【テレビドラマ感想文 石子と羽男】
【あらすじ】
東大卒のパラリーガル:石田硝子と、高卒弁護士:羽根岡佳男がコンビとなって毎回区切りで問題を解決するリーガル物です。
そもそも私は「リーガルハイ」とか「99.9」とか法廷ものが好きですが、やはりドラマとの相性がいいんですよね。
案件ごとにオムニバス形式で区切れるから1話1話の連続性が無くても成立するし、かつ、大きいテーマみたいなのだけちょこっと出せばなんか伏線っぽくできるし。
そしてその多くが主役と相棒みたいな構成が多い。
最近だと
こんなのもありましたね。(リメイクですが)
こんなのとかも。きりがないのでこの辺で。
【人物紹介】
「石子」は石田硝子の短縮&頭が固いことから石女の石子という意味から来ています。父親である潮綿郎法律事務所のパラリーガルとして働いています。東大卒のエリートなのですが弁護士試験には2度失敗しており現在3度目に向けて奮闘中。
「羽男」こと羽岡佳男は父親は裁判官、姉は検事と法曹一家に生まれ、見たものを瞬間記憶する特殊能力を持っているため試験に強く、一発で弁護士になっていて、一見天才型なのかと思わせますが、実はそれはブランディングによるもので、中身はメンタル豆腐のもやしっ子。石子に助けられながら問題を解決していきます。
そんな二人がお互いに最初はののしりあいながらも、徐々にお互いの問題や、過去、建前と本音を知っていくうちに、刺激しあいながらそれぞれ人としての成長をしていくというところも見どころのひとつではないでしょうか。
【ポイント】
※若干本編に触れます
いわゆるキムタクの「HERO」とか堺雅人さんの「リーガルハイ」のように、最初は苦しむけど一発逆転をやってのける!のですが、このドラマの特徴・魅力だなと私が感じたのは、「一発逆転しきらない」ことです。
例えば初回のパワハラ問題、同僚の沢村篤彦(小関裕太)に、その上司が違法な指示を出しているところをボイスレコーダーに録音していて、さぁ上司をとっちめる!と思いきや、羽男がすかさず上司に
「あなたは あなたで声を上げればいいじゃないですか
もしあなたの一連の行為が会社から無謀な業績を迫られそのプレッシャーからだったなど、労働環境に由来するものでしたら安全配慮義務違反として会社に対して責任を追及することが可能かもしれません」
そういわれ上司もすごすごと子犬のように羽男に連れていかれるのだ。
また、第3話では、ファスト映画をアップしたことで著作権法違反に問われ
た井之脇 海さんが、執行猶予判決の後、
「ちょっとつきあってください」と石子と羽男に言い、被害者となった映画監督のでんでんさんに謝りに向かう というシーンがあった。
ものがたりの序盤中盤とずっと優しくて謙虚だったでんでんさんだったので
「もういいよ」的なラストになるかと思いきや。
今回の映画は10年かかった、次を考えるともうとれないかもしれない。
悪いな未熟なもので、どれだけ謝られても、受け入れることはできない。
と突き放すのです。
そして井之脇さんもまたネットに拡散され社会的制裁をこれからくらいつづけるような描写が。
いわゆる「ハッピーエンド」とは少し違ったラスト、問題提起を最後にもう一度投げかけるような。
これがまた良い点だと私は思います。
おそらくこれから回が進むにつれて二人の深層が明らかになっていくのでしょうが、二人の関係性がどうなるのか、赤楚さんの入るスキがあるのかとか、石子の弁護士受験はどうなるのかとか、羽男は家族とけじめをつけられるのかとかますます楽しみです。