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その会社の常識は、世の中の非常識「#出向という選択肢」

コンサルタントとして、業務委託契約を12年で30社ほど結んできた私ですが、

いわゆる、週に1時間程度だけ打ち合わせに伺う。というスタイルよりも、週の中で3日くらいはデスクを借りて、終日オフィスで仕事をする。朝礼にも終礼にも出る。そういうカタチのコンサルスタイルを好んでおります。

週3日ガッツリ入り込む案件と、残り2日間では、他の案件をいくつか同時に走らせるのが、自分にはあっていると思っていて、

そのコンサルスタイルがここ8年くらいは続いています。

私自身そういう週に3日間くらいを一緒にデスクに座って仕事をする案件の場合は、ある意味では出向者っぽい部分もありますが、今回は私のことではなく、   

業務委託先では、出向者に出会うことも多いので、その方々とのコミュニケーションの中での気づきや思いを記事にしてみようと思います。

(↓ 今回こちらに参加です)

出向という、制度についての考え

基本的には、その出向先の会社にはないノウハウや考え方、思想、文化が入り込むことになりますので、

出向というシステムには、大筋で賛成である。というのが私の意見です。

色々なパターンが実際にはあって、上長として出向されるカタチもあれば、一般スタッフの場合もありますが、

私が接してきた方々は、主に上長である、本部長や執行役員、時には取締役としてのパターンが多かったです。

ですので、結果的にはコンサルとしてのレポートラインにこの出向者の方々がいらっしゃることも多く、

ある種、お互いに出向先(私にとってはクライアント)を客観視できる存在であり、

冷静に、その会社の課題に向き合えるチャンスでもあります。


出向先の常識は、世の中の非常識

上記の一部をタイトルにさせていただきました。
実は、出向者はこういうケースにあたることがあります。

出向者が一番はじめに驚き、この「非常識」改善に取り組むべくご尽力なさる、という動きが目立ちます。

ただ、世の中にとっては非常識だけれども、その会社にとっては常識であり、長く続いた根強い文化であったりもするため、

単純に正攻法で「これは非常識だ」と、改善に乗り出しても、なかなか解決の糸口が掴めず、そこで私がご支援するパターンも多くあります。

特に、元々外の世界との交流が活発な会社や、柔軟な思想が根付いている場合は良いのですが、

根強く「非常識な常識」が定着。言うならば固着してしまっている場合があります。

正直なところ、客観視すれば、その会社にとっては、この固着した非常識には何のメリットもないのですが、そこで出向者は苦悩することがあります。


出向者がいることはプラスにしかならないはず

「非常識な常識」を変えたくない一部の方々にとっては、厄介な存在ですが、

経営トップや、若手たちからすると、外の世界を知ることにもなり、

基本的に、外の息吹が入り込むことは、会社やビジネスにとってはプラスであると考えます。

自分で言うのも何ですが、コンサルタントを使うのはそれなりの費用が発生することもありますので、

そもそものロジックや、考え方、意識などを、基本的には無料で学べる、貴重なチャンスです。

リスクは、多面的に経験を持っているコンサルとは違い、あくまで出向元の内容に留まる。ことでしょうか。


また今までは上長的としての出向者が多かったですが、最近やこれからは、一般スタッフの出向もニュース等では目立ってきており、

この流れをどう活かすかで、日本の経済の活力も変わると信じています。


異業種や類似業種からの出向は大いに賛成

基本的には、学びしかないと思いますし、出向者の方々が、出向元にいざ戻るタイミングが来ても、

出向者にとっても、ある種レンタル移籍というか、転職シミュレーション的でもあり、

大きな経験を積んで、自社に戻ることになると考えます。

出向受け入れ先の社員にとっても、世の中の書籍や、私のようなコンサルタントからは得られない経験をすることが出来ます。


とはいえ、利害関係のある会社同士ですと、出向しあうというのは難しいかと思いますが、

先に挙げたような上長陣ではなく、将来の幹部候補の一般社員の方々が中心となり、

特に私の出身のアパレル業界などで積極的にそのような文化が生まれ、

アパレル業界全体を盛り上げていくような動きを期待したいところでもあります。

まあ、それはなかなかに難しいことも承知しているので、

せめて私のコンサルとして携わる「衣食住」の中で、ジョブローテーション的に、出向しあうみたいな動きが生まれるとよいなと考えていたりはします。

例えば、

スーパーで生鮮食品を取り扱う経験をしてから、アパレルに戻る
 → 在庫最適化意識に変化

インテリアの販売をしてから、外食に戻る
 → 空間演出にも気を配れる

アパレル販売を経験してから、中食業界に戻る
 → お客様のニーズを会話の中から掴む

高級ジュエリー販売から、インテリア業界に戻る
 → サステナブルの理解が深まる

など、

なかなか、入りたくて入った業界や会社からの出向は、もちろん抵抗があるかもしれませんが、

私個人としては、20代~30代の間は多面的な業務、業界を経験していた方が、その方の将来にとっては良い影響を与えるのでは、と思っています。


現場で働く方々にとっては、複雑な思いを持つ方もいらっしゃるかとは存じますが、衣食住の会社同士の交流が深まり、化学反応が生まれれば、日本の小売はもっと面白くなってくるような気がする今日この頃です。


コジマサトシ/トナリコネクト

#日経COMEMO  
#出向という選択肢

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