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松本城 天守閣のワサビ

2023年の夏、僕らが長野を旅したときのこと。

蓮の花
お昼頃に松本城に到着する。駐車場から城の正門までの道中、蓮の花が咲いていた。鮮やかなピンク色の大きな花の真ん中には、マカロンのような丸い台座があり、よく見るとたくさんの穴が開いている。そう、これがレンコンなのだという。食べるのは土の中にある部分だと思うが、それは根ではなくて茎(地下茎)らしい。妻が教えてくれなければ花も素通りしていただろうから、二人旅の良いところだと思った。

蓮の花

天守閣へ

夏休みの土曜日だったこともあってか、天守閣は40分待ち。松本城の近くには高い建物がなく、それゆえ、城の後ろに抜ける青空と黒い城のコントラストが美しい。それはつまり、日影がないということも意味する。この炎天下で観光客を待たせて熱中症患者が出た日には、城側も責任を問われかねない。そこで仮設テントが用意され、その下で100人以上が待機する状況であった。

この待ち時間を利用して、普段はクシャポイしてしまう城のパンフレットを隅々まで読んだから、知識ゼロよりは天守閣を楽しめるはずだ(実際は苦手な日本史の勉強のようで、全く頭に残らなかった。)。

いざ天守閣へ入る。ここは土足禁止なので、サンダルだった僕らは裸足だ。潔癖症の妻は靴下を忘れたことを非常に悔やんでおり、城を出るときには足の裏を入念に消毒していた。

天守閣内は大混雑だけど、風通しがよくて意外と涼しい。この天守閣、外からは5階建てに見えるが、内部は6階建てになっている。ただ、混雑と狭さと暗さで、今何階にいるかは気にしていられない。階段の上り下りも大変で、幅は狭いし、一段の高さは高いし、天井は低くて頭をぶつけるし、登る人と降りる人が入り乱れたりしている。

内部は歴史的な展示がされていて、僕にしてはじっくりと見たけれど、数分後には火縄銃の構造なんて忘れてしまう。あの観光客の何人が記憶に留めているのだろうか。

松本城 天守閣

天守閣のワサビ

松本城の天守閣のてっぺんには鯱(シャチホコ)がある。シャチホコは建物が火事になると口から水を吐きだして消してくれるという伝説の生き物。身体は魚で頭は虎という奇妙な姿をしている。

改修時に取り外された古いシャチホコが展示されていたのだが、あろうことか、妻はこれをワサビだと勘違いしていたのである。それもそのはずで、松本城を訪れる前に「大王わさび農園」でワサビのオブジェを見たばかりで、脳がワサビ化していたからだ。ワサビもきれいな水を好むという意味では、そう遠くないであろう(と思いたい。)。

ワサビのオブジェ

中町通り

ここは松本城に近く、城下町の雰囲気のある通り。旅はあと少しで終わるため、最後の晩餐を探すためにぶらついていた。通りに屋台が並んでいたり、浴衣姿の女子が多かったり、やけににぎやかだと思っていたら、今夜「ぼんぼん祭り」というのがあるようだ。祭りを目の当たりにすると参加したくなってくる。

お店は全くリサーチしていなかったので、偶然見つけた「鴨つけ麺」屋さんに入ってみる。カウンター6席だけの小さなお店だったが、店主さんもお客さんも落ち着いていて良い。つけ麺も美味しかった。ただ、僕らが食べている最中、突如お店の引き戸が勢いよく開き、下品な大声で「8人いけますかー?」とおばさんの軍勢が攻めてきた。結局入店はしなかったが、雰囲気をぶち壊すような振る舞いはやめてほしい。

周辺には他にも美味しそうなお店がたくさんあったので、昼食後、心残りのないように買い漁る。五平餅と団子をお土産に、オシャレな「飲むわらびもち」をがぶ飲みする。

妻は、「山賊焼き棒スナック菓子」という、明らかに「う〇い棒」のパクリのお菓子が50本くらい入ったパックを買って喜んでいた。彼女曰く、このお菓子は「長野県民が独自に作成した棒」だと言い張っていたが、そのネーミングの方が売れそうだと思った。

中町通り 飲むわらびもち


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