「食べない」息子に考えさせられた「食べる」ということ。
3歳くらいまでの息子の体は
「ミルクでできている」
と言っても過言ではなかった。
はじめての子育てで
手探り状態の私は
子育て本のマニュアル通り
生後6ヶ月くらいから
ドロドロの離乳食をあげ始めた。
はじめのうちは興味をもって
ちょっとだけ食べてくれたけれど
次第にほとんど食べなくなって
ほぼ3食ミルクを飲んでいた。
1歳くらいから
固体のものをあげてみたら
またまたはじめは興味をもって
食べてくれて喜んだのはつかの間
次第にほとんど食べなくなって
ほぼ3食ミルクを飲んでいた。
「食べる」=良い
「食べない」=悪い
と思い込んでいた私は
いろんな手を使って
食べさせようとしたけれど
息子の意志ははっきりしていて
食べたくない時は、口を開けない。
食べたくない物は、食べない。
無理やり口に突っ込むわけにもいかず
ミルクをほしがる息子に
ついつい従ってしまう毎日。
ミルクをおいしそうに
グビグビ飲み干す息子を見て
ため息をつく日々が長く続いた。
そんな私の気持ちとは逆に
息子はグングン成長していき
ほぼミルクだけで
平均以上に大きくなっていった。
そんなある日、
ふと目にしたブログに
チンパンジーのことが書いてあった。
チンパンジーは人間に1番近い動物で
4〜5歳まではほぼ母親から離れず
母親のお乳を飲んでいるとのこと。
そのブログを見て
それならば
人間だって4〜5歳まで
ミルクを飲んでいても大丈夫なのかも。
なんとなく
そんなふうに感じてしまったのだ。
人間とチンパンジーは似てるといっても
チンパンジーを基準に考えるのは
どうかと思う。
それでも
なぜかそう思ってしまった。
それをきっかけに私は
「食べさせようとしている
私がまちがっているのかも」
そう感じるようになった。
そして、ふと
教えてもないのに
産まれてすぐにおっぱいに吸いついた
息子のパワーを思い出した。
はじめて息子が
自分のおっぱいに吸いついた時
そのパワーになんだか圧倒された。
あまり赤ちゃんと接する機会がなかった私は
赤ちゃんって
もっともっとか弱くて
守ってあげなきゃいけない存在だと
思っていた。
でも、はじめて会ったわが子は
きっと大人の私よりも
力強く生きようとするパワーに溢れていた。
産まれてからまだほんの数年、
そのパワーはきっとまだまだ衰えていない。
息子の内側から溢れている
生きようとするパワーの矛先が
まだまだミルクに向いているのであれば
私はそれをとことん信じてみようと思った。
いろんな事情やいろんな都合で
いろいろねじ曲げた世界を生きている
大人が作った子育てマニュアルよりも
今自分に何が必要かは
きっと息子自身が1番よくわかっている。
「まだミルクを飲んでいるの?」
「食べないと心配だね!」
容赦なく飛んでくる周りからの心配攻撃を
うまく交わしながら
私は息子がほしがるまで
ミルクをあげることを誓った。
そんな息子ももうすぐ4歳。
3歳になったくらいから
ミルクを少しずつ飲まなくなって
だんだん食べるようになってきた。
とはいえ
夜ごはん以外はあまり食べない。
そして好きなものしか食べない。
それでも、
息子のパワーを信じると決めた今
息子には
きっと夜ごはんの栄養だけで
十分足りているんだ
息子にとって必要な栄養があれば
それをおいしいと感じるにちがいない
なんだか根拠なく
そう思えるようになった。
それと同時に私自身も
今までしっかり食べていた
朝ごはんと昼ごはんを重視しなくなった。
すると、体が軽いことに気づいた。
お腹も特に空かないことに気づいた。
今まで食べすぎだったのかもしれない。
3食規則正しく食べること
栄養バランスを考えて食べること
そのことが「良く」て
それをしないと「ダメ」だと
思っていたけれど
その「固まった考え方」が
ス〜っと消えていった瞬間
なんだか身軽になった気がした。
食べない息子が教えてくれたこと。
それは
お腹がすいたら食べればいい。
食べたいものを食べればいい。
それが自分にとっての「ちょうどいい」。
すごくすごく
当たり前のことだけれど
毎日毎日3食食べないといけないと
思い込んでいて
しっかり栄養も考えないといけないと
思い込んでいて
それを毎日毎日
しっかり守って生活していた私にとっては
人生が変わるといっても過言ではないくらい
新しい考え方なのだ。
そして、
「食べる」こと以外にも
「固まった考え方」は
私の中にたくさんあるんだと思う。
これからも長い長い子育ての中で
息子先生に「それ」を気づかされることが
たくさんあるんだろうなと思う。
そのたびに私は
悩んで、
気づいて、
軽くなっていくのかもしれない。
悩むことはしんどいけれど
悩むことは
軽くなるチャンスなのかもしれない。
それならば
どんな悩みにも向き合って
どんどん気づいて
どんどん軽くなって
どんどん身軽に生きていく道を
私はこれからも選ぼうと思った。
生きる力がみなぎっている息子を
変えようとするのではなくて
私自身が
息子の生きる力に教えてもらう。
そんな選択をしていこうと思った。