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各自のパフォーマンス度と組織としての成長度は別問題なのです。
今年の学部4年生の卒業研究中間発表を終えた。
当研究室では例年3,4人の4年生を抱えて指導しているところ、今年は元々助教だった先生が准教授に昇格したことから、2研究室合同での運営となっていて、4年生を6人抱えていた。
そんな研究室において、博士課程の学生は私1人であるから、修士の学生まで含めると総勢13人の学生の研究の面倒を見た半年間だった。
シンプルな感想としては、大変だった。
全然彼らの研究にコミットしきれなかったし(面倒を見たとも言えないぐらいだ)、自分の研究分野に近いテーマの学生の指導はそれなりにできるが、やや離れた研究テーマを扱う学生の研究内容に踏み込んだアドバイスはし切れていないという実感があった。
そもそも昨年の時点でもかなり大変ではあったが、その負荷が倍増すると共に、自分の博士研究についても考えなくてはいけないからその負荷を単純に処理しきれていない期間が続いた。
彼らの発表は、諸々ひっくるめて言うと、良かった。
まず、元気な声を出して発表ができた。と言うと、あまりにも基準が低いように思われるかもしれないが、これができる学生が意外と少ないのだ。
他の研究室を見ても、原稿をただ読み上げているような発表や、そもそも覇気がない発表のなんと多いこと。
しかしこれは、この数年間のコロナ禍により、自分が人前で発表する機会にも、人の発表を見る機会にも恵まれなかったことが大きな原因の1つかもしれない。
だから、当研究室の4年生には前日までのうちに、「元気に発表することが一番大事だ」と言っておいた。
各自がそれを実践できたところは大変素晴らしかった。これについては教授陣も確かに認めてくれて、夜の飲み会での先生方からの講評においても、その点について褒められていた。
一方で、飲み会の時間が深くなってきた段階で、准教授がこう言った。
「4年生の発表は、他研究室に比べれば確かに素晴らしかった。でもあれは、4年生の発表としては優秀だったが、研究者の発表ではなかった。毎年同じことを言っている。その意味がわかるか?」と言われた。
そう言われた瞬間は、確かにまだまだ研究者的な発表をするのは難しいよなぁと思って発言を聞いた。
しかし、一夜明けて色々と考えてみると、これが意味するところは、「組織として成長できていない」ということを言っているのではないか、と思った。
これは、我々上級生にとっては体をえぐられるような辛い指摘だ。
とはいえ、それもそのはずなのである。
この数年間、研究室の学生長は私なのであるが、自分という人間単体レベルでは色々なことを吸収しながら勝手に学び取って、勝手に成長することができた実感はあるから、それなりに満足はしている。
自分が学びたかったことや、理解したかったことについて、自分なりに解を出すことができたものもある。
しかし、この研究室組織を成長させるという観点では、自分は何もできなかったし、何もしなかったな、とも思った。
私は、自分にとって何か悪影響を及ぼす物事に対しては、それをニュートラルに持っていく方向に一定の努力をすることはできる。
しかし、既にある程度うまく回っている組織を、さらに向上させようとする気持ちが弱い自覚がある。
それは、私が欲のない人間だからだ。現状に満足しやすいからだ。
与えられた役割をただこなすことは比較的得意だから、先生方が学生たちに要求していることや大事にしようとしているものを理解し、それを実現できる組織の姿や達成したい状態を汲み取って、学生集団の長としてそうした研究室運営をこなすことはしていた。
しかし、自分から何か組織に対して新しい価値や変化を生もうとして何かをしたことはついぞ無かった。
そういう状況を見抜いた准教授からすればおそらく、それを実行するだけでは「学生集団の運営スタッフ」に過ぎず、博士課程の学生として求められている「学生集団の主体的運営者」にはなりきれていない、という指摘だったのだろうと思う。
あぁ、なんと高い要求だろうか、と嘆くことはできるのだが、一方でそれは期待の裏返しであるということもわかっている。そして、その「期待に応えよう」という気持ちが無駄に増幅して、自分にプレッシャーを与えてしまう特性を持った人間であるということも自分でわかっている。
だから今、とんでもなく心がザワザワとしているのだと思う。
これを受けて、自分は一体どうしたいのだろうか。
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