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羽田圭介著「滅私」
羽田圭介著「滅私」読了。
「自問自答ファッション」のあきやあさみさんのブログで紹介されていて、読んでみました。
あきやあさみさんの著作。
主人公は、ミニマリストとしてサイト運営とオリジナルグッズの販売を手掛けて生計の半分を稼ぎ、半分は投資で生活している独身男性。
もらったプレゼントは即座にゴミ箱へ、常に無駄が気になって仕方がない…という生活をしていたが、徐々に仲間のミニマリストへの違和感が生まれてくる。
仲間の女性が暮らす生活感の無いマンションを「刑務所」と評し、女性の夫の精神が病んだのは、妻の潔癖さのせいではないか?と思う。
子どもが生まれるのをきっかけに、「普通の暮らし」に戻る夫婦。
生活コストを減らし、あくせく働くことを良しとしないミニマリストが世に溢れたら、そもそも今の便利な世界を維持することはできなくなるのではないか?という主人公の疑問。
過去の主人公の悪行を知る人からの脅しなど、平安だった生活に揺らぎが生まれ、物語は思わぬ展開へ…。
主人公の後半の行動が常軌を逸していて、ほとんど共感できなかったのですが、何かを偏執的に究めてしまう人の危うさみたいなものが描かれてるのかな。
ミニマリストなのに、グッズの販売をしている自分に矛盾を感じる主人公…というのは分かる気がしました。
ミニマリストであることを商売に繋げようとすると、難しいのかな。
片づけのこんまりさんも、オンラインショップ開設で叩かれましたね。
近藤は「私が毎日の生活で使っているものについて多くの人から尋ねられました」とツイートし、「このネットショップは、私が気に入っているものやときめくアイテムを集めたものです」と続けた。多くの人は即座に、近藤のネットショップが彼女の哲学とまさに正反対であることを指摘した。
これはもっともなことだ。近藤の書籍と教えの核心は、自己発見を実現する民主化されたアプローチだからだ。大事なのは物ではなく喜びなのだ。
同様に、小説の中でミニマリストの皆が一様に「MacBook Pro」を持っているというのはなんだかおかしくて、著者は「ファッションとしてのミニマリスト」を揶揄しているのだろう。
人は社会的な生き物だから、所属する世界で「正解」とされているモノを持ちたいんだよね。
それでも、捨てられないものがごちゃごちゃある生活よりは、スッキリさせた生活の方が、私はいいな。
「断捨離」の番組も大好き。
しかし、メルカリにハマってモノを売りまくっていた時、ダンナに「思い出を売ってる」と言われたことはありました。
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モノとも人とも、ちょうど良い距離感で生きたいね…と思います。