2020都道府県男子駅伝観戦記
3年ぶりに大会が行われるということで、3年前に書いた観戦記を出すことにしました。
この大会は1回目からテレビで見ていたが、一度は現地で見たいものだ、とここ数年思っていた。この年、もうすぐ小学校卒業を迎える長男坊が、ずっとサンライズに乗りたいと言っていたので、息子のサンライズ初乗車と駅伝観戦を組み合わせて出かけることにしたので、大会は日曜日、翌日は学校なので、レース観戦後は新幹線でとんぼ返りである。
6時27分、定刻通りに岡山に到着。ここで、瀬戸と出雲は切り離され、高松、出雲市へそれぞれ分かれていく。その切り離し作業を眺める。乗り換えの時間は余裕をもっているので、切り離しを見る時間は十分にある。瀬戸の花嫁の発車ベルが鳴り、サンライズは時間差でそれぞれの目的地へと発車していった。
駅伝のスタートは午後0時30分、現在時刻は6時40分、6時間ほどある。広島への移動は新幹線こだま号、乗車予定の時間までまだあるので、ホームで列車を見ることにした。山陽線の115系や117系、津山線のキハ47、瀬戸大橋線の快速マリンライナー、四国への特急列車と見ているだけでも飽きない。
7時22分発のこだま837号に乗るために、新幹線ホームへ移動する。その間に、朝食を購入。先に発車する鹿児島中央行きのさくら号の乗車列は伸びているが、こだま側は閑散としている。岡山始発のこだま号なので、並べば座れるだろうと思っていたが、列もなく、すんなりと座れそうだ。
こだま号なので、当然すべての駅に止まっていく。新倉敷、福山、新尾道と過ぎていく。尾道は一度訪れてみたい街だが、今回もかなわず。徐々に車内の乗客が増えていき、広島に到着。まだ8時20分過ぎだ。
観光案内所で地図などをもらい、どこへ行くか息子と相談。まずは、広島城へ行って見ようとなり、路面電車に乗車。広島城を一通り見た後、今度は平和祈念公園へ向かうことにした。広島に来たのは3度目だが、平和祈念公園へはようやく行くことができる。これまでの無礼な行いを申し訳なく思う。
まずは、原爆ドームを見学する。柱と外壁が残されており、中には補強用の鉄骨が組まれていた。75年前の夏に思いをはせる。外国人観光客の姿もちらほらと見える。やはり、教科書などで見るのと現物を見るのは違う。百聞は一見に如かずである。
平和祈念公園へ向かって歩くと、ウォームアップエリアに出たようだ。まだ交通規制はかかっておらず、時折車が通る。平和祈念資料館に着くと人だかりができていた。どうやら各区間の選手が紹介され、各区間へ向かうようだ。大型モニターには、紹介の予定時刻が書かれていた。
まだしばらく選手紹介がなさそうだったので、まずはプログラムを手に入れた。一角には各地の物産や模擬店が出ていた。少しおなかが空いたこともあり、自分はホルモン焼きそばを購入し、空いているスペースに腰掛け、いただいた。
目の前は駅伝のコース。1区とアンカーの7区が走る。街路灯にはバナーがぶら下がり、各県ののぼりを持った方が最前列を陣取っている。スタートまでまだ2時間ほど。模擬店の雰囲気もあり、盛り上がっているようだ。大会グッズの店を覗くが、食指を動かす品物は残念ながらなかった。
少し、模擬店を冷やかし、スタート地点を確認した。まだ時間があるので、平和祈念資料館に入ることにした。ここまで来たのだから、入らないという選択肢はないと思う。
入館料が大人200円、小中学生無料と破格の価格。やや駆け足で見たが、言葉はいらない、ただ日本人なら一度は行かなければいけない場所であると実感した。息子も押し黙ったまま展示を見ていた。
バスで広島駅へ戻り、12:00発の山陽線で西広島へ向かう。電車は大きく広島市街地を回り込む感じで西広島に到着。
西広島駅前が駅伝のコースになっている。テレビで見ると、1区のスタートから大通りを走るが、2キロほどで左に折れて片側1車線の宮島街道に入る。それがこの西広島駅前なのだ。
駅前に広島電鉄の踏切があり、右手に広電西広島の駅がある。踏切を渡ると、地元中国新聞の特集号を配布していたので、1部いただく。各チームの選手名簿とコースが掲載されていた。
思ったより人が少なく、余裕で場所取りができる。持ってきた携帯ラジオを中国放送に合わせ、ラジオの中継に耳を傾ける。テレビはNHKだが、ラジオは民放と珍しい中継スタンスをこの大会はとっている。前身の中国駅伝が中国新聞、中国放送が絡んでいたからだろう。
12:30のスタート。自分たちがいる地点はスタートから2キロほど。6分ほどで選手が通過する。
ラジオの中継を聴いていると、選手の接近が分かった。まだレースは序盤、先行のパトカー、中継車に続いてやってきた選手は47人一団となって通過していく。勢いのある高校生が1区を任されている。そして、全国高校駅伝で1区を任されるような選手が走ることが多い。この辺りからふるい落としが始まるところだ。さて、このあとどうなることか。
あっという間に選手が通過すると、西広島駅にかける人の多いこと。意外と追いかけて応援する人がいるようだ。
次は宮島口まで向かう。12:40の電車に乗れた。やってきた列車は、3両編成。自分が社会人2年目くらいのときに青春18きっぷでこのあたりを旅した。その時はもう少し編成が長かった気がするが、車両が新しくなり、短くなってしまったのか。
ラッシュ並みの混雑。新しい車両が入るのは地元の皆さんにはいいことだが、その分輸送量が減ってしまうのはよろしくない。この日しか利用しない者が言うのも申し訳ないが、JRは駅伝対応がうまくできていないのか、と感じてしまう。
途中、第1中継所が見え、撤収作業が行われていた。それからしばらくすると、2区の選手に追いつき、あっという間に追い越していく。電車に乗っていると、走っている選手とのスピードは歴然としているが、駅の停車時間の間に選手は歩を進めている。そのため、意外と選手も早いと改めて気づかされる。
宮島口駅。降りるのは初めてだ。目の前には宮島が見えているのに、そこはわき目も触れず、駅伝のコースへと向かう。駅の目の前の国道2号線の交差点の先には、宮島口のロータリー。ここが第3中継所になる。前半の山場、大学生・社会人選手がやってくる。当然関係者でいっぱいだ。コースにはすでに観客も多い。
広島方面に歩いていると、やや空きスペースを見つけた。コースが良く見えるので、ここで選手を待つことにする。
目の前には、広島電鉄の踏切、その先には宮島への船の乗り場。広島方面を見ると、宮島競艇場がある。競艇が開催されていれば、寄って行ったのだが、おそらくこの大会と開催をぶつけてはいないのだろう。ラジオを聴きながら選手の通過を待つ。
先頭の中継車が見えてきた。
社会人区間の3区、先頭佐賀県がやってきた。佐賀?という印象だった。すぐに2位がやってくる。先頭を追いかける青山学院出身の山口県の田村選手が笑顔で駆け抜けていったのが印象的だ。それ以降も選手が続々と通過する。社会人と大学生のガチンコ勝負のこの区間。8.5㎞と短い区間だがごぼう抜きも見られる見せ場でもある。
47都道府県の選手が5分ほどの差で駆け抜けていく。沿道の皆さんは、動く気配はない。それは宮島口でスタートした4区の選手が折り返してここを通過するからだ。当然、私たちも通過を待つ。
再び先導のパトカーを見て、中継車がやってきて、先頭の選手に驚いた。
埼玉が先頭に立っていたのだ。確か3区では一桁順位ではあったが、ここまで追い上げていたとは。西広島でもらった中国新聞の特別版で選手名を確認し、プログラムを見ると花咲徳栄高校の選手。最近力をつけている学校だ。埼玉の強豪埼玉栄に一泡食わせる日が来るのか、今後に期待したい。
4区は高校生区間。先ほど見た大学生・社会人とは違い、鉢巻きと坊主頭の選手が多い。いかにも高校生という感じだ。
全選手の通過を見て、宮島口の駅へ戻るが、沿道の方ほとんどが駅へ向かう。
駅に入ると、すでに人でいっぱい。皆さん考えることは同じか。さて、やってくる列車は何両編成なのか?
またも列車は3両編成。宮島口からは満員電車となってしまった。なんとか外が見えるところをキープできた。
途中でも駅伝観戦の人たちを拾っていくため、混雑度が高まる。
選手の姿が見えた。6区の中学生のようだ。追い越していきながら、三重の選手が分かった。
西広島に着き、ここで降りようか、と迷ったが、結局広島まで行くことにした。西広島駅前もアンカーの7区の選手が通過するからだ。あきらめたのは、帰りの電車がさらに混みそうな感じがしたのと、そうなると新幹線に間に合うか、という疑問があったからだ。
広島に着き、一斉に乗客が吐き出される。コースに向けて地下道を歩いていると、大画面で駅伝中継が映し出されていた。多くの人が足を止めてレースを見守っていた。
地上に上がり、コースに着いたが、選手の通過がまもなくと告げている。選手の通過は自分たちのいる反対側の車線。すでに人垣で埋まっている。これは見るのは難しそうだ。大学生・社会人のアンカー7区、見たい選手がいっぱいいるが、ここは仕方がない、反対側で待つことにする。
先頭の長野が通過する。宮島口では埼玉が先頭だったが、順位を落としてしまったようだ。と、目の前に信号待ちのバスが止まってしまった。まわりの人たちからブーイングが起きる。駅伝コースは交通規制がしかれているが、反対車線は影響がない程度車両が通行している。やはりそうなってしまったか、というのが正直な感想だ。車線が1車線なら反対側も規制がかかっていただろうが、広島駅前は2車線から3車線の道路。反対側に規制をする意味はないので、これは仕方ないが、通過する選手が見られないのは痛い。距離が短い駅伝、7区間あるが、ゆっくりと観戦するなら、場所を絞ったほうがいいのだろうなと改めて実感した。
全選手が通過し、広島駅へ戻る。まだ平和大通りのフィニッシュ地点に行っていないため、中継をしばらく見る。
長野の逃げ切りで優勝のテープを切ると、自然にまわりから拍手が沸き起こっていた。長野は本当に強い。埼玉は、前マラソン日本記録保持者の設楽悠太が追いかけたが、届かず3位フィニッシュとなった。
さて、土産を買って帰路につく。広島市内から空港が遠いので、今回は新幹線で帰る。さくらとのぞみを乗り継ぎ約4時間、初めての都道府県男子駅伝観戦の余韻に浸りながら車中の人となった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?