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新人アニメ制作進行に捧ぐ! お前が生き延びるための覚書──LO演出あがりの処理──(p5)

【制作進行の業務フロー編】


   ──LO演出あがりの処理──


①作業して頂いた演出さんに連絡

  • あがりを回収した旨の連絡

  • 状況の確認(他の仕事の状況など、スケジュール通りに進行できるかを確認)

②素材の制作チェック

  • 素材の確認 

タイムシートの動画枚数を数え、タイムシートに書く。

素材のミス・ヌケがないか(パーツ抜け、シート書き間違え、チェック欄のヌケ…)

演出から、制作への申し伝えがあれば対応(「拡大指示」など)
演出からリテイクが出た場合原画さんへ戻す(失礼にならないように言い方には気を付けよう)

できればコンテと設定をみながらチェックするべき。
 
また、演出指示の内容をみて、どういった演出さんなのかを判断しよう。

作業が早いのか? 遅いのか?
丁寧に作業してくださっているか?
どれくらいの量の修正をいれるのか?
次のセクションに回しても問題ない素材として成立しているか?


そして、「どのように処理をしているのか」だけではなく、「どのように演出をしているのか」をチェックすること。

私の現場での経験上、多くの制作は「演出」の巧拙に対する鑑識眼を持っていなかった。
まず、大前提として必要なことは、その眼を磨く意識を持ち、たえず鍛錬を続けること。制作現場の人からの教えや感想を聞いただけで演出がわかった気にならないこと。体系的な勉強が必要です。
 

  • スキャン

スキャン後、ファイル名が間違ってないかどうか、また、大判カットをスキャンした場合などは見切れていないかなど確認。
ここでのスキャンは重要。素材のデータ化という意義だけではなく、CT・MKでの線撮用素材や、原図用の素材としても使用する可能性があるため。
(CT・MKについてはp26~33で詳述)

LO演出あがりでの原図入れが必要な場合は、原図作成し背景会社に渡す。
CT・MKのためや、CGのアタリのために線撮が必要な場合は、スキャンデータを線撮会社に入れる。


  • 日付の記録

LO演出あがりと作監入れの日付を記録(記録のミスないようダブルチェックするべき)


③作監入れ(監督チェックが入る現場の場合は、作監入れの前に監督入れする)

作監に素材入れる
状況報告書も併せて入れる(可能であれば、必要な情報は口頭で伝える)


  • 入れた旨を連絡

もし入れに関して説明が必要な場合は、黙って渡さず、作監に直接渡して説明する。
例えば、素材にミスやヌケがある・演出からの申し伝えがあるなど。

それができない場合は必ずメモを残す。
また、もし優先して作監チェックしてほしいカットがあれば伝える。

特に、絶対に説明・相談が必要なのは、

①【レイアウトのあがりがひどいのに、演出チェック後素材が作監に作画修正を丸投げした素材になっている場合】 

→上記の場合は、「こういう素材になってしまっていますが、撒き直ししたほうがいいですか? 作監さんの方で直して頂いたほうがいいでしょうか……?」とまず聞く。
(ひどいレイアウトあがりが着た場合、ふつうリテイクとして原画さんに戻すか、撒き直しするのがスジ)

作監さんに撒き直してほしいと言われた場合は、演出に「作監さんから撒き直してほしいと指示を頂いた」という旨、演出に報告し、撒き直す。
デスク、プロデューサーにも納得してもらうような形でうまく報告する。
(しっかり経緯を納得できるように説明して、作監の手抜きだとデスク・プロデューサーに誤解されないようにね)

※撒き直し……ある作画Aさんのあがりが使えない場合、別の作画BさんにAの担当範囲を作画してもらい直すこと。

②【演出修で全修されていて、作監で全て直す必要がある素材になっている】

→まず、演出さんに、作監さんに修正作業してもらうのではなく、作画さんへのリテイクを提案する。

リテイクとして戻すのがOKだった場合、リテイクとして作画さんに戻す。(失礼な言い方にならないように。特に「作打ち」で説明されてないような演出修正だったら、リテイクというよりは再作業なので、しっかり説明・謝罪し、必ず作業料を払うこと)

あるいは、演出さんが「リテイクしても、どうせあがりがひどいから意味がない。作監さんに任せた方がいい」といった場合。

「こういう素材になってしまっていますが、作監さんご作業して頂けたりしますか?」とまず聞く。
もし作監さんに作業拒否されてしまった場合、上手い原画さんに撒き直しするしかない。
ただ撒き直す場合、だめなレイアウトを全修した演出さんの労力をある程度無駄にしてしまうことになるので、演出さんには納得してもらうように説明し、了承を得ること。

ここで大事なのは、演出さんと作監さんの関係を悪化させないことだ。

演出さんに「作監さんがやってほしいってお願いしたのに! 怠慢なんじゃないか」と思わせないように、作監さんの立場や状況をしっかり説明して、うまくお互いの間を取り持たなければならないね。

以上。

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