私が愛したボドゲたち ~電脳世界編~
ネットランナーというカードゲームがある。
私の一番好きなゲームだ。
このゲームに最初に出会ったのは確か2016年ぐらいだったと思う。
親友が紹介してくれたのだが、彼のデッキを借りて何回かやって、すぐにハマってしまいその週には自分も買い、その次の週にはネットランナーコミュニティがいるゲームショップに飛び込んでいた。
そのあと多分一年余りやったのだが、その当時は毎週二・三回は色々な店に回りながらまあまあガチでやっていた。
今でも色々と思い出す。
空いたレストランでカードが読めないような照明の中やってた記憶。
店舗大会で強い人が軒並み用事があってたまたま勝った記憶。
地方大会でトップ8に残れたは良いもののそのあとボロクソに負けた記憶。
全国大会で全体的にボロ負けして長くなりかけていた鼻を折られた記憶。
世界大会のために仲間とアメリカに遠征した記憶。
その時友達に貸したカードをまだ返してもらってない記憶。
ある意味第二の青春だったような気がする。
今日はそのゲームの紹介を軽くしたい。
ゲームの流れ
ネットランナーは一人が企業、もう一人がランナー(要するにハッカー)としてデッキを持ち寄りプレイする対戦型カードゲームである。
企業サイドの流れ
それでまず企業の勝利条件だが、企業側は計画書という数ターン守り抜かないといけないカードをサーバーというエリアに出し、無事守り抜けたらその計画書の点数分を得ることが出来る。それが7点に達したら勝つ。
それでこの計画書の守り方だが、ICEという防衛プログラムのカードを使う。このカードはサーバーの前に出す事が出来、ランナーはそれをかいくぐらなければそのサーバーに入っているカードに触れない。
なので基本的に企業は
サーバーを守るICEとそれを使うために必要な資金を集め、
サーバーが堅牢だと思ったら計画書をそのサーバーに入れ、
その計画書を数ターンと資金をかけて「進めて」勝利点に変える
という流れになる。
ランナーサイドの流れ
ランナーの勝利条件も企業と同じく勝利点が7点に達する事なのだが、ランナーの場合は計画書を企業から盗む必要がある。
それをするには計画書が入っている企業のサーバーを「攻撃」し、企業のICEをかいくぐらなければいけない。
それでICEの突破方法だが、それにはICEブレイカーというプログラムカードを使わなければいけない。
なので基本的にランナーは
ICEブレイカーとそれを場に出すために必要な資金を集め、
サーバーを突破でき、そこに計画書があると思うならそのサーバーを攻撃して、
そのサーバーを守っているICEをICEブレイカーと資金を使いながら突破し、計画書を盗む
という流れになる。
金がなくては戦は出来ぬ
両側の流れを読んで気づいたかもしれないが、このゲームは何をするにも資金がいる。
カードをプレイするにも資金がいるし、企業側は計画書を進めるために、ランナー側はICEブレイカーを使うためにも資金がいる。
しかも資金はマジギャザやデュエマのマナとは違い、毎ターン回復しない。
最初は資金を増やすカードがあるからいいものの、ゲームが続くにつれ両側ともどんどんカツカツになっていく。
しかも一回全部使ってしまうとそこからまた十分な資金を集めるには数ターンかかり、その間は相手に好き勝手やられる事になる。
それゆえ基本的に両側とも出来るだけ資金を使いたくないのである。
何故ゲームの世界でも貯金せねばならぬのか…
ゲームの魅力
このゲームの魅力を一言でいうならば、それは「非確定情報」である。
企業は非確定情報を盾に行動し、逆にランナーはその企業の行動によって場の状況を推測し行動しなければいけない。
いままであえて触れてなかったが、それを促す要素がこのゲームにはいっぱいある。
ウソか誠か
どんでん返し。
企業が場に出すカードは基本裏向きで場に出る。
サーバーを守るICEもそうだし、サーバーの中にプレイする計画書や汎用的な効果をもつアセットというカードもそうだ。
例えば企業がサーバーにカードを一枚、そしてそれをICE一枚で守ったとする。
この時ランナーは「何かが何かを守ってる」という事しか分からないのである。
計画書かどうかなんて分からないし、守ってるICEが何が出来るのかも分からない。
もしかしたらただ資金を増やすアセットかもしれない。
ランナー側がサーバーに入れる自信があったとしても、資金を使ってまで入る価値があるのか全く分からない。
しかし本当に計画書だったら企業は何の苦労もなく勝利点を得るという事になる…
要するにランナーは企業のブラフの可能性を常に考えながら行動しなければいけない。
中央サーバー
いままで計画書やアセットをサーバーに入れると言ってきたが、それは正確には遠隔サーバーと呼ばれる。
なら中央サーバーとは何か?
企業のデッキと手札である。
この事実とランナーがサーバーに攻撃出来るという事実を組み合わせた場合、面白い事が起こる。
そう、ランナーは企業のデッキと手札に攻撃出来るのである。
それでその効果だが
デッキを攻撃した場合、企業のデッキの一番上のカードをランナーだけが見ることが出来、もしそれが計画書ならそれを盗むことが出来る
手札を攻撃した場合、企業の手札からランダムに一枚カードを見ることが出来、もしそれが計画書ならそれを盗むことが出来る
企業にとってこれはたまったものじゃない。運が良ければ何も起こらないが、運が悪ければランナーが勝利に近づく。
そのため企業は計画書を進めるために遠隔サーバーでICEを守りたいのに中央サーバーも守らなければいけないのである。
最後は己の読みのみ
少し具体的な話になるが、終盤でよくある状況に
ランナーは遠隔サーバーに入れるが、資金的にあと1回しか余裕がない
企業は資金が計画書を進める分しかなく、ICEを場にだす資金がない
というものがある。
この場合、企業はランナーから攻撃を誘うブラフのカードを遠隔サーバーに入れるか、またはその裏を読んで計画書を入れるかという選択に駆られる。
そしてランナー側は、サーバーに入れられたカードが計画書かそうでないかを読み、それに全てを賭けるか、またはもうちょっと安く入れる中央サーバーに望みを託すかを考えなければいけない。
こういう時、両側の選択がなんだったとはいえ空気がひりつく。
たまらないものである。
過去と未来
ここまで読んでくれて、やってみたいという人がいるなら作者本望である。
それでそういう人には悪いニュースと良いニュースがある。
まず、ネットランナーというゲームは正式には2018年に終了している。
これが悪いニュースだ。
じゃあ、良いニュースはなんだって?
NSGというボランティア団体がそのあとずっと継続してネットランナーの新しいカードを出したりルールやフォーマットを改定したりしていて、しかもただで出来るって事だ。
実をいうと私も去年あたりからまた昔のネットランナー仲間とやりはじめ、去年の全国大会にも出たりした。(結果は散々だったが…)
た、た、た、ただだって~!
そう、ただである。
正確にいうと自分でカードを印刷すればいいだけである。
PDFもそのボランティア団体のオフィシャルサイトからダウンロード出来るので変なサイトにアクセスしなきゃいけないとかもない。
しかもそれが面倒くさかったら普通に買う事も出来る。
しかも日本語訳もある。
個人的には下のリンクにある「システムゲートウェイ:コンプリートバンドル」の項目から買うなりPDFをダウンロードするのが一番いいと思う。
システムゲートウェイはスターター的な位置でデッキ構築も考えずにゲームを試せるデッキがもうすでにある。しかもそこからちょっといじりたい人用にもカードが余分にある。割と長くこれだけで遊べる。
それでルールだが、これだけは正直ちょっと残念である。
一応NSGのサイトにあるにはあるのだが日本語訳がない。
しかしルール自体はサービス終了前と基本的には変わってないので下の動画やネットに転がってる昔の日本語訳のルールブックとかを見れば問題ないとは思う。
どうしても分からない所があったら…気軽にDMなりなんなりで自分に聞いてくれればなんでも答える。
個人的に面識はないが東京にもやってる人はいるらしいのでそのコミュニティに聞いてみるのも悪くないかもしれない。
オンラインもあるんです
実は英語オンリーだがオンラインでもネットランナーは出来る。
所々手動でやらねばいけない所もあるがなかなかに使い勝手が良い。
ちなみにサーバーサイドのゲームロジックのコードはClojureで書かれている。おしゃれ。
最後に
ちょっと後半は宣伝みたいになってしまったが最初に言ったように私はこのゲームが大好きだ。(7年ぐらいやってなかった時期があるけど…)
一応カードゲーム好きを自負しているが、ネットランナーみたいなカードゲームを私は他に知らない。
カードゲームが好きなら是非試してみてほしい。もしかしたら昔の私みたいにのめりこむかもしれない。
その時は是非対戦しよう。けど脳を焼くのは勘弁な!
補足
Unityゲーム開発者ギルド Advent Calender 2023用に書いた記事です。
また一切ゲーム開発の話をしていないのは…まあご愛嬌で。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?