「今は 積極財政一択」の理論(3.財政ファイナンス・MMTとの違い)
財政ファイナンスやMMTとの違い
財政ファイナンス
「国(政府)の発行した国債等を中央銀行が直接引き受けること」であり、日本銀行は国債を大量に買い入れることで、これを疑似的に行ってきました。その買い入れ減額を2年ほどかけて徐々に行っていくことを、日本銀行は決めています。
「The Case for Monetary Finance - An Essentially Political Issue (Adair Turner)」によると、財政ファイナンスは金利が0近辺(以下)の状況下で有効な政策として提唱されています。このように財政ファイナンスが有効である時期は限定されていることに注意が必要です。
日本の10年国債利回りはまだ1%弱ですが、0%から徐々に乖離してきているため、財政ファイナンスからのフェードアウトを意味する「国債の買い入れ減額を徐々に行っていく」という日本銀行の判断は妥当と考えます。
MMT(Modern Monetary Theory:現代貨幣理論)
MMTでは「通貨を発行する権限のある政府(正確には中央銀行を含む統合政府)は財政再建(緊縮財政)を行う必要はない」とされています。統合政府で考えると、その通貨発行は財政ファイナンスと同等であり、いつでも財政ファイナンスが可能であるように読めます。
私はMMTが財政ファイナンスを拡大解釈したものと捉えており、MMTが常に有効であると考えるのは危険であると考えます。(インフレとなるまでの方策であると明言している説明もあります。人による解釈の違いが大きいようです。)
財政ファイナンスは金利が0近辺(以下)という条件下でのみ有効ですので、例えば今のアメリカなどには適用できないということになります。
積極財政との違い
金利が徐々に高まる状況下で、財政ファイナンスを背景とした積極財政は実施できなくなってきます。
前回(下)のnoteでは「対GDP比国債残高」が増加しない範囲で、「金利<名目経済成長率」であることを源泉として積極財政を行うこととしており、財政ファイナンスやMMTを前提としたものではありません。
そのため、緊縮財政派が、財政ファイナンスやMMTが現在有効でないことをもって、積極財政を非難するのであれば、それはお門違いです。そのような非難をさせないためにも、財政ファイナンスやMMTを根拠とした積極財政は控えるべきでしょう。
以前ここに記載していました内容は、下記のnoteに大幅加筆して掲載しています。
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