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言葉より大きいもの

人生ではじめて、歌舞伎を観た。
言うまでもなく素晴らしいものだったのだけれど、空海が長安へ渡っていた時期をモチーフにしたストーリーのなかでこんなやりとりがあった。

空海「この世でいちばん大きいものとはなんだと思う?」
友人「宇宙ではないか?」
空海「いちばん大きなものは言葉だ。その宇宙ですら言葉の枠に収まってしまう」

なるほどなーと思うと同時に、この世には言葉にできないものも多くあるよなぁと思った。案の定空海の友人も同様のツッコミをしていたが、最近言葉にしないことの大切さを感じることがある。

昔は自分が良いと思ったり、感じたものを言語化することが大事だと信じていた。というか偉いコピーライターの本にもそう書かれたりしていた。

でもあえて言葉にしないということは、その対象を自身の支配下に置かないということだったり、宇宙よりも大きなものとして認めることに繋がるのかもしれない。飲み会でみんなの話を整理・要約して話捌いてる風に立ち回るのは、周りが見えているようでいて場を支配する行為に他ならない。

言葉より大きいものと出会ったときに感じたありのままを、人に伝えられるようになりたいと思った歌舞伎観劇であった。


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