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プレミアリーグの育成システム(EPPP)

世界中の多くのサッカーファンが注目するリーグの一つであるプレミアリーグにおいては、国内選手の育成を強化することを目的とした長期的な戦略が2012年に導入されました。
エリートプレーヤーパフォーマンスプラン(EPPP)と呼ばれており、より多くのすぐれたホームグロウンプレーヤーを育成することを目的としています。
この制度は大きく4つの分類があり、「Games Programme」「Education」「Coaching」「Elite Performance」から構成されています。


Games Programme

プレミアリーグは最大10,000試合の機会を提供することを目的としてフェスティバルやトーナメントをすべての年齢層に提供しています。U-9以上のカテゴリの様々な大会をプレミアリーグが運営しています。
また、その他にも特にU-17からU-23世代においては、国内での強化試合のみならず、国外チームとの強化試合なども支援しており、国際的な経験を得る機会も提供しています。

Premier League 2

国内で開催されている大会の一つとしてPremier League 2というリーグがあります。Premier League 2は、U-17~21をターゲットとした大会となっています、この大会は、トップチームのレベルに近い経験をすることを目的としており、技術、フィジカル、インテンシティに重点を置いたリーグとなっています。このように、カテゴリごとに目的を設定し、リーグや大会が運営される仕組みが導入されており、近年のイングランド代表の若手選手の台頭は、このような制度によって支えられているのかもしれません。

Education

プレミアリーグには、独自の教育部門があり、すべてのアカデミー選手の技術や戦術、フィジカルやメンタル、ライフスタイルなどを支援するプログラムを提供しています。また、プレミアリーグは、各クラブが奨学金契約を結んだ16歳から19歳のすべての選手に対する教育プログラムも提供しています。
提供されているコンテンツは、Learning Management System(LMS)とEducation Support Managers(ESM)とSafeguardingに分類されます。
LMSは、リーグが開発・運営するオンライン教育サポートシステムとなっており、アカデミーに所属する選手の学習データを管理することを目的として各クラブが利用しています。LMSを活用することで、すべてのクラブが各選手の教育の進捗状況や達成状況を管理することができるようになっています。

ESMと呼ばれる教育サポートマネージャー制度があります。教育サポートマネージャーは、各クラブの教育担当者と連携して選手の教育支援をします。各クラブが提供する教育支援プログラムが正しく機能しているか、また、プレミアリーグが持つ知見を活かした、新たなプログラムの提供などを支援します。

Safeguardingにおいてゃ、各クラブにはフルタイムのセーフガーディング担当者が配置されており、彼らはアカデミー選手の様々なサポートをすることを目的として配置されています。

Coaching

プレミアリーグは、2020年にエリートコーチングプラン(ECP)を開発し、各クラブのアカデミーやプロチームなど、すべてのカテゴリにおいて世界をリードするコーチング開発システムの構築に取り組んでいます。特にECPは、以下7つを重点領域として設定しています。

  • 高いポテンシャルを秘めた選手を発掘すること

  • 発掘した選手たちの可能性を最大化するための、最高のプログラムを開発すること

  • コーチングシステム内でより良い機会を創出すること

  • 戦略的投資とパートナーシップの活用

  • 労働力の確保・標準化

  • 品質保証規定の拡充

  • 世界をリードする研究、イノベーション

2012年にEPPPが発足して以来、アカデミーのコーチングスタッフは250人から800人以上へと3倍以上も増え、プロフェッショナルコーチングワークフォームコーチ数も合計で2500人まで増えたと報告もされています。
プレミアリーグは、選手の育成を強化するためにも、コーチングにおける仕組み作りやプログラム作りにも力を入れています。

Elite Performance

プレミアリーグは、選手の育成や地元出身の選手を増やすことを目的に、様々な活動や情報提供に取り組んでいます。
主にプレミアリーグのクラブが参加するNational Injury Surveliance Projectは、スポーツ界の中でも最大規模のプロジェクトとなっており、主にアカデミーの選手の怪我のリスクをより理解することを目的として活動しています。試合中やトレーニング中のデータを収集し、負傷の発生確率や場所、重症度などを算出することが可能となっています。
他にもプレミアリーグは、各クラブに所属するスポーツ科学の専門家と連携して、パフォーマンステストの開発にも取り組んでいます。

National Benchmark Fitness Testing

このテストを参加することで、プレミアリーグは各クラブに所属するすべての選手の運動能力の発達状況を把握することもできます。また、各クラブは、所属する選手の育成状況を把握することができ、各選手も自分の現在地を把握することができる仕組みになっています。

他にも、パフォーマンス・マネジメント・アプリケーション(PMA)や傷害報告・調査を通じてアカデミーに関連するすべての情報を追跡でき、クラブ・サポート・マネージャー(CSM)を支援する仕組みを提供してます。
また、プレミアリーグはバイオバンディングプログラムも開始しており、体の成長に合わせた適切な教育プログラムを提供することを目的とした支援も行っています。プレミアリーグの研究によると、年代順ではなく生物学的年齢に基づいて選手やチームをグループ化することで、アカデミーシステムの潜在能力を最大限発揮できると報告されています。これらの研究を踏まえて、生物学的年齢に基づいて選手を育成することを目的としたトーナメントが開催されるなど、新しい取り組みも行われています。

このようにプレミアリーグは育成年代の強化を目的とした様々なプログラムを提供しています。そして最後に、プレミアリーグにはそれぞれのアカデミーを監査する組織が作られています。それぞれのアカデミーは、1から4のカテゴリーステータスが与えられ、生産性や施設の充実度、コーチングスタッフの充実度、教育プログラムの品質などの10項目を踏まえて総合的に評価されています。

カテゴリステータスが高ければ高いほど、より多くの資金を利用できるようになっており、各クラブの取り組みの品質を高めることにも役立っています。

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