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世界のスタジアム・アリーナで活用される最先端テクノロジー
日本国内でも、新たにスタジアムやアリーナが多く誕生していますが、世界には最先端のテクノロジーを駆使した施設がたくさんあります。スマートスタジアムとも呼ばれることが多いですが、この市場は現在、約7,613百万ドルの規模があると評価されており、今後もCAGR13.4%以上の成長が見込まれる注目されている領域でもあります。
世界で最も有名なフットボールクラブの一つであるレアルマドリードがホームスタジアムをリニュアルを発表し、その技術を紹介した動画が話題になりました。
今回の記事では、海外で活用されている最先端のテクノロジーをご紹介したいと思います。
スタジアムテクノロジーのトレンド
オラクル社のレポートを参考に、トレンドをまとめていきたいと思います。
まず、スタジアム・アリーナ内での売店での体験を想像してみてください。どのような感情になったでしょうか?
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フラストレーションを感じた瞬間として、オラクル社の調査によると最も多かったのが、売店での待機列と回答した方が最も多く、次いで、サービス提供時間、そして、提供されたサービスの間違いという結果でした。
待機列の解消に向けた取り組みとして、様々なテクノロジーが存在しており、すでに運用が開始されています。ご紹介していきたいと思います。
Levy UK + Ireland
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彼らは、高級レストランを運営するなど、料理のスペシャリストでもあります。しかし、彼らは、飲食の提供というサービスだけでなく、よりゲストが楽しめる環境を作りも挑戦している企業であり、スタジアムやアリーナの中における”飲食”というサービスのスペシャリストでもあります。イギリス国内での導入実績が多く、プレミアリーグでは、レスターシティやワトフォードがスタジアム内に導入しています。他には、O2アリーナやSSEウェンブリーアリーナなどでもサービスを提供しています。
彼らが提供しているものは、ただ単に食事を提供するというサービスを提供するだけに留まらず、彼らが保有するデータを活用した、プランニングや戦略の支援、マーケティングなど、新しいチャレンジを支援するサービスとなっています。直近では、レスターシティーFCに導入された「Tap+Go」というアプリケーションは、先述した「売店での待機列」という課題を解消するサービスとして注目されており、欧州で初の事例となりました。入場しにクレジットカードを登録することで、スタジアムの売店での買い物をシームレスに行えるサービスとなっており、Amazon Goのようにレジを通過せずに、商品を購入することが可能になりました。このように、スタジアムやアリーナが抱える課題を一緒に解決していきながら、食というアプローチの中でより良い顧客体験を提供しているため、注目されている企業となっているのだと思います。
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スタジアム・アリーナでの体験に対しては、様々な意見がありますが、課題を解決するためのソリューションが、日々開発されています。
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これは、スマートスタジアムに関連するテクノロジーをまとめたものになります。スタジアムの分析や、リアルタイムの選手分析、スタジアム内でのロボット活用など、様々な技術が存在しています。
evolv technology
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スタジアムやアリーナでの安全性を高めるための技術を開発しているのが、マサチューセッツ州で2013年に設立されたevolv technology社です。すでに著名な投資家らから出資を受けており、約5000万ドルを調達している、注目されているベンチャー企業の一つです。
彼らの技術は、これまでスタジアムやアリーナ内に入場する際の手荷物検査をシームレスに行う技術です。センサーと顔認証の技術を活用したもので、爆発物や銃器、ナイフを検出することが可能になっています。現在は、アトランタにあるメルセデス・ベンツ・スタジアムなどにも導入されており、今後も注目される会社であることは間違いなさそうです。
Gravy Analytics
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次は、バージニア州で誕生したスタートアップ企業であるGravy Analyticsをご紹介。約3,000万ドルを資金調達している企業で、主には、消費者行動の分析の技術を保有している会社です。
彼らの技術は、ただ単に顧客の動きを追跡するだけに留まりません。例えば、スタジアムに来場する前の行動をも分析することが可能になっています。また、顧客の属性や趣味、価値観を含めてイベント全体を分析することが可能になります。これらを活用することで、スポンサーシップやパートナーシップの機会を広げることができ、ブランド認知力向上やスポンサー収入の向上にもつなげることができます。
ICE Co-Botics
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トッテナム・ホットスパースタジアムに導入されて話題となった、ICE Co-Boticsは、スタジアム内を自動で清掃、および消毒をするロボットを提供しています。このEco Bot75と呼ばれるロボットは、環境にやさしく、1回の充電で6時間以上連続して動作することが可能となっています。
さらには、水のろ過機能も備えており、導入したクラブは1,300リットルもの水を節約することに成功したともいわれています。
Veo Sports Camera
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Veoは、デンマークのコペンハーゲンで誕生したベンチャー企業です。資金調達もしており、すでに80ヵ国以上で利用されているサービスです。
彼らが提供しているのは、無人カメラです。試合の撮影を自動で行い、これまでカメラマンを必要としていた中継を、全自動で配信することを可能としました。
また、分析機能も備えており、自動でハーフタイムやゴールシーンをタグ付けすることができます。そのため、監督やコーチの負担を削減することにも繋がる技術となっています。
サッカーだけでなく、バスケットボールなどでも利用することができるカメラとなっており、今後も拡大していくことが予想されます。
スタジアムのテクノロジーではありませんが、試合の中継の幅を広げるソリューションということもあり、ご紹介をさせていただきました。
参考:Veo HP
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スタジアムやアリーナに来場するファンは、試合だけでなく試合前後の顧客体験をも楽しみとしています。試合日以外のエキサイティングな体験も求めており、例えば、メタバースで好きなチームと関わるのは素晴らしいと考えているスポーツファンは64%だといわれています。さらには、仮想空間の中で、ファンの一員として、チームをサポートし、ファン同士の交流をしたいというファンも多く50%が回答しています。
つまり、ファンは、スタジアムやアリーナでの体験以外にも多くのコンテンツを期待していることがわかります。
ASTOSCH VIRTUAL TECHNOLOGY
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最後に、ASTOSCH VIRTUAL TECHNOLOGYをご紹介。レアルマドリードと連携して、バーチャルスタジアムを提供することが、最近リリースされ、話題になりました。
独自のプラットフォームの中では、多言語のテキスト、音声翻訳が備わっているため、世界中のファンがこのサービスを体験することが可能です。
このプラットフォーム内では、ファン同士が交流することができ、交流を深めることで、様々な特典やグッズを獲得することが可能です。
また、ホームスタジアムであるサンティアゴ・ベルナベウスタジアムのツアーを体験することも可能となっており、世界中からレアルマドリードというクラブと接することが可能になります。
今回は、スタジアム・アリーナを中心に様々なテクノロジー・ソリューションをご紹介しました。今回ご紹介することができなかったものが、まだまだたくさんありますので、また、時間があるときに執筆したいと思います。