサントアントニオ教会がちらりと見える


前置きが長くなりましたが、その植物園がついに長い閉鎖期間を経て再オープンしたので、ついに足を運んできました。
3月から5月半ばと、植物にとっては花盛りの季節に誰にも見てもらえず、なんてかわいそうな植物たち、、と内心思いながら植物園の中に入ると、私の予想をはるかに超えて、元気いっぱいの植物たちに再会しました!
どうやら人が全く入らなかったおかげで、空気はきれいになり、空間を自由に伸び伸びと枝を伸ばし、花は咲き誇り、昨年よりも緑の色も濃く、花びらひとつひとつが分厚くなっているように感じました。
なんて誇らしい植物たちでしょう!胸がいっぱいになりました。
そこでちょうど満開だったのは、、、

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威厳のある東西南北の門は創設当初から変わらない


<ヘリクリサム:(学名:Helichrysum italicum ssp.serotinum キク科 Asteraceae)>

Misaさんがイタリアの本場のヘリクリサムを見てみたい!
と言っていた矢先に満開のヘリクリサムに、植物園で出会えました☺
もうそろそろかな?と思っていたのでやっぱり!と嬉しくなりました。

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地中海の風を感じます

ヘリクリサム、またの名をイモーテルあるいはカレープラントといい、地中海付近原産の多年草の植物です。
ヘリクリサムとはギリシャ語でhelio=太陽、krysos=黄金のという語源から来ているとされていて、花が黄金色の様から由来していると言われています。
またドライにしても長い間色を保つことからイモーテル(フランス語で不滅という意)と言われ、アポロンはこの植物の花冠を飾って自分が不死身である事を示したとも言われています。
ただ実物は本当にいつまで経ってもカレー臭いです、、、ベトナム料理では種や新芽を使うそうです。
今もイタリアではヘリクリサムを使ったグラッパ(ブランデーの一種)などのリキュールもあります。

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<逞しいイタリアのヘリクリサム>

実物のイタリアのヘリクリサムは地中海原産なだけあって、とにかく逞しく生き抜く力に満ちています。
育てる場合もなるべく乾燥していて、ごつごつした岩場で太陽がガンガンあたる場所が良いでしょう。
日本で何度か育ててみたけれど、やはり湿気に弱いようでなかなか日本の普通の環境では育ちにくいようです。
アロマテラピーの精油になると、あのカレー臭いのがうそのよう、すっきりとした清涼感のあるスパイシーな香りになります。
その昔、薬草店で働いていた頃、マイナス10℃の寒い冬に、凍結していた地面に気づかずに、つるんと滑って転んでしまい、右手の甲を打撲してしまい、紫色になり膨らんだ箇所を病院でレントゲンを撮ってもらったらヒビが入っているかいないかギリギリのところ、と診断されました。
そして先輩たちのアドバイスにより、ヘリクリサムの精油を原液でひたすら毎日塗ると、もうあっという間に治ったのを今でも覚えています。
(こういう時は早ければ早いだけあざになりません!)
ただ、ヘリクリサムの香りを嗅ぐとどうしてもあの寒い冬に、効き手と腕が使えないのでレトルト食品ばかり食べていた当時の思い出が蘇るのです💦
精油のヘリクリサムはとても有能なので、私のように打撲やあざなども治りやすいし、化粧品でもよくアンチエイジングとして利用されています。
ぜひフェイスクリームなどを作る際には1滴入れてみて下さいね、お肌が不死身のように蘇りますよ!

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標本用に本の間に挟んでいた全く色あせないヘリクリサム

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不死身のイモーテルちゃん、人間にもパワーを与え尽くしてくれます

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