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価格がなじむまで待つしかない「売り手サイド:#値上がりしても買う理由」

売り手都合「目」線100%で書いていきます。私自身は「消費行動がそれなりに好きな、そこそこ面倒な買い手」なのですが、同時に「衣食住のコンサルとして、売り手の都合」を見聞きしています。

コンサルタントとしては、売り手の都合を押しつけたような戦略は、ほぼ消費者側には受け入れられることはありませんので、そういう部分が見え隠れした場合には「そこそこ面倒な買い手の1人」として、クライアントの方々には意見をするようにしています。


ここ最近の値上げラッシュが、大きく話題となっていますが、愛読している日経COMEMO様にて、こちらのテーマの意見募集がありました。


冒頭に記述をさせていただきましたように、「衣食住の売り手」でもあり「いち消費者」であるという、ある種の2面性が私にはありますので、今回は【売り手サイド】と【消費者サイド】の2つの記事を同時に投稿したいと思います。変なことをしてすみません。

もしかすると、こちらの記事は募集内容にそぐわないかもしれませんが、タグ付けだけさせてください。すみません。

(消費者サイドの記事はこちらです)


【#値上がりしても買う理由】を創るのが本筋?

企業側・メーカー側が、もともと独自性を保持していて差別化や、付加価値が提供出来ていたり、商品開発力が優れていたり、そもそも安くモノをつくるインフラが整っていれば、ある程度の原材料の高騰や、燃料費などの部分は、クリア出来る可能性が高くなります。

ですが、ほとんどの場合は、類似品が存在したり競合企業がいたり、自分たちよりも安く近いモノを作れる企業がいたり、「差別化」や「付加価値」というのは、簡単な言葉なのですが、それを生み出すのは至難の業です。

そこで人間力やキャラクター性などを、会社全体として押していくようなことに手を付けがちなのですが、例えば接客サービスやアフターサービスの質を高める、というような行動を頭に浮かべたときに、なかなか簡単には行かないことに気がつきます。

「もっと顧客に寄り添って!」という号令だけで、良くなるならば、とっくに良くなっています。きっかけとして、いかに教育体制や意識付けを行うかですが、こういう個人に紐付くスキルというのは、全体的な底上げに時間がかかり、効果が出るまでにタイムラグがあることがほとんどです。

「ファンを創る!」という意識も、素晴らしいのですが、ファンになるかどうかは消費者側が決めることで、小売業の場合なら、商品だけがよくても接客サービスが悪ければ【×】ですし、接客が良くても、すぐモノが壊れたり、不良品になるならば【×】になります。

ですので、「値上がりしても買う理由」を創るではなく、お客様に「自分達が選ばれる理由」を考えることが一番大事だと思っています。


しんどいから「値上がり前に買って!」と言い過ぎちゃう

前述の様な正攻法で、値上がりしても買う理由を創るのは難しいと、早々に諦め、もしくは見ないようにしているケースもあると感じます。

「値上がりする前に、買った方がお得ですよ」と伝えることは、大事です。

実際に値上がり前の価格で購入出来た方が、お客様にとってはプラスです。少なくとも、いきなり価格が上がるよりは親切な行動だと思いますし、企業としてどうしても価格を上げざるをえない状況が「今の情勢だとやむなし」のケースで多数あると痛感しているので、前もって伝えることは大事なことだと思います。

ただその伝え方が、お客様から見て「過剰に見えたり」「煽られている感じがしたり」「あまりにも、長期間言われていたり」すると、確かにその瞬間は売上が伸びるかもしれませんが、その時限りのお付き合いになるかもしれません。

自分がお客様の立場で、その伝え方をどう思うか?を考えておく必要があると感じます。


クーポン値引額やポイント還元率を上げて、有耶無耶にしちゃう

最近の買い物は、何かややこしいなと思う部分でもありますが、2重価格に対しての景表法の厳格さが高まっていることもあり、乱暴な「元々の価格から、これだけ安くなってますよ」訴求は落ち着いてきたように思います。

ですがその反面、たまたま先日ECサイトでみたケースですが、

  • 少し価格が上がりました

  • でも、今ならクーポンを使うと、○○円安くなります

  • また、この期間で買うと、○○ポイント特別に多くつきます

  • ただし、送料が燃料費高騰のため、今月から上がりました

上がって、下がって、上がって、見たいな総額の上下運動があって、最終的によくわからない感じになっていると感じました。

悪意を持ってやっている訳ではないと思うのですが、これは明らかに売り手側の事情を細かく見せつけている動きだと思います。

おそらくそれぞれの、担当部署が違うために起こっている事だと思いますし、企業の一個人だけでは解決出来ないケースでもありますので、お客様の視点を一気通貫で考える人間を社内に立てた方がよいと思います。


上がった価格が「なじむ」まで我慢する

これも悪意は決してないことは解っています。

私のように、小売関連に20年ほどいる人間は、少し要素は違いますが、消費税の変動に苦しんできた経験をお持ちの方も多いと思います。

様々な業界で「増税前の駆け込み需要」という動きは起こり、その結果前年とは比べようの無い大きな売上が生まれ、その後反動で増税後からしばらく苦しい時期が続く、というのは経験をしていますし、仕方がありません。

また売り手サイドの記事と言いながら、ココだけは消費者視点にはなりますが、消費税でも、ガソリンでも、缶ジュースでも、おかしでも何でも良いのですが、過去と比較して高くなったという理解はしているものの、いつの間にか「そういうものだ」と認めている事実もあります。

これは消費税の影響が大きいとは思いますので、もしかすると飲料業界の方には、誤解されて怒られてしまうかもしれませんが、

私が小さい頃の「自動販売機の缶ジュース」は、100円玉でちょうど買うことが出来ました。

それがとあるタイミングで「110円」になり、初めは硬貨を2枚入れることそのものや、200円入れて90円のおつり(50円玉×1 10円玉×4)という、面倒さも合わせて、はっきりと値上げを感じた時期があり、

そしていつしか「120円」となり、ものによっては「130円」という感じだと思います。

ただ今現在、それを見て「面倒くさい」とか「高くなったなあ」とか思わなくなってきている自分がいます。電子マネーで購入することも多いので、なおさら面倒くささは無く、むしろ便利だったり、スマホアプリでクーポンが付いたりなど、嫌な気持ちなどまったくありません。

物価の上昇と合わせて、平均年収も上がるのが理想、という話もありますが、そこはプロにお任せしつつ、

結局値上がりは、いつか「なじむ」ものだと思います。

ただ油断していると、その上がった価格の、下をくぐる新商品・類似品が生まれてきたり、廉価版、代替品の登場や、そもそもの購買頻度が下がってしまって長期視点で見れば総売上は下がる、など、

本来はもっと焦らないといけないのに、売上が前年並みになってきたら「ああ、ようやく増税後の買い控え・渋りが落ちついて良かった」とか言っていると、必ず痛い目にあうと思っています。


まとめ

すみません、こちらは少々毒っ気のある内容になってしまいました。

先に消費者サイドの記事を、大筋書き上げた事も理由かも知れません。

基本的に売り手側が、原価そのままに、無闇に売価を上げて、粗利額を伸ばしたい訳では無いことを充分理解していますし、売価が上がることでの売上が結果的に下がるリスクも感じていることは知っています。

そして売価を上げないと、自分達の利益が確保出来ず、事業の継続も難しいので、やむなしの値上げであり、私の知る限り、原価高騰分をすべてそのまま売価に転嫁せず、飲み込んでいるケースも多いです。

ただ、消費者はさらにシビアな目線を持って、売り手のこちら側を見てきます。そして、やむなしの値上げのあと、プラスで「何が自分達に出来るだろうか」を考え抜いて、一歩抜きん出ることが、ファンが生まれるきっかけになるかも知れませんし、良い商品が生まれることかも知れませんし、サービスクオリティが高まることかも知れません。

この苦しさを、少しだけポジティブに考えるきっかけを、私もお手伝いできればと、考えています。頑張って盛り上げたいですね。

#日経COMEMO #値上がりしても買う理由


コジマサトシ/トナリコネクト

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