海外で入院するということ
ダブリンの病院に入院することになって私は患者で治療してもらう側とはいえ、日本語で聞いても難しい医療用語。これをすべて英語で聞いています。
ちなみに私は医療知識はもっとありません。
でもここで医療知識を学べました。
寒気がしているのに体温を測ると意外に熱はなく、平熱だったりする。
平熱なのに、寒くてガタガタと震えているというのは、その後、39℃を超える高熱になるという前兆?なんだそうです。
だからその時点で処置ができれば、高熱にさせずに済ませられる。
でも薬が間に合わないと、高熱になってしまう。
ということです。
私がガタガタと震えているときにそんな話をしていました。
私はその寒気から処置してもらって、間に合ったのが4回ほど。
2回は間に合わず高熱と息苦しさに苦しめられました。
本気で死を覚悟する
お花畑が見えるかもしれない。三途の川が見えるかもしれない。
本気で何度もそう思いました。
高熱じゃない時も今の体温は「薬で平熱レベルに抑えられているだけ」なのか、「ナチュラルな自分の体温」なのかわかりませんでした。
もしまた高熱になってしまったときの恐怖。
いろんな点滴を受けているけど、なかなかよくならない。
よく急変して亡くなったなんて聞くけど、これが急変というやつなのか?
こういう不安がぐるぐると頭の中で過るのです。
高熱のときは、もう下がらないでこのまま死ぬ…
という不安の中にいました。
「享年50歳か」「でもまぁ短いけど悪い人生じゃなかったよね」
「病院でよかった。もしローラの家で死んだら迷惑かけるところだった」
「最期ってこんな感じにやってくるんだ」
こんなことをよく考えました。
友達にも「死んだらごめんね」と、本気の本気でワッツアップを送りました(冗談で言っている訳はない)
私は入院したその日も、その翌日も高熱を出し、解熱剤なんだろうなと思う点滴で抑えてました。
入院したからといってすぐ完治するわけじゃない。
そんな感じです。
注射針で薬みたいなのを管を通して入れる時もめちゃくちゃ痛いです。
そのたびに血管がぶちぎれちゃうよと思います。
アイルランドの男性は私の血管の4倍の太さがあるそうです。
(あの大男の腕を見ているからすごく納得)
↓あの大男とのエピソードはこちら
ナースはその感覚に慣れているので、アイリッシュの血管の感覚で薬を入れてきます。私はそのたびに痛い思いをします。
ゆっくり処置して!と毎回お願いしています。身を守るために。
でもそれは治療じゃなく応急処置であり、
ああ、もしかすると私は治らないのかもしれないと高熱にうなされながら思うと、また涙が止まらなくなるのです。
心が救われた言葉
そんなときに血圧を測りに来たナースが「どうしたの?」と聞いてきました。
私は「この高熱はいつまで続くの?いつ終わるの?」と泣きながら聞きました。
すると彼女はいきなり私の前で両手を合わせ、
「心配しないで。神はちゃんとあなたを見ているから。
神はね、みんなにそれぞれ進む違う道を与えてくれるの。
あなたにも、そして私にも。
だからあなたには次に進む違う道が必ずあるから大丈夫だよ。」
(なんちゃらかんちゃら…このあたりが覚えきれてない)
その言葉を聞いて、私の目から熱い涙が大量にでました。
そして彼女は
「あなたは神を信じますか?」と聞いてきました。
思わず、私はYesと答えました。
そのとき、私は神様がほしいと本気で思ったから。
病気になったときに、ナースから神の話がでるというのは日本では考えられないことです。
でもその考えに私は深く感動しました。
無事、退院できて、新居に引っ越せたら
神様にお礼を言いに近所の教会に行こうと思いました。
それから彼女はたびたび私の部屋を覗いて
「Are you happy?」と聞きに来てくれました。
あの最悪な状況の時の私はあの言葉を聞いた瞬間、すごく気持ちが軽くなりました。
宗教のない私は「50で死ぬのかー」とか「子供らは泣いてくれるかなー?」とか「さすがに若いよなー」とかそういうしょーものないことしか考えられていませんでした。
彼女が言ってくれたこの言葉ですごく救われて、(ところどころ忘れてるくせに)
明日起きたらまた彼女にあの言葉をもう一度言ってもらって、
ボイスレコーダーに録音しようと思って寝ました。
(もしまたこういう辛いことがあったときに聞くために)
思い通りにならない私の人生
……が、おそらくその夜の1時ごろ
バーーーーーーーーーン!!!!
スキンヘッドの男がいきなり私の部屋のドアを開けて入ってきたのです。
ギャアアアーーーーーーーーーー!!!
そのスキンヘッドの男は、私に「お前は今から別のところに行く」
「連れて行くからそのままベッドの上にいろ」と言って私の荷物を私のベッドに乗せていきます。
「どこいくの?」と聞くと「上の階」と言います。
いやいや、その前に、深夜に来るには寝ている人への配慮がなさすぎるだろう。
マジックジョンソンみたいなドクターが慌ててやってきて、
「この子はまだ動かしてはダメだ、体調が完全ではない」
「そんなの知らない。俺はこの子を移動させろと言われてきただけだ」
と言い返し、私の荷物をポンポンと私のベッドに置き出しました。
その後からの二人の会話はもうわかりませんでした。
私は運ばれながら二人は言い合いをしていました。
が、ジョンソン先生が「わかったよ。あそこならいい」と言ったのです
(←翻訳できた:でもあきらめているような感じに聞こえた)
私は「え、私見捨てられた?」と思ってさらに不安。
ジョンソン先生と別れて、私は連れ去られます。
全然上の階じゃないです。
建物すら変わっていきました。
「上の階じゃないの?」と聞くと
「君がいたのはEmergency(エマージェンシー)だったからなんちゃかんちゃら」と。
あ、そうだった。
私、今まで救急のところにいただけだったんだ(すっかり世界を見失っていた)
ずいぶんと連れていかれ(ベッドに横たわってるだけだけど)
真夜中に日本によくあるような6人部屋に連れていかれました。
あ、ここ一般病棟だ。
あ!ボイスレコーダーに録音できなかった。ショック。