正社員が「週4日勤務 希望」と言える時代
生活が現状維持出来る前提で、今よりも休む時間や日数が増えるならば嬉しい。
これが私の思いとしては、ある程度正直な所ではあります。
以前にも、週休3日について思うことは記事にしたことがありますが、愛読している日経COMEMOさまで、近い内容を募集していたので、テーマに沿って私の考えを書いてみることにします。
テーマが3つありますので、見出しとして書いていきたいと思います。
(しかし、いつもながら絶妙な所をお題にしてくるなあ…業界・職種・世代等によって、多様な意見が集まりそうです。)
テーマ1「導入が進みつつある週休3日制についてどう思いますか。自分の会社に導入されたら良いと考えますか?」
私自身は、大学卒業後から30歳(約7~8年)まで、事業会社での正社員経験が2社。
その後、コンサルタントとしてのキャリアが13年。
そういった経歴ですので、今の時代背景における事業会社に勤務している視点での意見を述べるのは難しいです。
ただ、いくつもの会社に出入りしている私だからこそ、一つだけ言えそうなのは、
「会社の事業規模・成長ステージ」に大きく影響を受けそうだ。
です。
大企業なら可能性「大あり」ですよね
いわゆる大企業と言われ、成熟期に入りつつあり、衰退しないように、成長性を再度活性化させていこう、という状況にあるのであれば、週休3日は大きく意味が出てきそうだと感じます。
そういった、自由度の高い働き方を認められる会社ということであれば、今の時代に沿った優秀な方々も集まりやすいように思いますし、大企業においては、生産性を高めるための先行投資を出来る余力がある可能性が高いです。
中小企業には厳しい感じもする
私自身が、事業会社経験も、今コンサルタントとして主に支援している所も、基本的には中小企業、と言われる規模感です。
「中小企業」で「開発期~成長期で、必死にやっている」ところが好き、というと語弊がありますが、私自身も、やりがいがあると考えていることも大きいです。(オファーの有無もありますけど)
中小企業での「週休3日」が厳しそうだな、と感じるところを箇条書きします。
社員の給与を維持しつつの「週休3日」は、組織全体での生産性向上が前提だが、仕組み化が進んでいないため、属人的になりがち(休むと業務が回らない)
単純に人手が不足しているので、そもそも休めない
部署毎の業務平準化が進んでいないため、公平性を出しづらい
(週3日休める部署と、そうでない部署が生まれる可能性が高い)
ざっと、浮かぶところがこの辺りです。
こういった事情を前提に、経営の立場から考えると「相当の覚悟」と「長期戦の覚悟」「リスクを覚悟」など、メリットデメリットの天秤がなかなか合わない印象を持ちます。
ただ、いつの日にかは「週休3日」がスタンダードとなる日は来るはずなので、あまり出遅れると、優秀な人材も集まりにくくなり、それはそれで企業として、苦しくなる可能性もあります。
また、現場サイドで考えると、おそらく一般社員にとっては多くの場合「週休3日」は歓迎されるかもしれません。(給料額の維持が前提)
ですが、管理職以上になった瞬間、今まで以上の工夫が求められることになり、ただただ乱暴に『来月から週休3日とする』なんて始まり方をしてしまった場合には、
管理職の立ち位置の人間に負荷が集中するため、よりミドルマネジメントの力が会社の中で落ちていく可能性だってあります。
最悪、だれも管理職になりたがらない、なんてこともあり得ます。
もしも、週休2日から3日に社員の休みが増えた部分を、アルバイト等で補填することになれば、単純に人件費は増加するので(※ 週休3日でも、社員の給与は変わらない前提で)、
アルバイトで増加した分の人件費をカバー出来る、売上や売上総利益(粗利)を得るか、コストカットの話が軸になると思います。
アルバイトを増やしたからといって、簡単に売上が上がるとはなかなか言えないので、ある程度の準備期間がないと、生産性の向上、社員の労働時間が減っても同じ成果を出す、はハードルが高いように思います。
「別にいっぱい働かなくてもいいよ。成果さえ出してくれれば」
こう言われて、すべての人間が喜ぶのか?というところだと思います。
私はコンサルタントですし、業務委託契約での働き方が長いので、もはや慣れてしまっていますが、
「なんでもいいよ。成果さえ出してくれれば」と言われるのは、結構きついと感じる人は多いのではないかと思います。
かといって、休む日の労働時間分を勤務の日で補填すると…
そういうパターンもあるようなのですが、1日8時間労働分を、まるまる休みにして、他の平日4日間に振り替える。つまり単純に他の日の労働時間を「1日10時間」にしてしまえば、週での労働時間は変わりません。
勿論、そうすることによって、1日分の通勤時間を無くすことができますので、個人としての余暇時間はより増える計算も出来ます。
そもそも私は、自分の働き方はともかくとして、残業推進者ではありませんし、基本定時で仕事は終えるべきなのだと考えますが、
週5日を残業なしの定時で終業している状況は、私としては「少し自分の稼働率に余裕を持たせた働き方」なのだと思っています。
そしてできれば、その余裕を持たせた状況を続ける(残業をしない状態を維持する)のが、理想的なのではないでしょうか。
勤務日の労働時間が10時間と言うことは、今までの視点で見ると「残業2時間プラス」に近い働き方になるので、「働く日の稼働率は120%」みたいな感じなのだと思います。
仕事には想定できないイレギュラーがあるものだと思いますので、そんな時に、さらに残業時間が増えてしまって、深夜になってしまうとか、
結局休日に電話がかかってくる。休みでもメールを確認しないといけない。客先は営業しているので、問い合わせには対応する必要がある。
最悪、結局は出勤、みたいなことになって欲しくはないな、と感じています。
テーマ2「休んだことで仕事が捗ったという経験はありますか。それはどんな場合でしょうか?」
別の記事でも書いたことがあるのですが、私は実際に2015年に「週休3日制」で働いていました。
この頃からすでに、いわゆる一般的な会社員とは違う働き方だったので、実際の所は、何日休もうが自由でした。
もちろん売上が下がる → 収入が下がる、のはリスクであり、当時は実際に売上も収入も下がりました。
ですが、上記の記事には書かせていただきましたが、自分のノウハウの蓄積を改めて行うことが出来た期間ですので、テーマに対する答えとしては「捗った」です。
箇条書きで、どのような感じだったかというと、
ずっとアウトプットばかりしていて、インプットが不足していた
(忙しすぎて、違う世界の勉強が出来ない)ゆったりと時間をとって、普段できない勉強ができた
(実務経験の無かったECの世界や、自分の出身ではない業界の研究)その経験を元に、自分のコンサル領域が広がった
(客先のバリエーションが広がった)異業界同士のいいとこ取りが出来るようになった
(両方の業界を知っている、というのはアドバンテージになった)
このような感じです。
少し脱線しますが、実は思いとして、週休3日制という形にしているが、その休みの内の1日は、
「直接的に影響する業務は禁止。でもその時間を自己啓発に充ててね。その日の分の日当も少しは出す」
そんな会社があったらステキだな、と思います。
自己啓発の内容には、ルールや定義は設定せず、が基本だと思います。普通にビジネススクールで勉強するも良し、競合研究をするも良し、旅行に行って刺激を得るのも良し、くらいにしておいた方が良さそうです。
とはいえ会社側としては、どんな自己啓発をしたのか?と気になる所ではあります。日当を出す前提の考え方なので。
でも、あまりこまめに報告義務を課すと、逆にしんどいので、半年に1回くらいの報告書くらいで許してあげてほしいですね。
テーマ3「あなたにとって休みとはなんでしょうか?仕事との関係でどのように位置づけられているものですか?」
これに近い内容を下書きのまま寝かしていますので、どこかのタイミングでそちらを公開したいのですが、
今の私にとっては、シンプルに表現すると、
「休み」とは、
現在抱えている仕事のことを考えない・意識しない、時間やタイミング
です。
正直なところ、24時間まったく仕事のことを考えない日というのは、思い返せば無かったように思います。
ただ私は、ずっと「仕事」のことを考えられるような超人ではありませんし、家族ともゆったり過ごしたいし、趣味だって楽しみたいです。
そして「休み」が、やはり次の活力になるのは事実なので、仕事と休むことのバランスは、絶対に重要だと考えます。
でも「休み」に感じたことや、得た経験を、ただただ「休み」の中にだけ押し込めておくのはもったいない。
できれば「仕事」に上手く絡められないか、とは日々思っています。
(仕事に使えないか、と思って休みを過ごしている訳ではありません)
また、上記に書きましたが、
の、「現在抱えている仕事」というところが、私なりのこだわりで、
次のステージを考える時間や、自分のキャリア戦略を考えている時間は「仕事時間」だとは考えていません。
なぜなら上記には、直接的なプレッシャーやストレスが無いからです。
逆から言うと「現在抱えている仕事」には、大小問わずのプレッシャーやストレスがあります。
納期だったり、品質だったり、段取りや成果物だったりですね。
なので、もう一捻りすると、
「休み」とは、
現在抱えている仕事のことを考えない・意識しない、時間やタイミングであり、プレッシャーやストレスから解放されている状態
になるのだろうと思います。
やっとタイトルに触れます
かなりの回り道をしてしまいましたが、事業会社に就職をしたい、と決めた場合には、ほぼ必ず面接や面談があると思いますが、
当たり前のように「週何日、働きますか?」が質問のひとつのスタンダードになればいいと思っていたりします。
答えとして、
「週に4日勤務希望で、ここまでの成果は約束できます」
と言うのもいいし、
「週5日勤務で、じっくりとキャリアを積み上げます」
でも、いいと思いますし、
これで、正々堂々「成果主義希望」か「職務主義希望」か選べる流れがよいと思います。
そして大事なのは、成果主義が優れているとか、どうこうみたいな議論はいらないということであり、それこそが多様性を受け入れるという時代にマッチする働き方なのだと考えます。
会社側も、職務主義を選んだ社員には、じっくりと教育を行っていくインフラを持ち、自社に愛着を持ってもらえるようになれば、なお良いです。
想像上、社内に「週休2日」と「週休3日」の正社員が混在した時、なんだかんだありそうな印象はありますが、
成果主義を選んだ方に対しては、成果が明確に見えるルールだけは必要であり、目標も確実に会社と握り合う必要があります。そしてそれが、最低限関係者には共有されている状態が理想ですね。
成果が出ていれば「週休2日社員」からの不満は出ないと思いますし、バランスが取れるのではないでしょうか。
なかなか両者が納得するようなルール整備は難しいと感じますので、私は専門家ではないですし、やるつもりもありませんが、
近い将来に、そういった「勤務日数の多様な働き方に対する、評価ルールを作るコンサル」みたいな方は、ご活躍される気がしています。
(近い仕事はすでにある認識)
また、多様な働き方が受け入れられることによって、事情があって第一線に出られなくなった優秀な方々が、また活躍することが出来る様になれば、それはとても良いことだと思います。
どちらかというと、それが一番楽しみですね。
5,000文字を超す長文となりました。ここまでお読み頂きましてありがとうございました。
コジマサトシ/トナリコネクト